LOVE PSYCHEDELICO NAOKIが語る、“理想の音”を追求する制作スタイル「匿名性を大切に」

デリコが追求する“理想の音”

「2030年の人たちにも聴いてほしい」

ーーでは、楽曲の伝え方についてはどうですか? デビュー当初はFM局でパワープッシュされたことで一気に広がった印象がありますが、20年経って、いまはリスニング環境にしてもまったく状況が変わってますよね。

NAOKI:そうだね。デビューした頃は確かにみんなラジオを聴いていたし、それは自分たちも意識したかな。音楽のスタイルが当時の他の人たちとは違っていたし「曲をかけてもらっても、日本人だって気付いてもらえないかもしれない」って思ったんだよ。だから曲のタイトルを歌詞の最初の2行に持ってきたんだよね。「次の曲は『LADY MADONNA~憂鬱なるスパイダー~』です」ってDJが言って、その直後の曲の出だしで<♪Lady Madonna 憂鬱なるスパイダー>っていう歌詞が聴こえてきたら「あれ? いま日本語入ってたってことは日本のアーティスト?」って気付いてもらえるかなって。<Lady Madonna>だけだったら、ビートルズのカバーかと思われるかもしれないし(笑)。

ーーそこは戦略的だったわけですね。いまは多くの人がスマートフォンやPCで音楽を聴いてますが、その状況に対してはどう対応しているんですか?

NAOKI:MP3の時代になってから思ってることがふたつあって。ひとつは、楽曲の時代感がわかりづらくなってる。昔はさ、曲を聴けば「これは新しい曲だな」とか「70年代あたりかな」ってわかったでしょ。MP3の時代はそれがないというか、レディー・ガガとヴァン・ヘイレンの曲を続けて聴いてもあまり音質の差を感じないから。自分たちはそこには参加せず、「おもしろいな」と思って聴いてる感じかな(笑)。時代感がわからないぶん、優れた楽曲が突出しやすいとも思うし。もうひとつは、ちょっと矛盾してるんだけど「いい音で録られた曲は、パソコンで聴いてもいい」ってことなんだよね。

ーーいまの話は『LOVE YOUR LOVE』のレコーディング方法にもつながってますね。できる限り質の高い音で録って、アーティストが思う“いい音”を提示するという。そういう意味ではいまの時代に適応していると言えるのでは?

NAOKI:あまり意識してないけどね。だって、MP3だっていつなくなるかわからないでしょ。このアルバムは2017年にリリースするけど、2030年の人たちにも聴いてほしいし、いまの時代に合わせることはないかな。ただ、レンジの広い音は意識しているし、ビンテージサウンドにこだわっているわけでもなくて。自分たちは現代を生きてるわけだし、新曲が流れたときに「いまの音楽だな」と思ってもらうこともエンターテインメントとして大事なことだから。

ーー最後にアルバムのタイトルについて聞かせてください。

NAOKI:4月のライブのタイトルが『How is your Love?』だったんだよね。あのときも「みんなにメッセージを送ろう」というアイデアでビルボード(広告)に「How is your love?」と書いたんだけど、それを受けて「次はどんなメッセージを送る?」というところから『LOVE YOUR LOVE』に辿り着いて。自分たちは楽曲のなかに政治的な言葉を入れてないし、それとは違ったやり方で世の中とつながってるつもりなんだけど、せっかくこういう仕事をしているし、テレビ、ラジオ、CDなんかを通してコミュニケーションする場があるんだから、「CDのスペースを自由に使って、メッセージを送ってもいいよね」って。だから『LOVE YOUR LOVE』は、商品名ではないんだよ。この13曲を総称しているわけでもなくて、いま自分たちがみんなに届けたいメッセージなので。アルバムのタイトルって、こういうインタビューを通して、CDを買わない人にも届くでしょ。「自分が大切にしているものを愛しなさい」と捉える人がいるかもしれないし、「自分を愛している人を愛そう」と思う人もいるだろうし。素敵な言葉だよね。

ーーメッセージの届け方も一貫してますよね。活動のスタイルをしっかり持ちながら、いつも新鮮な音楽を体現し続けているのは、本当にすごいことだと思います。

NAOKI:いつもそう言ってくれるけど、自分たちのスタイルを認識しているわけじゃないんだよね。哲学というか、メロディに歌詞を乗せるときに「それはカッコ悪い」「これならいいよね」という自分たちなりの基準はあるけど、その範囲もすごく広いし、自由度はかなり高いと思うんだよ。今回のアルバムでも新しい曲に出会えた気がするし、だいぶ変わったっぽいから。まあ、これだけ話してもわからないところもたくさんあるんだけどね(笑)。アルバムができたばかりのときって、怖くて聴けないんだよ。だから「いいアルバムだよ」って言ってもらえると、ホッとするんだよね。

(取材・文=森朋之/撮影=林直幸)

LOVE PSYCHEDELICO『LOVE YOUR LOVE』

■リリース情報
LOVE PSYCHEDELICO『LOVE YOUR LOVE』
2017年7月5日(水)発売
初回限定盤(2CD)¥3,500+tax
通常盤(CD)¥3,000+tax

<収録楽曲>
・DISC -1-
1. Might Fall In Love
2. Feel My Desire
3. Birdie
4. This Moment
5. 1 2 3
6. Good Times, Bad Times
7. You'll Find Out
8. Rain Parade
9. Beautiful Lie
10. C'mon, It's My Life(Album Mix)
11. Love Is All Around
12. Place Of Love
13. No Wonder

・DISC -2- ※初回限定盤のみ付属
1. 1 2 3(Demo Acoustic Version)
2. Love Is All Around(Demo Acoustic Version)
3. Birdie(Demo Acoustic Version)
4. Place Of Love(Demo Acoustic Version)

配信:iTunes Storeほか主要配信サイトで同日ダウンロード配信開始。dヒッツほかラジオ型定額制聴き放題サービスでも楽曲配信開始。

■イベント情報
「LOVE PSYCHEDELICO SPECIAL TALK EVENT(TOWER RECORDS ver)」
2017年8月19日(土)時間未定(都内某所)

「LOVE PSYCHEDELICO SPECIAL TALK EVENT(TSUTAYA RECORDS ver)」
2017年8月20日(日)時間未定(都内某所)

<参加方法>
・LOVE PSYCHEDELICO SPECIAL TALK EVENT(TOWER RECORDS ver)
タワーレコード全国各店/タワーレコードオンラインにて対象商品を購入で、先着で専用応募ハガキを配布。応募者の中から抽選で50組・100名を招待。イベントとは別に、“LOVE PSYCHEDELICOオリジナルミニバッグ”が抽選で当たるプレゼントコースも選択可。応募詳細については、専用応募ハガキにて確認。

・LOVE PSYCHEDELICO SPECIAL TALK EVENT(TSUTAYA RECORDS ver)
TSUTAYA RECORDS 全国各店/TSUTAYA オンラインショッピングにて対象商品を購入で、先着で専用応募ハガキを配布。応募者の中から抽選で50組・100名を招待。イベントとは別に、“LOVE PSYCHEDELICOオリジナルミニバッグ”が抽選で当たるプレゼントコースも選択可。応募詳細については、専用応募ハガキにて確認。

<対象店>TSUTAYA RECORDS全国各店 / TSUTAYA オンラインショッピング
※TSUTAYAオンラインショッピングは予約分のみ対象。

■ツアー情報
『LOVE PSYCHEDELICO Live Tour 2017 LOVE YOUR LOVE』
9月1日(金)LiveHouse 浜松窓枠
9月9日(土)仙台Rensa
9月10日(日)Zepp DiverCity (TOKYO)
9月24日(日)Zepp Namba
10月1日(日)札幌PENNY LANE 24
10月6日(金)高松オリーブホール
10月13日(金)Zepp Nagoya
10月14日(土)広島CLUB QUATTRO
10月27日(金)新潟LOTS
11月10日(金)福岡DRUM LOGOS
11月17日(金)金沢EIGHT HALL
11月24日(金)中野サンプラザ

■イベント情報
『Reborn-Art Festival 2017 x ap bank fes』
7月29日(土)国営みちのく杜の湖畔公園(宮城県柴田郡川崎町大字川内字向原254)

『FUJI ROCK FESTIVAL’17』
7月30日(日)湯沢町苗場スキー場

『オハラ☆ブレイク '17夏』※Premium Acoustic Set
8月5日(土)猪苗代湖畔 天神浜

『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2017』
8月6日(日)国営ひたち海浜公園(茨城県ひたちなか市)

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