『学校へ行こう!』復活に見るV6の魅力、そしてジャニーズ史における番組の意義

 メンバーは、年長組の「20th Century(トニセン)」(坂本昌行、長野博、井ノ原快彦)と年少組の「Coming Century(カミセン)」(森田剛、三宅健、岡田准一)に分かれる。1980年代後半の光GENJIを思わせるグループの構成である。その点では、先輩の成功例にならったかたちであり、ジャニーズのひとつの伝統を踏まえていると言える。

 ただもう一方でV6は、ジャニーズのパイオニア的存在でもある。1995年のデビュー曲『MUSIC FOR THE PEOPLE』は、「バレーボールワールドカップ」のイメージソングだった。これが最初となって、以後嵐、NEWS、HEY! SAY! JUMP、NYCboys、Sexy Zoneと同大会のイメージソングでデビューするグループが続くようになったことは、よく知られている通りだ。そこに、野球チームから始まったジャニーズとスポーツの深い結びつきという歴史的なバックグラウンドを読み取ることもできるだろう。

 また、一人ひとりを見ると、他のジャニーズにはあまりない経歴を持つメンバーが多い。

 例えば、最近は『ノンストップ!』(フジテレビ系)などで料理の腕前の達者なところを見せているリーダーの坂本昌行は、デビュー前に一度ジャニーズを辞めてサラリーマン生活を送っていた。『ウルトラマンティガ』でジャニーズ初となる特撮物の主役を務め。食通としても知られる長野博にも、Jr.を一度中途で抜けて専門学校に通ったという経緯がある。だからだろう、特にこの二人からはそういった経験がもたらす、包容力のある優しさが感じられる。そしていまや俳優として揺るがぬ地位を得た岡田准一は、往年の人気バラエティ『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』(日本テレビ系)の企画「ジャニーズ予備校」出身である。つまり他の多くのジャニーズとは違い、Jr.時代を経ずにいきなりデビューした。

 こうした異色の経歴を持つ三人に、『あさイチ』(NHK)でのMCぶりからもわかる通り抜群にコミュニケーション能力の高い井ノ原快彦、いかにもジャニーズ育ちの少年っぽいやんちゃさの匂いを残す森田剛、三宅健が合体したグループ、それがV6である。そこには、年齢だけではなくメンバーの個性面からもくる混成チームの魅力、優しさとやんちゃさの絶妙のバランスから生まれる静と動両面の魅力がある。ただ従来のジャニーズらしいやんちゃさの魅力だけでは、広い年齢層が見るゴールデンタイムでの『学校へ行こう!』の成功は難しかったに違いない。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる