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サカナクション、『魚図鑑』1位獲得で10周年イヤーに華 最新チャートに見るバンドの“循環”

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 今週1位を獲得したのはサカナクションの『魚図鑑』。これまでのキャリアを総ざらいする選曲に映画『曇天に笑う』の主題歌でもある新曲「陽炎 -movie version-」も収録されたベストアルバムで、バンドとしての「10周年イヤー」に華を添える結果となった。

サカナクション『魚図鑑』

 映画『バクマン。』主題歌の「新宝島」、NHKのサッカーテーマソングだった「Aoi」などお茶の間でも知られる曲も収録されている今作だが、こうやって彼らのキャリアを振り返るとその道筋が独特だったことを改めて実感させられる。浮遊感のあるバンドサウンドに文学的な歌詞が乗った「三日月サンセット」で注目を集め、あっという間にシーンの最重要バンドにまで上り詰めたわけだが、その過程ではマスメディアの積極的な活用(当時は今ほどテレビとロックバンドの距離は近くなかった)から『NHK紅白歌合戦』への出場という最高の形で帰結するストーリーがある。また、四つ打ちのバスドラムを効果的に使ってオーディエンスを盛り上げるそのサウンドが後の「四つ打ちロック」のムーブメントを呼び込んだ一方で、フォーキーな趣からゴスペルを思わせる展開に流れ込む「ナイトフィッシングイズグッド」やダンサブルでありながらどこか禁欲的なムードもある「ホーリーダンス」など、単なるお祭りムードに流れないひねくれ感のようなものもある。さまざまな領域を越境しながら常にハイレベルのアウトプットをたたき出し続けて日本の音楽シーンにとってなくてはならない存在になった彼らの10年間のプロセスが、今作には余すところなく収められている。

 ちなみに、「余すところなく」と書いたものの、今回の『魚図鑑』では「ユリイカ」「グッドバイ」「さよならはエモーション」「蓮の花」といった2014年にリリースされたシングル曲が収録曲からきれいに除外されている。現在サカナクションは「3作品連続リリース」の真っただ中にあるが、この辺りの楽曲はその第3弾作品となる来たるべきニューアルバムに収録されるのだろうか。ここで挙げた4曲はいずれも「サカナクションのパブリックイメージ」から少し離れたところで音楽性を拡張しようとする意欲作だった。次のアルバムは山口一郎曰く「まったく新しい、10周年からの本当に新しい第一歩としてのアルバムを作ろう」というモチベーションで制作されているらしく(参考:『サカナクションの2017年、山口一郎の2017年を振り返る』)、そんな方向性ともこれらの楽曲は合致しているように思える。実に5年ぶりとなるニューアルバムがどんなものになっているのか想像が膨らむ。

      

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