ゆとり世代はどうすれば大人になれる? 『ゆとりですがなにか』第六話で描かれた悪戦苦闘

 一方、坂間の後輩の山岸ひろむ(太賀)は、営業先の野上(でんでん)から契約を打ち切られそうになっていた。理由は他社商品への乗り換え。今まで優しい顔を見せていた野上が急にしたたかな大人として振舞い始めるのは、映画『冷たい熱帯魚』以降、怖い大人を演じさせたら右に出るものがいない、でんでんが演じているだけに凄味がある。乗り換えた理由が、他社の接待だったことを知った坂間は、まりぶを使って逆に野上を接待することで、契約を取り戻す。はじめは「ゆとりモンスター」と言われて、どうなるかと思った山岸だが、ここに来て、坂間との信頼関係を構築しつつある。とはいえ、来週は野上の弁当屋で食中毒が起きて、山岸が巻き込まれることになるようなので、トラブルはまだまだ続きそうだ。

 他にも父の後を継いだ兄の宗貴(高橋洋)が日本酒の営業で「鳥の民」に来た際に、契約の仲介をしたりと、次々とトラブルを解決する坂間だったが、恋人の宮下茜(安藤サクラ)との関係については悩んでいた。坂間に「別れようか」と言われたことにショックを受けた茜は、仙台支店長の話についても答えを出せずにいた。悩みを抱えた茜は山路と熱海に温泉旅行へと出かける。あくまで友達として出かけた二人に対して気が気でない坂間だったが、茜が別れたくないと思っていることを、山路から知らされて驚く。今の坂間が好きだから「ダメなままでいい」「変わんなくていい」と思っていた茜。しかし、茜の本心を知った坂間は、だからこそ「変わりたい」と願う。

 過去にクドカンドラマに登場した青年たちと同じように、坂間たちもまた、大人になるために、もがき続けている。

■成馬零一
76年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

■番組情報
日本テレビ新日曜ドラマ『ゆとりですがなにか』
4月17日(日)22:30スタート
出演:岡田将生 松坂桃李 柳楽優弥 安藤サクラ 吉田鋼太郎
脚本:宮藤官九郎
「ゆとりですがなにか」公式サイト

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