アイドルラップユニットのプロデュース戦略を解剖(後編)
"可愛いラップ"を突き詰めたい ライムベリーが進む道
――音楽に限らず影響を受けた人、ものは何ですか?
Eチケ:ケラさんです。テクノもジャズも、渋谷系も、ウッディ・アレンの映画も、筋肉少女帯も、電気グルーブもスラップスティックコメディも村上春樹も、全部ケラさん経由で知りました。僕がサンプリングで曲を作るのはHIPHOP的な手法というより、ケラさんがロングバケーションっていうバンドで好きな曲をカバーしまくったりとか、好きなフレーズ引用したりとかの、好きなものは全部やっちゃえばいいじゃんていう考えがルーツにあるのかも知れません。それと、世界観に関しては、ディズニーランドの影響をかなり強く受けています。
――昔から好きなんですか?
Eチケ:20代後半ぐらいからです。ディズニーランドって、ショップやアトラクションがストーリーで連動してたりとか、さまざまな設定が複雑に絡み合ってて、いろんな場所にその物語を読み解くヒントが散らばっている。トータルでパッケージで作るってそういうものだなと思って感動して。ニューシングルにバージョン違いの特典CDをつけてクエスト感を出したのも、そのイメージです。
――8/11のワンマンや『TOKYO IDOL FESTIVAL2013』を含む、全14回のリリースツアーが全て終了しました。手ごたえは感じていますか?
Eチケ:初めてのお客さんや女性のお客さんが増えたように、いたるところで感じました。TIFではENJOY STUDIUMでのライブの盛り上がりがすごくて、嬉しかったですね。HIKARUさんもスクラッチ入れたり、新しいことにチャレンジできました。全体を通して、メンバーの集中力が上がりましたね。ワンマンはメンバーが緊張感を持って最後までやり遂げられたのが良かったと思います。みんなさまざまな不安を抱えながらステージに立っていたと思うんですが、それを感じさせないパフォーマンスで素晴らしかったです。一番後ろで見てましたけど、もっと前で見たかったです。
――メンバーについて紹介してもらえますか?
Eチケ:MIRIさんはほんとに悪ガキみたいな感じで(笑)。元気が良くて、ラップもすごくまっすぐで。ユニット全体を引っ張る大きな力を持ってる子ですね。HIMEさんは与えたハードルを器用に全部こなしてくれます。それがストレスになってる面もあるかもしれないけど、設定したハードルを越え続ければ、すごい上手い子になるんじゃないかと。YUKAさんはBPMが遅い曲が特に良くて、独特のいい感じのフロウが出ますね。動きがわりとアイドルっぽい。HIKARUさんは本来の性格とは違う「三つ編みメガネで優等生キャラ」をやってもらってるんですが、彼女がすごいところはそのポジションの重要さを理解して、引き受けているところ。DJ MIXができるようになったら、硬派なプレイしてほしいですね、ゴリゴリのハードミニマルとか (笑)。4人ともキャラ立ちしてて、関係性のバランスも素晴らしいなと思います。
――愛情はありますか?
Eチケ:ライムベリーというグループ自体が、自分が生きてきて吸収して来たものを全て注ぎ込んでいるようなものなので思い入れはありますし、メンバーのこともとても愛してます。
――メンバーに伝えたいことってありますか?
Eチケ:う~ん......。特に無いんですよね。言いたいことがあると、曲を通して伝えてるからだと思います」
――ライムベリーが目指すところって何でしょうか?
Eチケ:今まで"可愛いラップ"ってありそうであまりなかったので、そこをきっちりと、技術的にも音楽的にも追求できればと。ただ言えるのは、コンセプトはそのままでメンバーだけ変えて何年も何年も続けるようなものではないということですね。長くやるとしたら、コンセプトもメンバーの年齢にあわせたものに調整して、それを作品に反映させながら続けて行くのが一番だと思います。僕は今の4人のメンバーがベストだと思ってますから、減らす気も増やす気も変える気もありません。今はライブ活動休止中ですけど、復活したら、今まで気になってたけどライブに来ていなかったっていう人も、ぜひライブに来てほしいなと思います。(了)
(取材・文=岡島紳士)
E TICKET PRODUCTION(桑島由一 yoshikazu kuwashima)。
ライムベリーの作詞作曲、世界観構築、デザイン(及びデザイン監修)などを担当し、クリエティブな面での全てをプロデュースしている。
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