花澤香菜、佐橋佳幸&水野良樹タッグで開いた新たな扉 「遠慮もだんだんなくなってきている」

花澤香菜が開いた新たな扉

 花澤香菜がシングル『春に愛されるひとに わたしはなりたい』をリリースした。

 表題曲は、作詞作曲をいきものがかりの水野良樹が、サウンドプロデュースを佐橋佳幸が手掛けた一曲。カップリング曲「ひなたのしらべ」「夜は伸びる」は花澤香菜自身が作詞を、作・編曲を佐橋佳幸が手掛けている。

 新作は、山下達郎、大貫妙子、佐野元春などそうそうたる面々が厚い信頼を寄せるギタリストの佐橋佳幸、そして初顔合わせとなる水野良樹とのタッグで、「王道の日本語ポップス」としての花澤香菜の新たな魅力を切り拓いた一枚と言えるだろう。さらに、2月10日には新曲を披露するライブ『KANA HANAZAWA Concert 2018 “Spring will come soon”』も開催され、こちらのバンマスも佐橋佳幸がつとめるという。

 新たな季節を迎えた花澤香菜に、その背景を聞いた。(柴那典)【※インタビュー最後に読者プレゼント情報あり】

「人と出会って刺激をもらうのは素敵なこと」

ーー音楽活動としては久しぶりのリリースになりますね。

花澤香菜(以下、花澤):そうですね。ただ、実はずっと打ち合わせやら何やら、いろいろ動いてはいたんです。新しいプロジェクトが始まるタイミングで、佐橋さんとも水野さんとも、わりと早いタイミングでお会いして楽曲制作をずっとやっていたので。

ーーそうなんですね。ということは、アルバム『Opportunity』をリリースした後に、いろんな区切りがあったということでしょうか?

花澤:そうなんです。アルバムを出して、ツアーが終わった段階で、ANIPLEXから新しいレーベルのSACRA MUSICに引き継ぎがあって。そこから「じゃあ今度はどういう風にお仕事をしていこうかな」という時に、前に空気公団とジョイントライヴをやった時のあの新鮮な感じ、新たな人と出会って刺激をもらうのは素敵なことだと思って。「今回また新しい人達とやってみるのもいいよね」っていうことになったんです。

ーー「春に愛されるひとに わたしはなりたい」はいきものがかりの水野良樹さんが楽曲提供、サウンドプロデュースを佐橋佳幸さんが手掛けていますが、お二人にもその段階でお願いした、と。

花澤:そうですね。2月10日にコンサートがあるんですけど、そのバンマスも佐橋さんがやってくださるんです。そこでは既存の曲も佐橋さんのアレンジで演奏したり、カバー曲も歌ったり、佐橋さんとやるからこそのいろんなことができるのかなって。

ーー佐橋佳幸さんは歌謡曲の時代から沢山の歌手やアーティストと一緒に音楽を作ってきたギタリストですし、一緒にやって得るものは沢山あったと思うんですけれど。どうでした?

花澤:まず、お会いする前に佐橋さんのお仕事を知って。佐橋さんだって意識しない時から「このギターの音を私は聞いてきたんだな」って思ってたので「どういう方なのかな」ってワクワクしながら打ち合わせに行ったんです。でも、お会いしたら、コミュニケーション能力が素晴らしすぎて、人類みな友達なんじゃないかって思うくらいで(笑)。

ーーそういう方なんですね。職人肌の巨匠みたいなイメージを勝手に持ってました。

花澤:本当に誰でも話しやすい、誰でも意見が言えるような空間を作ってくださって。とにかく現場の雰囲気が明るく、みんなが自然とモチベーションが上がるような感じでした。

ーーいきものがかりの水野良樹さんともご一緒するのは初めてですよね。お会いしてみてどんな感じでしたか?

花澤:水野さんは楽曲を作るにあたって、まずヒアリングをしてくださって。私に「自分がどういう人だと思いますか?」とか「どういう音楽を聴いてきましたか?」とか、そういうことから聞いてくださって、徐々に「じゃあこういうサウンドが好きなんですね」とか、「テーマは春ですけど今の状況はどうですか」とか、自分と重ね合わせていって、曲の方向性を決めていくみたいな、そんなやり方をしてくださったんです。

ーー曲を作るにあたってまずヒアリングから入るのって面白いですね。

花澤:なんかカウンセリングみたいでした(笑)。

ーーどんなことを話したかは覚えてます?

花澤:「どういう人になりたいか」とか、そういう話をしたような気がします。素直に進んでいける人なのかとか、それともそうなりたくてもがいている人なのかとか、いい人なのか悪い人なのかとか、そういうことから話すっていうのは、なかなか今までなかったので。

ーー「どういう人になりたいか」って難しくて大きな問いですよね。花澤さんは聞かれて、どういうイメージが思い浮かんだんですか?

花澤:どういう風に答えたか忘れちゃったんですよね。でも、私は他人を気にしてしまったり、自分よりも周りの人がどう思っているかをすごく気にしてしまう性格だと思うのですが、それがいい時もあるんですけど、なんか違うなって時もあるんです。もうちょっと自分を強く持ちたいみたいなことを思ったりしますね。

ーー確かに、今までに書かれた歌詞でもそういう内面は出てますね。

花澤:あと、私、2018年には舞台をやるんですよ。4月から地球ゴージャスプロデュースの『ZEROTOPIA』という公演で。舞台をやるのは10年ぶりぐらいで、しかも何カ月もかけていろんな場所を回る商業舞台に挑戦するので、楽しみではあるんですけど、自分がどれだけできるのかという不安や緊張もあって。そういう時に一緒に歩めるような曲になったら嬉しいですっていう話をしました。

ーーなるほど。単にレーベルや体制が変わったということだけではなく、花澤さん自身としてもある種の心機一転したいイメージがあった。

花澤:はい。もう30歳手前なので、「せっかくだから、やってみようかな」って思うことが多くなったような気がします。でも、それって今のタイミングだからなのかなって思ったりもして。ちょうど変わり時なのかもしれません。

ーーそういうお話を踏まえて「春に愛されるひとに わたしはなりたい」というタイトルを考えると、水野さんもど真ん中の言葉を選んできた印象ですね。

花澤:そうですね。歌詞のメッセージも強くて、私とお話しして作ってくださった感じが伝わってきましたし、あと最初のデモが水野さんの歌で入ってたんですけど、それがブルースというか、結構かっこいい感じだったんです。私の声を意識して作ってくださる方って、ふわっと、キラキラとさせてくださる方が多いんですけど、「何か違うのがきた!」と驚きました。

ーープレスリリースの水野さんのコメントでも「花澤さんに初めてお会いしたとき、柔らかな表情とその可愛らしい声のなかに、隠された凛々しい芯のようなものがあるのを感じました」とありますし、水野さんとしても芯の強い曲を作ろうっていう意識があったのかもしれない。

花澤:そうですね。私がよく聴く曲をお話しした時に、THE BLUE HEARTSやフジファブリック、エレファントカシマシと名前を挙げたら、「大体分かりました」って言われて(笑)。私の好きなテイストも入れてくださった感じはしました。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる