芳根京子の見事な顔芸もスイッチャーに 『海月姫』から感じる“テンポ感の良さ”のヒミツ

『海月姫』の“テンポ感の良さ”のヒミツ

 第5話のラストでの鯉淵蔵之介(瀬戸康史)からのキスにつづき、先週の第6話のラストでは蔵之介の弟・修(工藤阿須加)からの告白。またしても大混乱に陥り、冒頭から怒涛の超早口長ゼリフで蔵之介に電話をかける倉下月海(芳根京子)の姿から始まった2月26日放送のフジテレビ系月9ドラマ『海月姫』第7話。そろそろドラマの終盤の展開をイメージさせる流れになりながらも、各キャラクターがその喜劇要素を高めるためのファイナルプレゼンテーションに入った予感だ。

 なかなか立退きに同意しない“尼〜ず”の面々の前に、稲荷翔子(泉里香)が投入してきた最終兵器である“千絵子抄”(富山えり子)の母・千世子(富山えり子・二役)が登場。“尼〜ず”の中で一番のまともキャラ“千絵子抄”だが、富山が一人二役で演じることで、他のメンバーに負けず劣らずの個性を発揮する。妙な間の取り方で古典的なギャグを演出し、蔵之介を突き飛ばすアクション千世子に、初めて和装以外の姿を披露する千絵子。

 ぶっ飛んだキャラクター付けがされない代わりに、一人二役という難役にトライした富山えり子。舞台女優としてキャリアを積んだ彼女は、2014年に放送されたドラマ『ごめんね青春!』(TBS系)で、早押しクイズのプロフェッショナル・遠藤いずみを演じていたイメージが強い。共演俳優たちが相次いでブレイクを果たす同作の中で一足出遅れながらも、月9ドラマのキーパーソンという大役に抜擢され、他のキャラクターにはないシュールな笑いを作り出したのだから大金星ではないだろうか。

 もちろんシュールさでいえば鯉淵家の運転手・花森よしおを演じる要潤も負けてはいない。今週は久しぶりに彼のキャラが猛炸裂。突然懐から小学校のときの通知表を取り出したり、カメラ目線を繰り出す予想外の動きをしたと思えば、高級レストランでは13人を口説いた武勇伝を語り出そうとしはじめる。相変わらずのトーンのままこのドラマの笑いを生み出し続ける彼からは、最終的には芳根京子や泉里香、“尼〜ず”の面々を差し置いて、本作のコメディーリリーフとしての役割を独占する勢いを感じるほどだ。

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