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『doorAdore』インタビュー

Plastic Treeが考える、オリジナリティの核「音に対するバランス感覚が“らしさ”を生み出している」

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 4人組ロックバンドPlastic Treeが、前作『剥製』よりおよそ2年3カ月ぶり通算14作目となるアルバム『doorAdore』を完成させた。

 昨年メジャーデビュー20周年を迎え、その“樹念”シングルとなる『念力』や『雨中遊泳』の連続リリースをはじめ、若手からべテランまで様々なアーティストが参加した自身のトリビュートアルバム『Plastic Tree Tribute〜Transparent Branches〜』のリリースなど、バンドの軌跡を総括するような活動が続いてきた彼ら。それらを踏まえ、「Plastic Treeらしさとは何か?」について、改めて向き合いながら作り上げた本作は、4人の個性が拮抗しつつも不思議と統一感のある内容に仕上がっている。おそらくそれは、20年という長い年月をかけて築き上げてきた、メンバー間の絶妙なバランスによって成立しているものなのだろう。

 有村竜太朗(Vo)、長谷川正(Ba)、佐藤ケンケン(Dr)、ナカヤマアキラ(Gt)を迎え、アルバム制作中のエピソードはもちろん、曲作りのプロセスや、Plastic Treeサウンドの主軸である“シューゲイザー”への思いなどたっぷり語ってもらった。(黒田隆憲)

シューゲイザーは自分たちの芯の部分を作ってくれた音楽(長谷川)

ーーアルバム『『doorAdore』はいつ頃から制作が始まったのでしょうか。

長谷川:制作そのものは去年の秋くらいだったと思います。夏くらいにメンバー各々が曲を作って、ツアーと並行するような感じで曲を持ち寄り、ツアーが終わったあたりから本格的にレコーディングがスタートしました。

ーーということは、2016年のシングル『サイレントノイズ』は、アルバム制作に先駆けて作られたわけですね? 

長谷川:そうです。表題曲はアルバムにも収録されていますが、元々はPlayStatio® Vita用ゲーム『Collar×Malice(カラーマリス)』の主題歌として書き下ろしたものです。他のシングル収録曲も、ゲームとのタイアップありきで書いた曲なのですが、求められている世界観は、Plastic Treeのそれと大きく違わなかったので、自分たちらしさを出しつつもゲームに寄り添った楽曲になったと思いますね。特に何か、イレギュラーな曲作りをしたというわけではなかったです。

有村:それは、歌詞の部分も同じでした。

ーー昨年はシングル『念力』と『雨中遊泳』がリリースされました。この2枚はPlastic Treeメジャーデビュー二十周年“樹念”シングルだったわけですが、作る際にもアニバーサリー的なことは意識しましたか?

長谷川:例えば「念力」は、自分たちが20年前にやろうとしていた音楽スタイルを意識しています。我々がデビューした頃は、海外ではオルタナティブロックがメインストリームになってきて。でもそれを、日本国内でやろうとしている人たちってあまりいなかったんですよね。Plastic Treeはその頃から、そういうエッセンスを取り込んできていたし、もし今のスキルや持ち味で同じようなアプローチをしたら、どんな楽曲になるのかを試してみたかったんです。

ーーThe Chemical BrothersやThe Prodigyなど、当時ビッグビートと言われていたサウンドを彷彿とさせます。一方「雨中遊泳」は、Plastic Treeの持つ幻想的なイメージを強調した曲ですね。

長谷川:この曲は、「雨」というキーワードが先にあって。というのも、僕らの曲は「雨」をモチーフにしたものがすごく多いんですよ。なので、バンドを象徴する曲としてアニバーサリー用に1曲あったらいいなと思って作りました。サウンド的には、いわゆるシューゲイザー的なアプローチ。これもPlastic Treeが結成当時からずっと大切にしていた持ち味の一つですね。

ーーシューゲイザーといえば、昨年はRIDEとSlowdiveが揃って新作をリリースし、今年はついにMy Bloody Valentineの新作も控えているという噂です。そんな中、新しい世代のシューゲイザーファンも急増しているようですが、改めてPlastic Treeにとってのシューゲイザーとは何だったのか、聞かせてもらえますか?

有村:僕らシューゲイザーは世代的にほぼリアルタイムで、当時、偏ったロックが好きだった人ははまっていましたよね。確かに、ここ10年くらいは海外でもシューゲイザーに影響を受けたバンドがたくさん出てきていますが、Plastic Treeとしては90年代当時、シューゲイザーのサウンドってすげえ好きだったけど、それを全く上手く再現できず、「憧れつつも難解な音楽」というイメージでずっといました(笑)。昔からライブの時は、SEでもずっとマイブラをかけていたのですが、かけながら「どうやったらこの音が出せるんだ?」と思ってたし、よくメンバーにも相談していました。

ーーPlastic Treeを通してマイブラやシューゲイザーを知ったファンもたくさんいると思います。

有村:そういう声は確かによく聞きますね。僕にとってシューゲイザーは、憧れの気持ちを持ったまま、ずっと付き合ってきた音楽。だから、その先駆者であるマイブラやRIDEが、今また動き出しているのは感慨深いものがありますね。しかもシューゲイザーって音そのものが映像的だから、メンバーが年を重ねても、「美学」みたいなものがずっと貫かれているのであまり関係ないというか、こちらの思いは変わらないというか。そこがいいなと思うんですよね。

ーー長谷川さんは、シューゲイザーをどう捉えていますか?

長谷川:リアルタイムで最初に聴いた時、「すごい音楽が出てきたな」と思いましたよね。もちろん、その前からジザメリ(The Jesus and Mary Chain)とかも好きで、ギターの壁で埋め尽くす、みたいなサウンドを浴びてきてはいたんですけど、シューゲイザーはギターをギターとして鳴らしていないというか。ファズやディレイを駆使して、まるでシンセのような音を出して、それを重ねまくって構築していくという。しかも、フォーマットは実はロックンロールじゃないですか。そのアティチュードがとても好きでした。

ーー確かに。マイブラもジザメリも骨子にあるのはパンクロックという感じがしますよね。

長谷川:そうなんですよ。それでいて、例えばマイブラなんかは、轟音の中にフォーキーかつ甘いメロディが漂っていたりして。本来、同居できないものが一緒になっている、あの不思議な感じがたまらなく好きだったんでしょうね。おそらくその影響は、今でもPlastic Treeの中に生きているのだと思います。Plastic Treeは基本的にノンジャンルなので、色んなスタイルの音楽が入り込んでいるんですけど、シューゲイザーはどこか特別というか。自分たちの芯の部分を作ってくれた音楽なんですよね。

ーーシューゲイザーの遺伝子を宿しつつも、それだけじゃない新しいスタイルをPlastic Treeは築こうとしているように感じます。そういう意味で、共感できるバンドって日本にいますか?

有村:THE NOVEMBERSです。いつか、彼らとは対バンしてみたい。それが夢ですね。

ーーTHE NOVEMBERSといえば、彼らも参加したPlastic Treeのトリビュート盤『Plastic Tree Tribute〜Transparent Branches〜』が昨年リリースされました。THE NOVEMBERSのほか、若手のPELICAN FANCLUBや清春さんのような先輩、意外なところでは氣志團やR指定など、本当に様々なジャンルからメンツが集まって、改めてPlastic Treeの音楽性の広さ、影響力の強さを思い知らされました。

長谷川:ありがとうございます。僕らとしても、とても嬉しかったし光栄でしたね。というのも、参加してくださったアーティストのみなさんは、例えばアレンジやサウンドプロダクションなどで、それぞれの持ち味を出しつつ、僕らの骨子となるメロディラインや、曲そのものの持つ雰囲気は、すごく大事にしてくれていて。あの作品を聴いたことは、今作を作る上でも刺激になりました。これからも、自分たちの芯の部分は大切にしながらやっていこうって。

      

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