>  > HISASHI、“感覚”を信じた作品づくり

『WINTERDELICS.EP〜あなたといきてゆく〜』インタビュー

GLAY HISASHIが語る、“感覚”を信じた作品づくり「音楽がさらに自由に、みんなのものになった」

関連タグ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 GLAYが、55枚目のシングル『WINTERDELICS.EP~あなたといきてゆく~』を11月21日にリリースする。リードトラック「あなたといきてゆく」は、今もなお根強い人気を誇る名曲「ずっと2人で…」から20年の時を経て完成したラブバラード。「時計」や「Satellite of love」の再録を含め、本作にはGLAYによるラブソングの真骨頂が詰め込まれた4曲が収録されている。

 リアルサウンドでは、7月のアルバム『SUMMERDELICS』リリース時にインタビューをしたTAKURO(Gt)に続き、今回はHISASHI(Gt)に話を聞いた。本作がバラエティに富んだ前作アルバムから一変してラブバラード集となった経緯から、常に新たなことに取り組む姿勢やこれからの音楽シーンへの期待まで、作品の話だけにとどまらない、HISASHIの音楽観や活動論にまで話が及んだ。(編集部)

テクノロジーの進歩には貪欲に接している

ーー9月23日から全国アリーナツアー『GLAY ARENA TOUR 2017 “SUMMERDELICS”』が始まりました。手応えはいかがですか?

HISASHI:今回は準備がかなり整っていたので、やりたいことが完全に最初からできたというのはありますね。久しぶりのアリーナツアーということで、映像を大々的に使い、演出なんかも派手にして、『SUMMERDELICS』というアルバムを表現するうえではかなり満足のいく内容になりました。

ーーなるほど。

HISASHI:ちょっとアングラなサーカスを2~3時間観て、不思議な気持ちになってもらう感覚かな(笑)。そして、ライブを通して自分の中に重たい何かが残って、それが何なのかを『SUMMERDELICS』をまた聴いて探してもらうような、そういったツアーになればいいなと思っています。

ーー『SUMMERDELICS』というアルバム自体、近年の作品の中でも非常にバラエティに富んでいましたが、素人感覚だとそれをライブで表現しようとすると大変さを伴うのかなと思うのですが。

HISASHI:4人の個性が強く打ち出された作品でしたけど、うまく起承転結がハマるような内容だったので、逆に作品自体をライブに落としやすかったというか。そういった意味ではライブで扱いやすいアルバムだと思いますね。

ーーおっしゃるように、これまでのツアーと比べても今回は4人の色が強く濃く表れた、GLAYというバンドが非常に伝わりやすい内容だと思いました。

HISASHI:以前だったら僕のソロコーナーがあったり、メンバーそれぞれが分かれての演出があったりしたんですけど、今回はその役割を曲がやってくれている印象がすごく強いですね。

ーーそもそもデビューから23年というタイミングに、そういう作品を作り出せるという事実もまたすごいことだなと思います。

HISASHI:でも、それは自然と時代がそうさせてくれたというか。CDから配信に移行して、ユーザーが好きな音楽を自分から取りにいく時代に変わった。だから僕らもそのときに思ったこと・ものを収録して、ユーザーの皆さんにはその中から気に入った音楽を聴いてもらうという、そういう選択肢に変わってきたので、音楽制作の自由度はさらに高くなった気がします。

ーー思えばGLAYはパッケージを大切にしながら、配信に対しても積極的にトライしてきましたよね。

HISASHI:そうですね。僕ら自身も音楽業界のいろいろな変化をここ10数年、目の当たりにしてきましたけど、その都度「どういう対応をしようか」とか「こういう面白いアイデアもあるよ」とか、その環境を楽しみながら活動してきたんです。僕は新しい仕組みを取り入れることに対して積極的な方で、それこそ氷室(京介)さんとのレコーディングもオンラインでのやり取りでしたし、今回のアルバムのシングル曲もほとんど僕の自宅で録りました。テクノロジーの進歩には貪欲に接しているんじゃないかな。

デビュー当時は好きな音楽について質問されるのが怖かった

ーーHISASHIさんの目からは、この10数年の音楽シーンの移り変わりはどう映っていましたか?

HISASHI:自分自身CDを買う機会が少なくなったし、映画も観には行くんだけど配信でいいかと思うこともあって、ユーザにとってはストレスの少ない環境になったなと。で、気がつけば作り手である僕らもメンバーとクラウド上でデータのやり取りをしている。そもそも僕ら、佐久間正英さんプロデュースの頃からわりとデジタル志向だったので、メンバーそれぞれがその時々の移り変わりに対応している気はしますね。それに加え、僕らはドラムがメンバーにいないバンドなので、デビュー当時はいろいろと言われたこともあったけど(笑)、それが今では楽器を演奏しないバンドがいたり、それこそCGでできたアイドルがいたり、もうなんでもアリ。新しいことをやったほうが得だなって感じもあるので、僕はこれからのエンターテインメントの発展をすごく楽しみにしていますね。

ーー確かに、GLAYがメジャーデビューした頃はまだ、バンドに対してドラム、ベース、ギターがいて……という固定観念が強かったです。

HISASHI:僕らの頃はまだそうでしたよね。ちょうど黒夢もそうだったと思うんですけど、考えてみればそのぐらいからいろいろと認識が変わってきたのかな。デビュー当時は「音楽的ルーツは?」「何を聴いてますか?」と質問されるのがすごく怖かったんですよね。あの頃から普通にパンクも聴けばアイドルも聴いていたし、それこそおニャン子クラブとかも大好きだったけど、そういうことを僕が言ったらダメなような雰囲気があったから。でも何が優れているかは肌で感じてみないとわからない。アイドルのコンサートもすごくエモーショナルで、素晴らしいですし。2000年代を境に音楽がさらに自由に、みんなのものになった気がしますね。

ーー90年代後半に産業としてピークを迎えた音楽業界でしたが、その頃を機に自由度がどんどん高まっていった。そういった変化が表面化したのが2000年代だったと。

HISASHI:そうですね。それこそ90年代のGLAYは消費される存在で、僕たちのCDを持っていないと流行遅れとか、歌えないと話にならないとか、バンドありきじゃなくて主役がユーザーだった。だけど、そんな状況でもちゃんと地に足のついた活動を続けていたから、2000年という時代を乗り越えられたって気持ちもあるし、そもそもそんなことも考えずに4人が自由に音楽を作ってきたからここまで続いたというのもある。……でもやっぱり、自由にやれてきたということが一番大事だったんでしょうね。

ーー実は『SUMMERDELICS』発売後に周りの音楽仲間……僕はHISASHIさんと同い年なんですけど、そういった仲間が「今のGLAY、めちゃめちゃ面白いね」と言っていたんです。かと思うと、それと同じことを10代、20代の子たちも言っている。その子たちは、例えば親がGLAY世代だったのかもしれないし、最近のアニメタイアップを通じて知ったのかもしれないけど、これだけ幅広い世代の人たちに「今、GLAYが面白い」と思われるこの事実がすごく興味深くて。HISASHIさんはそのあたり、肌感覚として実感はありますか?

HISASHI:僕は作品を作ったら作りっぱなしで、その評価に興味がなくて。だけど……90年代は売れる曲を作ることにかなり縛られていたけど、2000年以降になってからはすごく自由になって、自分たちの感覚を信じてやっているので、自然とそういった感じ方をされているとなると、それはすごく嬉しいことです。

ーーTAKUROさんによる王道感の強い楽曲でも、それこそHISASHIさんやJIROさん、TERUさんが作る楽曲でも、TERUさんが歌った瞬間に“GLAYの曲”になるから不思議ですよね。

HISASHI:TERUが歌うことで曲にオフィシャルバッジが付くような、TERUが歌うということが強い武器になっているんです。さらに面白いのが、TERUが歌うことで曲が本来持っていた意味とはまた違った意味合いが出てくるということ。例えば「シン・ゾンビ」で歌っていることの意味なんて、TERUはさっぱりわかってないと思うんですよ。彼は『ウォーキング・デッド』を1話観て断念したって言っていたくらいなので(笑)。そんなTERUのフィルターを通すことによって、エグかった曲のエグみが取れたりする。でも、僕が言いたいことはちゃんと表現されているわけで、あらゆるテイストの曲をひとつの疑問も抱かないで彼が純粋にGLAYの曲として歌ってくれることが、GLAYの魅力になっているのかなという気がします。

ソロをやろうとは思わないのは、“想像”がついてしまうから

ーーGLAYは2019年にデビュー25周年を迎えますが、デビュー以降大きな活動休止期間がまったくないという事実がまたすごいことだと思っていて。

HISASHI:本当にないですよね。リリースも途切れないし、ツアーも毎年のようにやっていますし。基本的にバンドを動かしているほうが好きなのかもしれないですね。しかもその傍ら、JIROがTHE PREDATORSをやったり僕がACE OF SPADESをやったりしても、GLAYの活動の軸はブレないし。

ーーHISASHIさんは課外活動をいくつかやっていますが、例えばTAKUROさんが昨年発表したようなソロ名義でのアルバムは制作していない。そういったHISASHI名義でのソロ活動やソロアルバムには興味はないんですか?

HISASHI:ソロは考えたことがないですね。ソロで何かを表現したいというタイプではないので。なので、自分から誰かをプロデュースするというのもあまり考えたことがなくて。

ーー自分がやりたいこと、作りたいものに対して、GLAYの活動の中だけで満足できているんでしょうか?

HISASHI:そうですね。歌だったらやっぱりTERUの歌に対するアプローチはすごく得意だし、TAKUROの曲だったら彼の言いたいことをフレーズで表現する自信もあるし。なので、自分ひとりで何かやるといったらたぶん、『ニコニコ超会議』とか“弾いてみた”とか、ああいうことのほうが合っているのかなと。例えばひとりで曲を作ったとしても、それがGLAYのライブでSEになったり、アルバムで曲間のSEになったりする。そういう接点がないとやりづらいのかな。

ーーそれはGLAYが始まってから一貫して?

HISASHI:そうですね。

ーー常にGLAYが動いているからというのもあるんでしょうか?

HISASHI:仮にGLAYが活動休止になったとしても、「じゃあソロでやろう」とかそういうテンションにはならないと思いますよ(笑)。それになぜソロを作らないかというと、僕がソロを作ったときに「たぶんこういうものになるだろうな」と想像がつくんです。奇抜な曲だけじゃなくて、しっかりした歌モノも入るんだろうなとか。それを超えるアイデアがないと、やっぱりやろうとは思わないですよね。

「GLAY HISASHIが語る、“感覚”を信じた作品づくり「音楽がさらに自由に、みんなのものになった」」のページです。>の最新ニュースで音楽シーンをもっと楽しく!「リアルサウンド」は、音楽とホンネで向き合う人たちのための、音楽・アーティスト情報、作品レビューの総合サイトです。

表示切替:スマートフォン版 | パソコン版