Little Glee Monsterの初アルバムが週間チャート4位に シーンで異彩を放つ創作スタンスを読む

参考:2016年1月4日~2016年1月10日のCDシングル週間ランキング(2016年1月18日付)(ORICON STYLE)

 年は明けたものの、まだまだ2015年の香りが漂う顔ぶれとなった今回のアルバムチャート。吹石一恵との結婚で昨年の話題をさらった福山雅治のベスト盤(15年12月23日発売)が登場3週目にしてトップ3をキープし、2015年に大躍進を果たした星野源の『YELLOW DANCER』(15年12月2日発売)とback numberの『シャンデリア』(15年12月9日発売)もいまだ好位置につけている。MISIA『LOVE BEBOP』は今年に入ってからリリースされた作品だが、彼女の名前を聞いて年末の紅白歌合戦を思い起こす方も多いだろう。芸能界は2016年の初っ端から何かと騒がしい話題が続いているが、音楽シーンは「2016年モード」に向けて少しずつ舵を切っていくといった感じだろうか。なお、先日亡くなったデビッド・ボウイの新譜にして遺作である『★』も9位に初登場。先鋭的なミュージシャンとのアルバム制作に死の直前まで取り組んだ音楽家としての姿勢は、ものづくりに関わる全ての人に大きな影響を与えるものとして語り継がれていくことになるのだと思う。

 さて、今回の原稿で取り上げるのは4位に初登場した女の子6人組、Little Glee Monster(以下リトグリ)の初のフルアルバム『Colorful Monster』。個々の歌唱力を売りにしているリトグリの出自から考えると彼女たちを「アイドル」という括りで語ってよいかは微妙な存在だが(公式サイトのプロフィールにも「女子中高生ボーカルグループ」とある)、今の時代にこの編成で活動する以上は「女性グループアイドル」という巨大な市場に対する何かしらの意思表明が求められる。たとえば東京女子流は「アーティスト宣言」というラディカルな形でアイドルマーケットと距離をとったが、それではリトグリはどんなスタンスを示しているのか。そんな視点を持ちながら、『Colorful Monster』というアルバムについて考えてみたい。

 まず着目したいのは、1曲目に収録されている「好きだ。」。作詞・作曲・編曲・プロデュースとこの楽曲のすべてを手がけた丸谷マナブは、「永遠プレッシャー」「ハート・エレキ」「ラブラドール・レトリバー」と言ったAKB48のシングル曲のコンポーザーでもある。「ポップな中に少し懐かしい感じを散りばめる」という48グループの得意技がふんだんに導入された「好きだ。」は、そこにリトグリらしいコーラスワークが乗ることでアイドル的なユニゾン歌唱とは異なる感触を生み出している。この「ポップ×ノスタルジック×コーラスワーク」路線は、「君の瞳に恋してる」を彷彿とさせる「書きかけの未来」やバラード調の序盤から爽快な展開に続く「小さな恋が、終わった」などでも冴えを見せており、今後のグループの核となる可能性を秘めている。また、従来から彼女たちが志向していたソウル/R&Bへのアプローチに関してはCHARA作のスイート&メロウな「Feel Me」で新境地を開拓しており、どちらかというと「歌うま」な側面にフォーカスしていたメジャーデビュー曲「放課後ハイファイブ」から格段の進歩を遂げている(個人的にはわざとらしい「ウォウイエー」みたいな歌い方に全く乗れなかったのです。そういう感じが後退して本当に良かった……)。

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