東方神起の物語が再び動き出すーーファンに「ただいま」伝えた東京ドーム公演レポ

東方神起、東京ドーム公演レポ

「みなさん、ただいま!」

 東方神起の二人が叫ぶと、客席からは大歓声が湧き上がった。約2年の時を経て、ついに東方神起が帰ってきた。(取材日:2017年12月20日/東京ドーム公演)

 ファンは、この時をどれほど待ちわびていたことだろう。チャンミンは『Love Music』(フジテレビ系/2017年11月26日放送)で、「恋人同士でも2年待っていてくれるって、なかなか難しい。早く感謝を伝えたい」と語っていた。人は身近な存在になるほど、そばにいてくれることが当然になってしまいがちだ。だが、離れた時間があったからこそ、ユンホとチャンミンは、お互いを“家族”だと再認識した。そして、共にステージを作り上げるスタッフ、何よりもこうして待ってくれたファンのことも……。人生の出会いと別れは、表裏一体。だからこそ、今こうして共有している時間を大事にしたい。そんなふたりの深い愛が感じられるライブだった。そして同時に確信した、どんなことがあっても、ここが彼らの居場所であること。「ただいま」と呼べる、ホームは決してなくならない。

完全復活を印象づける、圧巻のパフォーマンス!

 東方神起のライブの魅力は、やはりハイレベルな歌とダンスだ。2年の時を経てステージに立ったふたりは、ブランクを感じさせるどころか、より感度を高めた印象。ユンホは身体を絞り、もともとキレのあるダンスはより情熱的に。チャンミンは大人の色気が増し、歌声の表現力も飛躍したように見える。どんな経験も、彼らのエンターテインメントに昇華されるのだろう。

 セットリストは、“再始動”を意味する最新曲「Reboot」からスタート。「僕たちの強みとも言えるパフォーマンスを存分に見せられるダンスナンバー」とユンホが語るように、いきなりトップギアでの激しいダンスを披露した。メインステージの両サイドに登場したふたりが、ムービングステージをギシギシと揺らしながら踊る。センターステージでふたりがすれ違うと、自然に交わされるハイタッチに胸が熱くなる。

 ステージ演出を手掛けたのは、長年タッグを組んできたTRFのSAMだ。過去のインタビューでSAMは、東方神起のステージは「歌とダンス両方とも本当に素晴らしいアーティストなので、バランスよく両方を魅せれるようにすること」とこだわりを語っていた。「全てのお客さんが楽しめるように360度空間を使って演出します」と言う通り、今回も「ANDROID」では、客席の頭上でセンターステージが花道ごと回転するダイナミックな演出が導入された。

 そして、「Humanoids」を背中合わせのポージングで歌い終えるふたり。その姿は、今回のツアーアイコンにもなっている2羽の不死鳥が重なるシルエットそのままだ。不死鳥は自ら、燃えさかる炎の中に飛び込んで何度も再生するという。それは、レッドオーシャンの中で活動休止を告げた彼らが、再び赤い光の中から再始動するさまを連想させた。「新しい魅力をまた見せるから、みなさん期待しててください」とは『Love Music』の密着中にユンホがファンに告げた言葉。彼らは、何度だって期待を超えてくる、不死鳥のように。

ユンホとチャンミンと客席、トリオ漫才のようなMC

 ド迫力な特効花火やフライング、会場中をくまなく巡るトロッコ、そして歌声が降り注ぐ空中ブランコ……ふたりのパフォーマンスを、最大限に盛り上げる演出の数々。まるで大切な人へのサプライズデートのように、長年待っていてくれたファンを“喜ばせたい”という気持ちが伝わってくる。そんな彼らの愛情に応えようと、客席からも多くの声が投げかけられる。MCは、東方神起のふたり、そして客席の掛け合いで温かな笑いが湧き上がった。

 「今日、初めて東方神起のライブ見に来たお客様は……いらっしゃってるんですね。手をあげてみてください」と会場を見渡すユンホ。もちろん客席のほとんどは、再始動を待ちわびていたファンばかり。「あのー、あんまり新しいファンが増えてないですね」相変わらずツンデレなチャンミン節にファンも爆笑。「でも、男性のファン増えたんじゃないですか?」と続けると、会場のあちこちから男性ファンが声を出して応えるも「バラバラに叫ばないでください(笑)」と一蹴し、さらなる笑いを誘った。

 それでも「ちなみに、この人がチャンミンで、僕がユンホです。ふたりであわせて東方神起って言います」と、新しいファンに向かって礼儀正しく自己紹介するユンホ。この日、風邪を引いて体調が万全ではなかったユンホは「初めて東方神起のライブに見に来た方はですね、僕これが自分の声ではないからね! 誤解しないでください!」と完璧主義な一面もチラリ。すると「大丈夫、あまり新しいファンが増えてないから」とチャンミンがまたもや小気味良くツッコむ。その後も、ふたりでフライングのときワイヤーが食い込む“男の痛み”についてぼやいたり、ユンホが“切磋琢磨”という難しい日本語を覚えたのにファンが驚かなかったので「反応してくれよー」とすねて見せたり……スーパースターでありながら、驚くほど親しみやすい。その素顔を知ったら、誰もが彼らを放っておけない。そんなギャップが、多くのファンに愛される理由だろう。

 MCの終盤、残りの楽曲が少ないことを知らせると、会場から「えー!」の声が上がる。「あはは、みんな知ってるくせに」と笑うユンホに対して、チャンミンは「ファンのみなさん同士でセットリストの情報がわかってると思うんですよ。なのに“えー!”っていう」とバッサリ。だが、客席も負けじとさらなる「えーー!」の声を上げる。そんなファンとチャンミンを取り持つようにユンホが「さみしいのは知ってる、知ってるんだけど。そのさみしさを、次の曲で全部見せましょうかね! これからが本番!」と盛り上げる。すると、「いやいや、そんなはない! もう2時間もやってて、もう十分だよっ感じなのに、これから本番て、こわいですね。それはない!」と、またもや笑いを誘うのだった。

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