ラーメンズ・片桐仁、日曜劇場『99.9』の“スパイス”に!? パラリーガル明石役のリアリティ

片桐仁、『99.9』を牽引する魅力

 『99.9-刑事専門弁護士- SEASON II』(TBS)第2話(1月22日放送)では、前シーズンでは核心に触れられることがなかった深山(松本潤)の父(首藤康之)が関係した事件の全容が暴かれた。新たな証拠が見つかったことをきっかけに、深山は故郷・金沢へと帰省する。班目(岸部一徳)の言葉を受け正式に弁護士として班目法律事務所で働くことになった舞子(木村文乃)は、明石(片桐仁)と共に深山の待つ金沢へ向かい、後に合流した佐田(香川照之)も加わって、彼らは事件の全貌を掴んでいくのだったーー。

 深山と舞子はまだ完璧なチームワークを見せているわけではないが、第2話にして少しずつ打ち解けてきたような印象を受ける。深山の猪突猛進だが純粋な部分と、舞子の理屈っぽいが隙のある部分が、相容れないように見えて絶妙なバランスを見せている。そして第2話において、なかなかぴったりとはまらない2人と共に行動し、良きスパイスとなっていたのが明石達也を演じる片桐仁ではなかっただろうか。

 昨今は俳優としての活動が目立つ片桐だが、彼のルーツは“ラーメンズ”というコントユニットにある。

 もともと多摩美術大学で学んでいた片桐は大学在学中に、相方である小林賢太郎と出会い、ラーメンズを結成する。シンプルな衣装、最低限の道具を使った斬新なスタイルのコントは斬新かつ革新的で、お笑いという域を超えて芸術とも評されている。2009年頃から2人で舞台に上がることはほとんどなくなってしまったが、現在もそれぞれが舞台、ドラマ、バラエティ等々で精力的に活動している。

 そもそも、コントと演劇は非常に近い表現である。どちらも設定されたシチュエーションと役柄を物にして観客の感情を揺さぶるという性質を持ち、キャラクターを表現できる演技力と舞台の上での存在感が求められる。逆にその能力がなければ成立しないといっても過言ではないだろう。ラーメンズの脚本を書いているのは小林の方だというが、片桐は自身が持つその圧倒的な存在感と演技力で、革新的なスタイルのコントを見事に表現した。つまり舞台の上に立つ役者としても、大変魅力的な人物なのだ。

 そしてトレードマークのパーマ、ガッと見開いている眼、どこか浮遊しているような佇まい。存在感の塊のような外見で、とっつきにくい印象を持たれそうだが、その垣根をするっと超えてしまう面白さが片桐の演技にはあると思う。例えば『99.9』での「明石、行きまーす!」という決めセリフもそうだが、ちょっとやりすぎかなと思うような演技も、なんだかすっと受け入れてしまう雰囲気がある。否、明らかに変わった人物には見えるのだが、「実際にこういう人いるよね」と思わせ、どこか納得させてしまう自然さがある。オーバーでありながら素のようであり、掴み切れないようで現実味がある。この二面性も片桐の魅力であると感じる。『99.9』は司法を巡るドラマであり時にシリアスなシーンも登場するが、何といっても作品全体を包むユーモアがこの作品の一番の魅力だ。そのユーモアを牽引する重要な存在が、片桐なのではないだろうか。

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