井川遥、“わかりにくい優しさ”を丁寧に表現 『半分、青い。』物語のスパイスに

井川遥、菱本役のユニークさ

 北川悦吏子脚本の連続テレビ小説『半分、青い。』(NHK総合)が第7週を終えた。漫画家志望の鈴愛(永野芽郁)は、東京へやってきて少女漫画家・秋風羽織(豊川悦二)のもとで働き始める。漫画家を志す鈴愛に対して、「ペンを持たせるつもりはない」と言い放った秋風との緊迫したやりとりが魅力的だった第7週。そんな中、今回注目するのは漫画事務所「オフィス・ティンカーベル」になくてはならない存在・菱本若菜(井川遥)である。

 菱本は「オフィス・ティンカーベル」で気難しい秋風のマネジメントを担当する女性である。美しい顔立ちと、フリフリの衣装で可愛らしい印象のある菱本だが、頭の回転が早く、気難しい秋風も彼女の言葉に対して比較的素直に応じる。普段の淡々とした話し方もユニークで、怒ったときの理路整然とした超早口も面白い。

 菱本を演じている井川は、雑誌モデルとして活躍する他、女優として多くのテレビドラマ、映画、舞台などに出演している。NHKの連続テレビ小説は『純情きらり』に続き、本作が2作目となる。

 菱本の魅力は「秋風のために」という行動理念の下、冷静沈着に対応するところである。わがままな秋風の仕事を支えるうえで、彼女の冷静さは必要不可欠だ。秋風のわがままにできる限り対応しつつ、ネームの提出が滞れば甘やかすことなく要求する。アメとムチというほど極端ではないが、秋風をうまく動かすことができるのは菱本ただ1人だろう。

 彼女は「あなたのためではなく、すべては秋風のため」と言いながらも、若いアシスタントを抜かりなくフォローする優しさも持つ。5月16日放送の第39話で、秋風が希望していた船の資料を用意することができなかった鈴愛。アシスタントの裕子(清野菜名)が代わりの船を撮るよう指示していたことも原因なのだが、その様子を目にしていた菱本は、裕子が発した「その船が女の子に人気」という言葉を使い、秋風をなだめる。責任を感じている表情を見せる鈴愛や裕子に対し「いいから仕事に戻りなさい」とその場を収める菱本は、理想の上司像にも思える。彼女がいるからこそ、若手アシスタントは秋風のもとで働きながら漫画家としての実力をあげていけるのだろう。

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