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『Hands up!! If you’re Awesome』インタビュー

RYUCHELLが音楽活動を通して伝えたいこと「自分が変われば、見える世界はすべて変わる」

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 2010年代の原宿ブームの中から登場し、今やお茶の間の人気者となったりゅうちぇる。彼がRYUCHELL名義でアーティストとしてのデビュー曲「Hands up!! If you’re Awesome」を完成させた。今回のデビューは、彼が自身の経験から「個性や多様性の大切さ」を伝えるために実現。全体のディレクションはRYUCHELL自身が行い、水曜日のカンパネラのケンモチヒデフミ(サウンドプロデューサー/コンポーザー)、ファンタジスタ歌麿呂(アートディレクター)、SHOTA(ダンスディレクター)、Bambi(コレオグラファー)といった錚々たるクリエイターを迎え、90年代を思わせるサウンドの中で「自分の色を取り戻そう」という真摯なメッセージを伝えている。今回のプロジェクトや楽曲で表現したかったことの核心について、RYUCHELLに聞いた。(杉山仁)【※インタビュー最後にプレゼント情報あり】

生まれて初めて自分の居場所を見つけた“原宿”の街

――今回のアーティストデビューは、どんな思いではじまったものなのかを教えてもらえますか? 小さい頃からの経験も関係しているのかもしれませんね。

RYUCHELL:そうですね。僕は今でこそ「自分の色を大切にする/自分の色を取り戻す」ということや、「自分の個性をしっかり表現する」ことの大切さをみんなに伝えたい!と思えるようになりましたけど、もともと地元がすごく田舎なので、中学生ぐらいまでは「自分がなりたい自分」でい続けることがすごく難しくて。「そんなことをして、いいことがあるのかな?」とずっと思っていました。僕みたいに普通の男の子とは少し違うものが好きだったりすると、結局からかわれてしまうだけだし、「どうせからかわれるならいいや」と思って最初は本当の自分を隠していました。でもそうすると、自分が本当の自分を隠しているから、周りの人とも偽りの関係性しか築けなくて、そうやって嘘をつき続けることがだんだん辛くなってしまって。自分の頭の中で、いつしか“りゅうちぇる”という自分のヒーローを作るようになったんです。何かあったときに、「“りゅうちぇる”だったら何て言うだろう?」「“りゅうちぇる”だったらもっと自分を表現するのかな」って、そんなことを考えるようになって。それで高校生になったとき、本当の自分を出そうと決心して、それをSNSでも表現するようになりました。

――そのタイミングで、勇気を出して本当の自分を出すようになったんですね。

RYUCHELL:その頃ちょうど原宿ブームがあったので、高校では人気者のように接してもらうこともできました。でも一歩学校から出れば、やっぱりみんなに冷たい目で見られてしまうわけで、それが怖くなったときに「原宿」という個性が許される街を知ったんです。「だって原宿だもん! そんな人もいるよ!」と言ってくれる場所って、僕は日本にはないと勝手に思い込んでいたので、それにすごく感動してしまって。高校卒業後すぐに原宿に上京しました。そこで同じような思いを抱えてやってきたたくさんの人に会って、運命の人(ぺこ)にも出会って――。生まれて初めて自分の居場所を見つけたような感じがしたし、本当の自分に素直になることで「出会いも自分で変えられるんだ」と知りました。「自分を信じてよかったな」と思わせてくれたのが、原宿という街でした。そこからTVに出させていただくようになって、「自分の個性を出していいお仕事があるんだ」と驚きました。というのも、僕は中学生の頃までは自分の個性を一番憎んでいたし、「普通って誰が決めたんだろう」と悩んでばかりだったので。そんなはみ出しものの自分がTVで色んな方に知ってもらえて、地方に行ってもみんなが会いにきてくれるということが、本当に嬉しかったですね。でも、そうやって自分の問題を解決できたときに、僕の他にも同じようなことで悩んでいる人たちが、まだたくさんいることに気づいたんです。それなら自分ができる方法で、メッセージを届けたいと思ったのが、RYUCHELLプロジェクトの大まかなはじまりです。

――自分が個性を大切にすることについて悩んだからこそ、同じように悩んでいる人たちのためにできることをしたい、と思ったのですね。そして今回、アーティストデビューが決まったわけですが、RYUCHELLさんはもともとどんな音楽が好きだったんでしょう?

RYUCHELL:「服と歌って繋がってるな」と思うんです。僕は80~90年代のアメリカの洋服が大好きなんですけど、音楽もその時代が大好きで、よく聴くのはジェイソン・ドノヴァンさんやバナナラマ、カイリー・ミノーグさんのような人たちの音楽です。学生時代からその時代の洋楽が好きだったので、周りの同級生とは話が合いませんでした(笑)。地元の沖縄には基地が近くにあったので、外国の方が聴いている音楽をたくさん聴いていて、幼稚園の頃はスパイス・ガールズが大好きでしたし、2000年代はブリちゃん(ブリトニー・スピアーズ)やバックストリート・ボーイズを聴くようになって――。実は、今日の髪型もバックストリート・ボーイズのニックを意識しているんです(笑)。

――ああ、なるほど!

RYUCHELL:僕らの世代はYouTubeで音楽を聞いたり配信の音楽を買うことが多くて、MVからアーティストを好きになることが多かったですね。それに、姉が沖縄アクターズスクールに通っていたので、小さい頃から“ザ・アクターズ”という雰囲気の曲もよく聴いていたし、琉球民謡も好きでした。もともとはそういうものが好きで、大きくなるにつれて、最初に言った80~90年代の音楽が好きになっていきました。80年代のベストヒットを調べて、それをメモして新しい曲を聴いて――と、そういう音楽にどんどんハマっていって。80年代の音楽って、すごく明るいのにその奥に暗い部分があるような気がするんです。そういう、悲しさを持った明るさが好きで、自分もいつかそういうことが表現できたらいいな、とずっと思っていました。

――TVドラマではありますが、音楽を題材にしているという意味では『glee/グリー』も重要だったんじゃないですか?

RYUCHELL:『glee/グリー』は大好きです! 『glee/グリー』は、はみだしものたちが集まって困難を歌で乗り越えていくというお話で。音としては自分の好きな雰囲気ではないんですけど、歌詞やそれぞれのキャラクターの物語に自分を重ねてしまって、涙なしには観られないです。中でも「Loser Like Me」の「今はみんなに負け犬と言われているけど、いつか心に宿った才能を開花させて、『負け犬』って言ったあんたに羨ましいって言わせてやる」という内容の歌詞を中学生の頃に知って、「僕も人生変えなきゃ!」と思いました。僕は劇中に登場するレイチェルが大好きで、そこから“りゅうちぇる”という名前も生まれたので、ファッションも歌も自分の世界観とは違うものではありますけど、生き方や言葉、歌詞の部分ですごく共感しています。

――最近はどんな音楽を聴いているんですか?

RYUCHELL:やっぱり、最近もジェイソン・ドノヴァンさんやカイリー・ミノーグさんのような音楽です(笑)。でも、他にはレゲエも好きなのでジミー・クリフも聴くし、TLCのような90年代のR&Bや、2Pacのようなヒップホップも好きです。歌って色んな表現ができて、色んな捉え方ができて、色んな考え方ができますよね。「この人自身はこういうことを言いたいのではないかもしれないけど、自分はこう重ねて聴こう」ということもできて、色んな人に響く表現ができるというのがすごく魅力的だと思います。それに、ライブでみんなの前で直接歌を届けられる日が来たら、それもきっと楽しいと思うんです。ある時期、「みんなに近い存在でいたいのになかなか直接会いにはいけないな。遠いな」と感じることがあったので、ライブをしたら直接みんなに会いに行ける。それが今からすごく楽しみです。

ただ「明るい/楽しい」だけの歌にはしたくなかった

――では、今回の「Hands up!! If you’re Awesome」がどんなアイデアでできた曲だったのかを教えてもらえると嬉しいです。

RYUCHELL:今回は、「これがRYUCHELLとしての1曲目だ」ということを意識しました。まだここでは伝えたいことの100分の1ぐらいしか伝えられていないですけど、大人になるにつれて忘れてしまう個性の大切さを表現しようと思いました。子供の頃は、女の子は誰でもプリンセスになりたいと思っているし、男の子はみんなヒーローになりたいと思っていたのに、大きくなるにつれて現実を見て、その気持ちをどこかに置いてきてしまう。でも、それって「本当に大人になる」ということとは、ちょっと違うと思うんです。だからこそ、「みんなにキラキラしてもらうために、大切にしてほしいことを伝えたい」と考えていました。その1曲目として、かかわってくれた方々が本当に素敵なものにしてくださいました。

――実際の制作作業はどんな風に進んでいったんですか?

RYUCHELL:まずは楽曲を担当するケンモチさんに先ほど挙げたような僕の好きな楽曲を渡してイメージを伝えました。そうしたらケンモチさんがそれを絶妙にすくい上げてくださって、「さらにいいものができるかも!」と、僕の中でもどんどんイメージが膨らんでいってしまって。ケンモチさんが曲を送ってくださるたびに、「もっとこうしてほしいです!」とどん欲になっていきました(笑)。レコーディングのときは、歌もトラックのひとつになるようにしたいと考えていましたね。僕が好きな80~90年代の曲もそういうものが多いと思っていたんです。それで今回は、歌が上手いと思われなくてもいいので、全体の世界観が伝わるものにしたいと思っていました。MVもまったく一緒で、最初に「デビュー曲だからこの曲ではこうしたいです」と世界観をお伝えしました。それをみなさんが本当に上手く形にしてくださって、僕の気持ちを分かってくれて、本当に嬉しかったです。MVのカメラワークにも画質にもこだわりました。その上で、自分が最初に想像していたものとはまた違う魅力も生まれているので、そこをみんなに聴いてほしいです。歌詞には英語を加えて、ここでも自分が思うデビュー曲の世界観を表現しました。

――歌詞はRYUCHELLさんとKanata  Okajimaさんとの共作ですね。これはどんな風に考えていったのですか?

RYUCHELL:ただハッピーな曲にするのではなくて、自分が嫌だった経験や自分のことが大嫌いでしょうがなかった時期の経験も、明るさの中に匂わせたいと思っていました。やっぱり、みんなが日々色々なことを経験したり、悩んだりしながら生きていると思うので、そういう人たちに聴いてもらう曲は、ただ「明るい/楽しい」だけの歌にはしたくないと思いました。

――<ココから/コレから/普通を変えよう>という歌詞がとても印象的でした。「普通」という言葉は本来定義がものすごく曖昧な言葉ですが、なぜかみんながそれを勝手に決めてしまって、そこから外れるものを遠ざけてしまうことがあると思います。RYUCHELLさんがその難しさを体験してきたからこそ、心に響くものになっていると思いました。

RYUCHELL:ありがとうございます。とっても嬉しいです。歌詞のもとになる詞は、1年前から仕事の移動中や寝る前の時間にずっと書いていました。でもそれを歌詞にするときに、エモすぎるものになるのも避けたかったし、クサすぎる、綺麗すぎるものにもしたくはなくて。何度も書き直しました。ちなみに、1番の<ココから/コレから/時代を変えよう>という歌詞は、強くなった今の自分が言っている言葉で、最後の<ココから/コレから/普通を変えよう>という歌詞は、強くなかった僕が一番変えたいと思っていたものを表現しています。僕はこれまで、「普通の男の子はこんな格好しないよ」とか「普通はさぁ」って、それこそ、何百回も言われてきたんですよ。「その普通って何? 誰が決めたの?!」って思いながらも、こわくて何も言えなかった。だから、今回この言葉を入れられたのは本当によかったです。

      

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