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「テレビが伝える音楽」第4回:日本テレビ 演出/プロデューサー・利根川広毅氏

日テレ音楽特番『THE MUSIC DAY』総合演出が語る、アーティストの魅力伝える映像へのこだわり

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布袋寅泰
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 音楽の魅力を広く伝えるメディアとして、大きな機能を果たすテレビの音楽番組。CD全盛期に比べて番組数が減少する中、それぞれ趣向を凝らした番組づくりが行われている。そんななかでも、注目すべき番組に焦点をあてていく連載『テレビが伝える音楽』。第四回は、日本テレビの音楽特番『THE MUSIC DAY』『ベストアーティスト』で総合演出、『バズリズム』(10月6日放送より『バズリズム02』)の演出を手がける利根川広毅氏にインタビューを行った。特番/長時間番組ならではの演出面での工夫や、アーティストの魅力をテレビパフォーマンスで伝えるための強いこだわり、さらには同氏が思い描く音楽特番の理想像などについて話を聞くことができた。(編集部)

“1年中歌を撮っている”という環境が何年も続いた

ーーこれまで手がけられてきた番組について教えてください。

利根川広毅(以下、利根川):僕はもともとフリーランスで日本テレビの音楽番組『Music Lovers』(2006〜2013年)などでディレクターをやっていて、日本テレビに中途採用で入社しました。今年の10月1日で、入社丸4年になりました。これまでは、WOWOWのグラミー賞授賞式や『SUMMER SONIC』テレビ中継の総合演出など、日テレ以外にも各局音楽番組や特番の総合演出を担当してきました。入社してからは、DREAMS COME TRUE・中村正人さんがMCの『LIVE MONSTER』(2013〜2015年)や、バカリズムさん・マギーさんがMCの『バズリズム』(2015年〜)の演出、『ベストアーティスト』『THE MUSIC DAY』という音楽特番では総合演出を務めています。

ーー現在のお仕事を志したきっかけは?

利根川:音楽とスポーツが昔から好きで。学生時代はHIPHOP、R&B、SOULにハマってレコードを買い漁ったり、クラブでDJをやったりしていました。そのうちに音楽制作にも興味を持って、レコード会社の就職を目指しました。しかし、当時はほとんど採用がなくて、受けた数社も落ちてしまって。その後知人からテレビで音楽を扱う仕事があると紹介を受けたことがきっかけで、最初は制作会社にアルバイトとして入社したんです。

ーー日テレで初めて音楽番組を手掛けられたのは?

利根川:『Music Lovers』ですね。6人くらいディレクターがいるうちの1人、ローテーションのディレクターとして番組に携わりました。1カ月に1回くらい担当回が回ってくるんですよ。もちろん毎回収録にはいるんですけどね。『バズリズム』もそうですけど、ウィークリーの番組は、担当週でスタッフを分けて準備をしていくことがほとんどです。

ーー同じ番組でも担当回のスタッフによって変わる部分も?

利根川:その人なりの演出はある程度の腕が必要ですが、それぞれのカラーはやっぱり出ますね。現在の『バズリズム』では5人の担当ディレクターがローテーションを組んでいます。それを僕が常に管理して、方向性を決めながらクオリティを整えてオンエアしているんです。『Music Lovers』時代はローテーションで動く方のスタッフでした。

ーーその時代に学んだこと、今のキャリアに繋がっていることはありますか?

利根川:たくさんありますが、とにかくその頃は卓に座って歌を撮る、照明を決める、バックの映像をどのようにデザインして、どういうふうにカメラワークをして、そのカット割りをして、実際にライブを撮る、というのを1000本ノックのように年間に100曲、200曲やっていました。歌撮りのテクニックや演出力は、その時にかなり身につきましたね。その内にアーティストご本人との関係や、事務所、レコード会社とも信頼が築けていくので、どんどん仕事がしやすい環境になっていきました。全てが今に繋がっています。『Music Lovers』時代は日テレも音楽特番が多くて、ゴールデン時間帯の2時間の音楽特番とか、『ベストアーティスト』とか、年間何本も放送していました。自分はフリーでありながら、その画撮りーー中継車に座ったり、チーフのディレクターなどをやらせてもらって。とにかく特番があると、僕がその全部の歌を撮るみたいな循環になっていましたね。フェスの中継もその他の仕事でしていたので、1年中歌を撮っているという環境が何年も続いていました。その経験にはかなり鍛えられましたね。

音楽特番のポイントは、放送時間帯の研究

ーー『THE MUSIC DAY』の2017年の放送を終えた実感や感想は?

利根川:生放送の番組をリアルタイムでたくさんの方に観ていただくことは常に考えていますし、もちろん今回もそれが大テーマでした。時間帯の研究と企画の選定、とにかく視聴者をテレビの前に集めることについて考えましたね。いろいろなことを実際にやってみて、来年に向けての課題もありました。毎年終わってみると「もう少しこうすれば良かった」という点はあります。終わってから言うのは簡単なんですけど、そこが番組作りの難しさでもありますね。

ーー今年の放送では、DREAMS COME TRUEはユニバーサル・スタジオ・ジャパン、乃木坂46は東京・明治神宮野球場、ディーン・フジオカさんはシンガポールなど、様々な場所からのライブ中継も見どころの一つでした。

利根川:メイン会場がホールというクローズドの場所なので、外の画をどのように入れるかについては、いつも考えていて。昼に始まって夜に終わる、10時間の放送の中で時間経過を感じられるように、中継の映像は有効的に活用しています。真昼間の外の画を使ったり、時差を感じる海外の画も入れたりして。各地の時間経過を意識しながら、臨場感や広がりを演出しています。

ーー中継の放送時間帯はすべて計算しているんですね。

利根川:そうなんですよ。ロケハンに行って日の角度も計算して。日の入りの時間も調べて、ベストタイミングはどこかを探っています。

ーー10時間の生放送は、そういう意味でも普段の音楽番組と違った演出が必要になってくる。

利根川:大きい番組だからこそできるスケール感も絶対に必要で。今年はその一つに、アジア6カ国での同時生放送がありました。GEMという日テレとソニーピクチャーズが作ったエンタテインメントチャンネルを使ったもので、去年から始めた取り組みなんですが、そのGEMの本拠地がシンガポールということもあり、今回ディーン・フジオカさんのライブ中継をシンガポールで行うことができました。東南アジアにいる人がGEMで日本の音楽番組を観ていると、いきなりシンガポールの画が出てくる。そうやって画面上で海外にいる視聴者とのつながりを持たせたかったということもありましたね。

ーー長時間番組は言わば、各放送局の技術力を披露する場でもあるのでは。

利根川:そうですね、本当に総動員で。中継を増やすとカメラマンや音声さんなど技術スタッフもたくさん必要になります。自分の中で、毎年『THE MUSIC DAY』ではテクニカルな新しいことを必ず取り入れるというテーマがあり、今年はセンターステージにドーナツリフターという、無限にステージが回転・昇降するという仕組みを初めて入れました。あとは、フライングモンタというカメラを去年から取り入れています。4本のワイヤーで釣られていて、自由な高さ・アングルで撮影することができるので、今までにない角度の画を撮ることができるんです。ドームやスタジアムなど大会場でのライブ収録ではよく使われていますが、それをテレビの歌番組でカット割りの中に入れて使うのはなかなかないのかなと。かなりコストもかかるので。

ーー特番の予算感だからこそできる見せ方。

利根川:歌を演出するツールとして、テクニカル、ハードの部分でも新しいことを取り入れながら、より良く歌を届けようという努力は毎年行っています。

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