サザンオールスターズ、「嵐を呼ぶマンピー!!」に隠された”稀代のエンターテイナー”の証 大晦日無観客配信ライブへの期待

サザン、”稀代のエンターテイナー”の証

 サザンオールスターズが、大晦日に無観客配信ライブ『サザンオールスターズ ほぼほぼ年越しライブ 2020「Keep Smilin’〜皆さん、お疲れ様でした!! 嵐を呼ぶマンピー!!〜」supported by SOMPOグループ』を開催。これに先がけて“「マンピーのG★SPOT」で盛り上がってしまおう”というキャンペーン「ハッピー“マンピー”クリスマス!!」がスタートしている。

 「嵐を呼ぶマンピー!!」というタイトルと連動したこのキャンペーンは、CDショップ、ラジオ、WEBを横断して展開。CDショップ・オンラインショップではサザンオールスターズ関連作品を購入すると「嵐を呼ぶマンピーステッカー」がプレゼントされる企画や、各ストリーミングサービスでは“33曲すべてが「マンピーのG★SPOT」”というプレイリスト「無限マンピー」が公開。2時間20分にわたって「マンピーのG★SPOT」がリピートされる、サザンらしい振り切った企画だ。ラジオでも連日昼夜を問わずいろんな局で「マンピーのG★SPOT」が流れてきていて、とても面白い。

 2020年6月25日に行われた『サザンオールスターズ 特別ライブ2020 「Keep Smilin’〜皆さん、ありがとうございます!!〜」』に続く今年2回目となる今回の配信ライブは、“サザン恒例の年越しライブが6年ぶりに配信ライブで実現”ということ自体が大ニュース。“皆さん、お疲れ様でした”という言葉からもわかるように、未曾有の事態に見舞われた2020年を過ごした全ての人たちへの労い、そして、来年も一緒に笑顔で頑張っていきましょうというエールが込められたライブになりそうだ。そこに“嵐を呼ぶマンピー”を加えるところがサザンのサザンたるゆえん。大晦日のライブには“みんなで力を合わせて、この大変な時期を乗り越えよう”という真摯なメッセージだけではなく、“すべての憂さを吹っ飛ばすような楽しさを届けたい”という思いがたっぷりと注ぎ込まれているのだ。

 「マンピーのG★SPOT」は1995年、通算35作目のシングルとしてリリースされた。

 当時のサザンは、「真夏の果実」(1990年)、「涙のキッス」(1992年)などのヒット曲によりーーいまや日本のポップスのスタンダードになっている名曲であるーー名実ともに国民的バンドに上り詰めていた。また名盤と名高いアルバム『世に万葉の花が咲くなり』(1992年)によって、音楽的な評価もさらに向上。セールス力、ライブの観客動員、音楽自体のクオリティを含め、サザンは当時もっとも順調なキャリアを築いていたと言っていいだろう。

 日本を代表するスーパーバンドになれば当然、世の中の注目も集まり、新たなトライは難しくなる。このままサザンは安定路線を進むのか……という時期にリリースされたのが「マンピーのG★SPOT」であり、この1曲でサザンは“稀代のエンターテイナー”としてのイメージを強烈に印象付けたのだった。

サザンオールスターズ『マンピーのG★SPOT』
サザンオールスターズ『マンピーのG★SPOT』

 ブルース経由のヘビィなギターリフを軸にしたロックサウンド、スピード感に溢れたリズム、圧倒的な解放感と滲み出る哀愁が溶け合うメロディ。ロックバンドとしてのサザンの魅力が詰まった「マンピーのG★SPOT」の最大のポイントは、やはり歌詞。日本の芸能に継承される春歌、猥歌の手法を取り入れながら、桑田佳祐流の快楽的なフロウが炸裂する歌詞は、無数にあるサザンの名曲のなかでも出色の出来。特に〈芥川龍之介がスライを聴いて〉というラインは絶品だと思う。

 そもそも、「マンピーのG★SPOT」という曲名がすごすぎる。これが代表曲の一つであり、多くのファンが普通にこの曲名を口にすること自体がなかなか考えられないことである。「90年代くらいまではコンプライアンスも緩かったからね」と思う若者もいるかもしれないが、1995年においても「マンピーのG★SPOT」はギリギリであり、信じられないほど“攻めた”タイトルだったのだ。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる