>  > サクライケンタが語る、ブクガの音楽的仕掛け

岡島紳士のアイドル最新マッピング 第17回 Maison book girl

プロデューサー・サクライケンタが語る、Maison book girlの音楽的仕掛け 「アイドルポップスとして成り立つギリギリをやりたい」

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 音楽家・サクライケンタがプロデュースしている4人組アイドルグループ・Maison book girl(略称:ブクガ)。メンバーは、元BiSのコショージメグミ、講談社のアイドルオーディション企画「ミスiD」2015ファイナリストの矢川葵、そして井上唯、和田輪の4人で構成されている。

 音楽性は、現代音楽にポップミュージックを組み合わせたもので、サクライは、これを「現音ポップ」と呼んでいる。楽曲には変拍子が多用され、音色自体がアイドルポップスとしてはかなり異色の耳触りを持っている。とはいえ、決してマニアックには寄っていない。彼がかつて手掛けていた現音ポップのソロアイドル・いずこねこから続くその音楽スタイルは進化を続け、ブクガとなって、ポップスとしての精度はより高まっているのだ。

 そんなブクガにとって、初の全国流通盤となる1stアルバム「bath room」が9月23日(水)に発売された。今回はこのリリースにあたり、サクライケンタに単独インタビューを行った。結成の理由、音楽性やコンセプト、そしてアルバムの内容について語って貰い、さらにそのインタビューを踏まえた上で、メンバーにもコメントを寄せて貰った。

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いずこねこが終わってからブクガが始まるまでの経緯

――最初にサクライさんの音楽遍歴を簡単に教えて貰えますか?

サクライ:小4か小5の時に楽器を弾いてみたくなって、習いごとでまずドラムを始めたんです。2、3年続けたのかな。中学に入ったら親がギターをどこかから貰って来て、ギターも弾くようになりました。聴いてた音楽は姉の影響でピチカートファイブとかフリッパーズギターとかトラットリアとかの渋谷系だったので、作曲もしてたけど普通のバンドサウンド的なポップスでしたね。現代音楽を聴き始めたのは、高1の時。音楽に詳しいライブハウスの店長と仲良くなって、いろいろCDを借りてる中に現代音楽もあって。もともとドラムをやってたのもあって、リズムが面白くて。楽器的にもテレビやラジオで流れてるようなものじゃないし。クラシック楽器を使って、面白いことをしてるなって、すごく新鮮に感じて、ハマりました。いろいろ聴いたけど、一番最初に好きになって、今でも好きなのは、スティーブ・ライヒ。6年前くらいに1回だけ東京に来てコンサートをしたんですけど、それにも行ったくらい、好きです。

――現代音楽を取り入れた作曲をしたのもその頃ですか?

サクライ:そうですね。中学の頃は親にねだって買って貰ったMTRを使って、ギターとかドラムマシーンとかをライン接続で繋いで、録音するっていう方法で曲を作って遊んでたんですけど。高校に入ってからは、マックと音楽製作ソフトを買って、DTMで現代音楽を取り入れたインスト曲を作り始めるようになりました。そうやって遊んでいるうちに企業のWEBのCM動画のBGMを作らせて貰ったり、自然とそれが仕事になって行きました。

――なるほど。ちなみにほとんど学校へは行ってないんですよね?

サクライ:はい。小4くらいから卒業まで行ってなくて。中学は最初の1年だけ真面目に通いました。高校は5日で辞めました。

――ほぼ小卒ですね…! で、初めてのアイドルプロデュースとなるいずこねこを始めたのが、2011年10月ですよね。いろいろあっていずこねこが2014年8月に終了することが発表されたのが、2014年3月。その3月から、ブクガが始まる11月までの経緯を教えて貰えますか?

サクライ:いずこねこの終了が決まる前から、「世界の終わりのいずこねこ」という映画のプロジェクトが既に動いてたんですよ。いずこねこは終わるけど、茉里ちゃん(いずこねこは当時の茉里のソロ名義)も僕も、映画製作は続行したいという意見が一致して。だから映画のサントラや、いずこねこの最後の新曲の製作作業を4月あたりから始めて。5月くらいには、もう何か新しいことをやりたいと考えてました。そんな時に知人からの紹介でコショージと6月末に初めて会うことになって。そこからメンバーを集め始めました。

コンセプトはメンバー4人を並べてみてから決めた

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矢川葵。

――もうアイドルはやりたくないとは思わなかったんですか?他の音楽の仕事をするとか。

サクライ:やっぱり自分でやりたいというのがすごいあって。コショージは自分がやりたいことの雰囲気をすごく掴んでくれてる感じがあったので。やって貰うことにしました。

――アーティストではなく、アイドルにした理由は?

サクライ:入り口が広いからですね。今までもいずこねこっていうアイドルをやってたし、コショージもBiSというアイドルをやってたわけですし。興味を持ってくれる人が多いかなと思いました。

――ブクガのコンセプトについて聞きたいんですが、まず名前の由来はなんでしょう?

サクライ:お披露目の11月までは「book house girl(仮)」と名乗ってたんですよ。デヴィッド・リンチ監督の『ツインピークス』に「Bookhouse Boys」というのが出てくるんですよね。で、「book house girl」という言葉が自分の中でずっとあって。後からちゃんと考えて、Maison book girlになりました。「Maison」を使ったのは、衣装やグッズなどファッション面に関してもちゃんとやって行きたいと思ったから。あと「the book girl」みたいな、「the」的な意味もあります。コンセプトそのものに関しては、全体的なイメージが見えて来たのは、オーディションで決めた4人を並べてみてからですね。それは音楽性も含めてです。あの4人(ブクガは2015年3月に1人が脱退し、入れ替わりで新メンバーとして和田が加入している)でなければ、100%今のブクガにはならなかったかもしれません。最初に作ったのは「bath room」と「last scene」の2曲。そこから、活動を続けながらだんだん方向性が固まって行ったという感じです。今もまだ洗練させたいなと思っています。

アイドルポップスとして成り立つギリギリのところをやりたい

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和田輪。

――1stアルバム『bath room』がリリースされましたが、楽曲はどういう意図があって作っていますか?

サクライ:いずこねこの時は曲の中にアイドル性もかなり入れてたと思うんですけど、ブクガはもっと削ぎ落としてシンプルにした方がいいなと思って。なるたけ音数を減らしてます。

――いずこねこは曲中に「にゃんにゃん」というフレーズを入れられていることなどにより、アイドル性が上手く表れていました。そこをなくすことにより、アイドルポップスらしさがなくならないか、懸念はなかったですか?

サクライ:自分の中では「にゃんにゃん」言ってるのがアイドルっぽいとは思ってなかったので、そこは全然大丈夫でした。女の子がステージで歌って踊ってる時点で、もうアイドルでもあるんじゃないかって思うので。

――ブクガの楽曲を作る上で心掛けていることはありますか?

サクライ:「どこかで聴いたことあるわ」ってものは作りたくないなと思ってますね。アルバムの中にはお客さんを盛り上げるために必要だと思って作った曲もあって。「my cut」という曲なんですけど、でもほんとはもっと音数が少なくてもいいだろうとも思ってます。この曲は自分の中では一番アレンジがJ-POP寄りなんですよね。お客さんも好きって言ってくれる方も多いので、全然悪いことではないんですけど、わざとそういう曲を作ろうと思って作りました。

――いずこねこやその映画のサントラの曲作りをして来たことによって、今役立っていることはありますか?

サクライ:現音とポップスとのバランス感覚は鍛えられたと思います。「bath room」なんかは歌ナシの音源を聴いたら、アイドルとしては完全に成り立たないという感じだと思うので。なんとかアイドルポップスとして成り立つギリギリのところをやりたいと思ってます。

Maison book girl / bath room / MV

――現音にこだわる理由は?

サクライ:単純に自分が気持ちいいからです。変拍子も、自分の中では元々好きでやってきたので、変拍子を変拍子と思ってないところがあります。あと、曲の特徴として、エレキギターが少ないと思います。うるさいじゃないですか、ギターソロとか。チョーキングするようなギターソロとかが嫌いで(笑)。

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