濱野智史の地下アイドル分析(第2回)
CD1000枚購入の猛者も…ファンを虜にする地下アイドルの“ゲーム的な仕掛け”とは
――青SHUN学園は、恋愛も自由なんですよね。
濱野:あ、らしいですね。むしろ恋愛を推奨していたはずです。それでアイドルとしてどううまく回っていくのかは知りませんが、なんとなくわかる気はします。青女のライブはみんなで肩を組んで盛り上がり、終わればメンバーも客同士もハイタッチをするという、ものすごい一体感です。特定のメンバーを推すというより、そういう現場を面白がる傾向があるので、これまでのアイドルとは違い、恋愛していても問題ないのかもしれない。これからドンドン人気を広げていくでしょうから、要注目です。
あと、よく通っている現場だとテレパシーもすごくいいです。昨年、フォーライフミュージックエンタテイメントのアイドルプロジェクト=F.A.R.Mから選抜された5人で結成したグループで、“宇宙初のエアギターアイドル”を謳っていています。それだけ聞くとふざけている感じがしますが、パフォーマンスも全力で迫力があって、ヲタの側としても熱く盛り上がれるし、なによりメンバーも可愛いんです。めちゃくちゃかわいいし曲もいいのに、まだ固定ファンがあまりいないので、今からでも全然推せます。僕の周りでもめっちゃ評判いいですし、オススメですね。僕の推しメンは前嶋菜子ちゃん。テレパシーはなこちゃんに限らず、みんなめちゃくちゃ素直で性格のいい子たちばかりで、いつも現場に行くとほっこりします。
メンバーの可愛さで言えば、夢アドこと「夢みるアドレセンス」がズバ抜けてます。ただ、ここも地下アイドルといっていいレベルじゃもうないんです。というのも、メンバーはローティーン向けファッション雑誌『ピチレモン』の現役モデルなので、そりゃあもう折り紙つきの可愛さです。メンバー全員が完全に本当に可愛いグループというのは、いまどきのアイドルでは珍しいかもしれませんね。それくらい可愛いんですよ、見ているだけでニヤけてきます(笑)。ただ、ここは月に一度しか公演をしないので、しょっちゅう会いに行くという感じではありません。でも、モデルの子だからってお高く止まっているわけでもなく、握手の対応もいいし、ちゃんと通えばレスもけっこうもらえます。僕の推しメンの「きょうたん(京佳)」は、とにかくすごいレス師で、 “こんな可愛い子にレスもらっちゃっていいの!?”という驚きで、もうたまらないです。
第3回:「顧客対応は大企業よりも優秀」サービス業化する地下アイドルが日本社会を変える!?
(取材=神谷弘一)
■濱野智史(はまのさとし)
社会学者、批評家、株式会社日本技芸リサーチャー。千葉商科大学で非常勤講師も務める。専門は情報社会論で、著作に『アーキテクチャの生態系』(NTT出版)、『前田敦子はキリストを超えた――〈宗教〉としてのAKB48』(筑摩書房)、『AKB48白熱論争』(共著/幻冬舎)などがある。