OGRE YOU ASSHOLEに訊く、“説明しすぎない音楽”の作り方「普通あるべきものを入れず、どうグルーヴさせるか」

オウガに訊く“説明しすぎない音楽”の作り方

「その手前の予感だけがあれば、その先を想像しなくてもいい」(出戸)

ーー『ハンドルを放す前に』というタイトルですが、実際に放しちゃったら大惨事ですよね(笑)。そういう危険な予感みたいなニュアンスがあるってことでしょうか。

出戸:危険なのか解放感なのか、どっちでもいいんです僕は。その手前の予感だけがあれば、その先を想像しなくてもいい。傾いて倒れそうなものがただあるだけなのを眺めてる感じ。その後戻るのか倒れるのかどうでもいい。そういう緊張感のある状態のものが、そこに存在している。それが面白いなと。何かが起こりそう、現状がちょっと変わりそうな、という雰囲気だけで良くて。そういう作品を作りたかった。

ーーなるほど。その言い過ぎない寸止めな感覚は、最初から当然のものとしてメンバー全員で共有されていたわけですか。

出戸:ああ、それは……アルバムを作っていく過程で、そういうものを選んできてるというにがあるよね。ブレイク後に「ジャーン」って解決しないというか(笑)。

馬渕:そういうムードみたいなものがあるんですよね、作ってる時って。自然とそうなっていくというか。

ーー辻褄をあわせて予定調和に持っていかない。

出戸:「やっぱそう来たよね」って言わせないっていうか(笑)。そういうのをやるのは恥ずかしいっていうのはありますね。かっこいいと思えない、今は。「やっぱそれだよね」って言われたくないっていうか。僕らとある種の感覚を共有できる人は「これだよね」って言ってくれるかもしれないですけど。

ーーでしょうね。

出戸:オチをつけたくない。オチをわざわざキレイに説明しなくてもいいかな、むしろしたくない、という。

ーーオチのない漫才とかコントってすごく不安な感じですけど、その面白さが共有できるかどうかですね。逆にキレイなオチをつけて予定調和に「やっぱそれだよね」と言わせるのがメインストリームのJ-POPやJ-ROCKなんだとしたら、オウガは全然違うものを求めてるということですね。

出戸:そういう音楽全然聴いてないのでよくわからないですけど。たまに流れてるのを聴きますけど、興味をそそられる感じでもないし。

ーーそうでしょうねえ(笑)。前3作は3部作だったんですが、今作は今後どういう風に発展していくんでしょうか。

出戸:どうなるかまだわからないですけど、ほぼ初めてのセルフ・プロデュースなんで、言ってみればスタートラインというか。ここからまた始まるんだろうな、という感じはしますね。自分たちの手応えとしては。

ーーまだまだいろんなことができそうな。

出戸:いろんなことを考えなきゃいけないし、考えるとっかかりみたいなものは、これでまた作れたかなと思いますね。

ーー11月26日からツアーも始まりますが、どんな感じになりそうですか。

出戸:かなり派手にアレンジを変える曲も(今作の中の曲で)あります。アルバムよりはアッパーでバンド然としたアレンジにする曲もあります。もうちょっと……ガツガツしてる感じのアレンジで(笑)。そっちも楽しんでもらえたらと思いますね。

(取材・文=小野島大)

■リリース情報
『ハンドルを放す前に』
発売日:2016年11月9日(水)
価格:¥2,600+税
<収録曲>
1.ハンドルを放す前に
2.かんたんな自由
3.なくした
4.あの気分でもう一度
5.頭の体操
6.寝つけない
7.はじまりの感じ
8.ムードに
9.移住計画
10.もしあったなら

■ツアー情報
『OGRE YOU ASSHOLE ニューアルバム リリースツアー 2016-2017』
11月26日(土) 仙台 Hook
11月27日(日) 熊谷 HEAVEN’S ROCK VJ-1
12月03日(土) 札幌 Bessie Hall
12月09日(金) 長野 ネオンホール
12月10日(土) 金沢 vanvanV4
12月11日(日) 甲府 桜座
12月16日(金) 岡山 YEBISU YA PRO
12月17日(土) 広島 4.14
01月14日(土) 福岡 BEAT STATION
01月15日(日) 鹿児島 SRホール
01月21日(土) 名古屋 CLUB QUATTRO
01月22日(日) 梅田 AKASO
01月28日(土) 松本 ALECX
02月04日(土) 恵比寿 LIQUIDROOM ※ツアーファイナル

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