金子ノブアキ『Historia』インタビュー(前編)
「やっちゃいけないことは無いと感じた」金子ノブアキがソロ制作にのめり込んだ理由
俺はメロディ楽器としてドラムに取り組んできた
――いわゆる“ドラマーが作ったソロ”みたいな作品にはなっていないですよね。
金子:そうですね。ドラマーが作ったソロって言うと、ゲストをいっぱい呼んでみたいな……そういうのって、あったりするけど、俺はそうじゃないなと。たまたま俺はドラムを叩く人生だったというか、生まれも育ちもドラムだったっていうだけで、ホントたまたまなんですよね。だから、リズム楽器だけど、ホントにメロディ楽器として、俺はドラムに取り組んでいて。ある意味、ピアノとかと同じなんですよね。
――具体的には、どんなふうに楽曲を作って行ったのですか?
金子:それはもうホントに順不同で、思い立ったものから種をまいていって……ホントいろいろですね。歌詞が先に出て来ることもありますし。こうじゃなければダメっていうのが無いんですよね。そういうのはやっぱり、芸能界に身を置いて、お芝居の仕事とかをしている中で、ますます垣根が無くなって来たというか。やっちゃいけないこととか、お前はこうだからっていうことが、最近どんどん無くなって来ているんですよね。役者って、ジャンルみたいなものも無いし、音楽におけるシーンみたいなものとも、ちょっと違うじゃないですか。 だから、ホントやっちゃいけないことが無いっていう。そこで感じたことも、結構影響しているのかもしれないですね。
――なるほど。
金子:そう、そもそも役者の仕事を積極的にやり始めた動機は何だったかっていうと、それはやっぱり音楽のシーンのうねりからだったんですよね。CDが売れなくなってきて、もうすぐ冬が来るのはわかっていたわけですよ。だけど、越冬の仕方が誰もわからない。とにかく、『伏せろ!』みたいな状態で。そういう中で、俺に何ができるかなって思ったときに――もともと俺は子役をやっていて、俳優の事務所にも籍を置かせてもらっていたんですけど、その頃ちょうど映画とかの良いお話があって……。
――映画『クローズZEROⅡ』の頃ですか?
金子:そうですね。それも前だったらやらなかったかもしれない。最初は音楽のことを考えてやらせてもらったんですよね。でも、役者の世界でだんだん仲間ができてきて、いろんな切り替えもできるようになって行って。で、そうなって来ると、根っこがふたつになって、ふたつが別のものになって来るんだけど……でも、今はそのふたつを行ったり来たりするのが、すごい楽しいんですよね。
後編:金子ノブアキが構想する"震災後の音楽”に続く
(取材・文=麦倉正樹)
■リリース情報
『Historia』
発売:2月12日
価格:¥2,700(税抜き)
〈収録曲〉
1. Historia
2. Postman
3. Weather and Seasons
4. Call My Name
5. Signals
6. Ranhansha
7. Curtain
8. Sad Horses
9. The Chair