高橋久美子×日高央×ヤマモトショウが語る、乙女新党の音楽的魅力

乙女新党『たい焼き』クリエイター座談会

 乙女新党が、3月2日にニューシングル『雨と涙と乙女とたい焼き』をリリースする。作詞を高橋久美子(exチャットモンチ―)、作曲を日高央(THE STARBEMS、ex BEAT CRUSADERS)、編曲をヤマモトショウ(ex ふぇのたす)とrionosが手掛けたこの曲。「女性が歌うシティポップ」をテーマにしたサウンドに乗せて「たい焼き」をモチーフにしたストーリーが歌われる、かなりユニークな一曲となっている。

 今回リアルサウンドでは、高橋久美子・日高央・ヤマモトショウという3人のクリエイターによる座談会を実施。楽曲制作の裏側から、それぞれのアイドル観、シティポップ観など、ざっくばらんに語り合ってもらった。(柴那典)

「『2軍やから、絶対たい焼きやろ』と」(高橋)

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乙女新党

――今回は乙女新党の『雨と涙と乙女とたい焼き』の作詞、作曲、編曲をつとめた3人に集まってもらったわけですが、これ、どういうところから話が始まったんでしょう?

日高央(以下、日高):スタートとしては、まず俺に話が来たんだよね。ディレクターさんから「シティポップを書いてほしい」って話があって。

――日高さんはBEAT CRUSADERSからTHE STARBEMSをやっているのでパンクとかハードコアのイメージが強いですけれど、もともと音楽のルーツとしてはアメリカンポップがあるんですよね。

日高:そうですね。モンキーズが音楽のスタートなんで。旧知のスタッフさんだったので、そこらへんも知ってる人なんですよ。それこそビークル以前から知り合いだし。だから「そういうのもいけるんじゃないか」って踏んでくれたんじゃないかな。

――なるほど。その後に高橋さんに作詞の依頼があった。

高橋久美子(以下、高橋):はい、そうです。その前から乙女新党について「教室の中でも2軍的な立ち位置の女子」って聞いてたんで、「これはいい!」と思って。私も2軍的、というか3軍ぐらいやったんで(笑)。「2軍にだったら書けるかも」と思ったんですよ。

日高:で、クミコン(高橋久美子)に話がいったときにはもう俺の曲があったんじゃないかな。

高橋:そうそう。曲を聴いたら、「えっ日高さんがこんな曲を?」って思うくらい可愛い曲で。しかも、お風呂で歌ってるみたいなのが来たんですよ。酔っ払った勢いで歌ったみたいな感じで。

日高:俺の仮歌のやつね(笑)。すみませんでした。

高橋:いやいや、それがすごい良かったんですよ。あれを聴いて「気楽に書こう」って思ったんです。それで「サビは『シャララ』って歌うくらいの感じでいこう」って思いました。

――歌詞にはメンバーの会話っぽいところもありますよね。

高橋:曲をもらったときに、ラップ部分が印象的で、ここをメンバーさんたちの会話のようにしたら面白いかもって思ったんです。それで、部活帰りの少女たちの会話っぽくしてみた。私は吹奏楽部だったんですけど、中・高校生の頃って部活帰りはいつもお腹がグーグーいうくらい腹ペコだったイメージで。で、帰りにパンとかおやつとかよく食べてたんです。

――だから「たい焼き」になった。

高橋:「2軍やから、絶対たい焼きやろ」と思ったんですね。「絶対マカロンじゃないやろ」って(笑)。それも、おっちゃんと話して買えるみたいな商店街のたい焼き、という。

――そして、ヤマモトショウさんが編曲という形で携わるようになった。

ヤマモト:そうですね。僕のところに来た段階で、メロディも詞もある程度固まってました。で、僕としては「シティポップで自分なのかな?」っていうのは、実はそんなにピンとくる感じじゃなかったですけど。

日高:ふぇのたすは、もうちょっとピコピコな感じだったよね。

ヤマモト:そうですね。どっちかっていうとエレクトロ的なバンドで。でも、対バンとかを通してシーンとしては見てきたんです。だから「なるほど、2015年とか2016年のシティポップを考えてみればいいのかな」っていうような感じでした。

乙女新党「雨と涙と乙女とたい焼き」Short Ver.

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