>  > BUGY CRAXONE、なぜ再びメジャーの道へ?

ベストアルバム『ミラクル』リリースインタビュー

BUGY CRAXONEはなぜ結成20年で再びメジャーに? 恩人・増子直純との関係性にも迫る

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 2017年に結成20周年を迎えるBUGY CRAXONEが、1月18日にベストアルバム『ミラクル』をテイチクエンタテインメント・インペリアルレコードからリリースする。ビクターエンタテインメント在籍時代から自主レーベル<ZubRockA RECORDS>時代を収めたベスト『チーズバーガーズ・ダイアリー』(2009年)が、どこか生き急いでいるようなバンドの10年であるならば、怒髪天・増子直純が主宰する<Northern Blossom Records>に所属してからの10年が収められた今作は素のままのんびりとしたバンドの10年ともいえるだろう。

 負の感情を叩きつけていたようなバンドは、いつしか音楽に対して、生きることに対して、達観したような、そんな存在になった気がする。様々な境遇を乗り越え、再びメジャーシーンに立つ今、何を想うのか。これまでのこと、これからのこと、バンドにとって大きな存在である怒髪天・増子のこと……。すずきゆきこ(Vo.&Gt.)にとことん話を訊いた。(冬将軍)

「自分の性別をしっかり受け入れた」

ーーバンド結成20周年という節目に再びメジャーからのリリースになるわけですが、率直なお気持ちをお聞かせください。

すずき:「よし、メジャーだ!」という感じはそれほどなかったんですよ。それも図々しい話ですけど(笑)。20周年を迎えるところで、やりたかったのは渋谷クアトロでのワンマンライブ。それをスタッフに相談して、決めてきてくれたメジャーでした。2回目のメジャーデビューなんですけど、あの頃とはまた違う、別のありがたみがありますね。

ーー自主レーベルを立ち上げ、インディーズで活動していた期間も長かったわけですし、一度離れたメジャーというものに対しての反骨精神とでもいうか、懐疑的になってた部分はありませんでしたか?

すずき:あー、そういうのは全然ないですよ。昔、自分たちだけでやるときも、いろんなプロダクションやレーベルの人とお話しする機会もあって。そのときに気が合う人がいたら一緒にやってただろうし。今、我々の年齢のようなバンドにみんなが力を貸してくれているわけですから、最大限楽しんでちゃんと応えていきたい。こんな機会はもうないと思うので、「とても感謝しています」というのが素直な気持ちですね。

ーーちょうど先日、YouTubeチャンネル『いいかげんなTV』で「むかしのブージー、いまのブージー」という話題が出てましたけど。あの頃に比べるとバンドの性質が変わったというか、余裕が出たというか。少なくともあの番組で見せているような、素のゆるさみたいなところからは最も遠いバンドだったと思うんです。

すずき:昔はそういう部分を見せることが良いことだとは思っていなかったので。要するにカッコつけてたんですよね。それが良い意味での当時のスタイルだったと思うし、若いからこそできるカッコつけ方はできたかなと。それが歳を取って変化していった……。自分の性別をしっかり受け入れたというのもあったな。私が好きだったロックバンドって、男性4人組が多かったんですよ。だから、女性ボーカルのバンドって、あまり印象に残ってない。でも自分がそういうバンドをやっていることに一つの大きな矛盾があったわけですよ。そこに気がついて「おや? 最初から話がズレてんじゃんっ!」って(笑)。べつに「男の子になりたい」とはまったく思ってなかったんですけど。女の子らしい感じで出てきたのではなく、気も強いし、負けず嫌いだし、小生意気だったので(笑)。

ーーあの頃のすずきさん、めちゃくちゃ尖ってましたもんね。ステージはもちろんですけど、ライブ後、物販にいるのに「話しかけるな」オーラをプンプンさせて(笑)。僕、話しかけたことあるんですよ、「今日のライブ良かったです」って。そしたら「誰だお前」みたいな目で無言で睨まれて……。

すずき:あははは(笑)。あんまり、人に話かけられるの得意じゃなかったですからねぇ。でも年齢が上がってくると、そうも言ってられないじゃないですか。そういうことがおのずとバンドに反映されてくるというか、ケチらなくなりましたね。当時はそういうところで、守りきらないと保てないものがあったんでしょう。ふふふ(笑)。

ーーそんなカミソリのような人が、今ではファンの方々を“ナイスちゃん”と呼ぶようになったんですから(笑)。

すずき:嫌がるお客様方を半ば強引に(笑)。最近はそこに“さん”を付けるのがブームなんです。“ナイスちゃんさん”って、ふふふ(笑)。

ーーすずきさんも、ブージーも、いい感じで年を重ねて、いい感じに変わりましたよね。

すずき:メンバーが変わったこととか、いろんな影響もありつつ、自分が変化することを恐れずに伸び伸びやってこれたなと思います。一度終わりにして、リスタートすることも選べたわけだけど。活動休止とかしてたら、考えることもあったのかもしれないですけどね。結果として、バンド名も変えなかったわけで。私一人だったら、とっとと変えてると思うんです。そこを変えなかったのは、やっぱりバンドだからですね。共同体だから。

ーー今回は<Northem Blossom Records>に所属してからの10年という節目でもありますが、最初の10年と比べて何か違う部分はありますか?

すずき:バンドの輪郭がはっきりした10年だったなと。やっぱり、ロックに憧れてはじめたから、ロックらしいものに合わせに行ってたと思うんですよ、デビュー当時は。でも、それが自分らしいオリジナルか? と考えたとき、足りないところもたくさんあったと思うんです。題材は他と一緒でも自分にしか書けないことをどうアウトプットしていくか? であったり。それを時間をかけて「私はこういう風に自分を信じて生きて行くよ」っていう表現がつかめた10年でしたね。

ーー『ミラクル』はそうした10年間のベストですけど、不思議と時間の経過を感じさせないような、ひとつのアルバムになってる印象を受けたのですが、ご自身はいかがですか? 

すずき:そうなんですよ。曲並べても懐かしくないのはいいなぁと。10年って結構長いんですけどね。今でも「うん、うん、そうだよね」という気持ちでライブでやれて、ものすごく気分がいいと思える曲が集められたことは、ちょっと自慢です。へへへ(笑) 。

ーー再録された曲が5曲ありますが、アレンジはほぼそのままですよね。

すずき:アレンジが最初っから正解だったということですから、それはすごくいいなと思ったんです。ただ、現在のメンバーで演奏している、現在のライブでやっているエネルギーや温度感というものを、これを機に音源として残しておきたかった。「Come on」は、曲の意味合いが変わったし。アレンジも歌詞も変わってないけど、鳴り方が変わった。聴いている人の巻き込み方も全然違う。そうした「曲が育ったんだ」「私も育てられたんだ」というものを、こうしてちゃんとパッケージにできたのは良かったなと思います。

ーーブージーのバンドサウンドって独特だと思うんです。音楽性は広義の意味で“エッジの効いたオルタナティブ・ロック”ですけど、実際出してる音自体は全然痛くないし、どこか温かさを感じる音。歪んでいないギターというのもこの手のロックでは珍しいですし。

すずき:笈川(司/Gt.)くんは、「歪ませない美学」というのをずっと大事にしていて。エフェクター踏んで、歪ませれば、耳にドーーン! っとクるんだろうけど、それはよくよく落ち着いて聴くと、ちゃんと鳴ってないんですよ。今回のレコーディングでは、音に関してここ何年かで突き詰めてきたことをちゃんと形にできました。温かさを感じるのは、やっぱりその楽器そのものの音が聴こえるからだと思います。あとは、腕ですね、腕(笑)。
 
ーーサウンド面での好みも昔と比べて変わってきました?

すずき:ライブにしても大きい音が良いとは限らない。みんな、そんなに大きくしなくともちゃんと聞こえるよ(笑)。せっかく何十年も触ってきた楽器なんだから、ストレスなく届く音のほうがいいと思う。

ーーそして、新曲が3曲。アルバム1曲目を飾る「ブルーでイージー、そんでつよいよ」ですが、イントロと「なめんなよ!」の第一声で、思わずガッツポーズしちゃいました。

すずき:それはよかったぁ、よかったよぉ。20周年がスタートする幕開けの曲だから、「ド派手なのがいいね」「明るいのがいいね」と話してたんです。メンバーも、スタッフもそうだし、何よりナイスちゃんたちが、みんなと「よかったじゃん」という気持ちになれる、それが「なめんなよ」という言葉だった。誰に対してなのか、よく解らないんですけどね(笑)。そういう悪だくみできるような曲を書きたいなって。最初は「イエーイ!」みたいな掛け声だったんですけど、周りからちゃんとした言葉を入れた方が良いと言われて、ふと出てきたのが「なめんなよ」だった。実は結構昔にいつか歌おうと思っていた言葉だったんですけどね。今の今までとっておいて良かったな。

ーー若い頃から思ってたのですか?

すずき:そう、ずっと思ってたんです。でも当時の「なめんなよ」は負け惜しみだったと思うんですよ。だから使いたくても使えなかったのかもしれない。それが若さですよね。今は挨拶みたいな軽い感じで。もう負け惜しみの要素がないことを自覚できたから、のびのびと恥ずかしくなく言えるようになった。

ーー「ぶるぶるぶるー」の<ダラダラしてたい>という詞もすごく印象的です。

すずき:バンドやってない社会人の同年代の友だちと喋っている中で「ダラダラしてたい」って、単純にそう思ったんです。みんな、将来が不安なんですよね。社会の雰囲気とか、自分が死ぬことを想像できなかったり。でも、そこを考えすぎちゃったら今が楽しめなくなっちゃうし、うまいところを取りながら生きて行くしかない。だから「ダラダラしようよ」って、そんなスタンスを取りたいなという。若い頃だったら、「不安」や「怖い」という気持ちだけを優先して書いていたと思うんですけど、シリアスにならずに書けたのは変わったところなのかなって。

      

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