内田彩による“幸せしかない空間” 『So Happy!!!!!』ツアーに感じた頼もしさ

内田彩による“幸せしかない空間”

 内田彩が6月16日にパシフィコ横浜で行った『AYA UCHIDA LIVE TOUR 2018 ~So Happy!!!!!~』は、タイトル通りといえる、幸せな歌声と音楽に満ち溢れた空間だった。

 彼女がここでソロライブを行ったのは、約2年前ぶりのこと。その時は初の単独武道館公演を前に、勢いをさらに加速させるエネルギッシュなライブだった(参考:内田彩が“ハルカカナタ”のファンに届けた歌と言葉)。しかし今回は、良い意味で肩肘を張った様子もなく、余裕と自信をもって自らの楽曲を歌う内田の姿がなにより印象的だった。

 ライブは、元ORIGINAL LOVEの小松秀行が作曲を、“ナイス佐藤”こと佐藤清喜がアレンジを手がけた、ほんのり80sR&B〜渋谷系のフレーバーがするハッピーなディスコチューン「So Happy」からスタート。今回のツアーを象徴する楽曲であり、『お前はまだグンマを知らない』(以下、『おまグン』)のエンディングを飾る、内田にとっては初のアニメタイアップ楽曲だ。

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 内田とその制作チームはこれまで、良曲を作ることを最優先すべく、タイアップをつけることなく音楽活動を行ってきたが、このタイミングでアニメ主題歌を担当したのも、ある意味自信のあらわれといえるだろう。歌に関しても「So Happy」終盤でフェイクを多用したりと、他の楽曲も含め、原曲のフォーマットにも縛られていない、ある種の“自由さ”を感じた。

 2曲目のピアノロック歌謡「Holiday」には〈So Happy?〉〈Yeah!〉といったコール&レスポンスがつき、3曲目に早くもアンセム「アップルミント」を持ってくるなど、現在の楽曲の充実ぶりがはやくも伺えるセットリスト。『おまグン』にちなんで自身と同郷でもある群馬県民をイジったあとは、同県のゆるキャラであり、「So Happy」のMVにも出演したぐんまちゃんを探しに行くという演技パートに。どうやらこのストーリーが今回のツアーの軸になるようだ。

 そのストーリーをなぞるように、ワルツ調の「泣きべそパンダはどこへ行った?」では〈パンダ〉を〈ぐんまちゃん〉に置き換えて歌い、ラストのサビでは内田がいつものパンダパペットではなく、ぐんまちゃんのパペットを装着。同じく佐々倉有吾が手がけた「いざゆけ! ペガサス号」でも「本物のぐんまちゃんはまだいないから、自転車で探しに行かなくちゃ!」と引き続きぐんまちゃんがフィーチャーされるなど、同じ作家の楽曲で演出が繋がるという構成も面白い。

 東タカゴー(Gt)、黒須克彦(Ba)、櫻田泰啓(Key)、SHiN(Dr)、初参加の鈴木ぷよ(Gt)といったバンドも熱量の高い演奏を見せ、内田が歌そっちのけで観客の煽りに徹した「Go! My Cruising!」のあとは、「Merry Go」で客席のペンライトがカラフルに光る。2年前に同会場で行われたパフォーマンスで、内田が「好きな色でいいからねー!」と叫んだことからこの演出がスタートしたのを思い出した。ラストはこれまでと違い、フィンガースナップの音で大サビに入っていくという絶妙なアレンジが施されていたことも記しておきたい。

 そこから「ピンク・マゼンダ」を、武道館ぶりに同期と生演奏が同居した“切な楽しいバージョン”で披露すると、内田はMCで「良い曲がいっぱいあるから、セットリストを組むのに苦労した」とニヤつきながらコメント。その言葉に勢いよく頷いたところ、筆者の周囲も同じリアクションだった。内田は続けて「いつも、はしゃいだり替え歌したりしても、ついてきてくれるみんながすごく大好き。そんなみんなに向けた曲です」として、みなとみらいの夜景にも合う雰囲気の楽曲「Close to you」を歌い上げる。音や歌声だけを聴くと叙情的な印象だが、その前に添えられた言葉から、この曲もひとつの“幸せ”をテーマにした曲なのだと気づかされる。

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