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『At The Moment EP』インタビュー

世界が注目するbanvox、覚悟の音楽人生を語る「生きるために、僕は音楽をやらなくてはいけない」

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 banvoxが6月24日に『At The Moment EP』をリリースした。彼はこれまでネットレーベル<MaltineRecords>や、<Surfer Rosa Records>から作品を発表し、AviciiやDavid Guettaなどから賞賛されている。2014年には『ULTRA JAPAN』に出演し、今年は『ULTRA KOREA』でプレイ、さらに『ULTRA EUROPE』へラインナップされることが決定するなど、現在ブレイク中の若手プロデューサー/DJだ。日本では今年5月にワーナーミュージックから『Summer / New Style』でメジャーデビューを果たしたbanvoxだが、メジャー2作目『At The Moment EP』はどこに届ける作品として構想され、どう作られたのだろうか。今回のインタビューでは、彼にこれまでの経歴を振り返ってもらいつつ、最新作や現在のシーン、音楽に賭ける思いについて、じっくり話を訊いた。

「自分の楽曲制作でもリミックスでも、『作りたいものしか作らない』」

――今作の話をする前に、まずはbanvoxさんの音楽遍歴について伺います。2011年に<MaltineRecords>からリリースした『Intense Electro Disco』で一躍その名を轟かせるまでのキャリアとは?

banvox:僕は兵庫県に生まれて、小学生の時に家庭の事情で岡山県に引っ越しました。僕の原点は母親が元宝塚で「シャンソン」や「ジャズ」などのCDが家にあり、小さい頃から自然と聴いていました。HIPHOPにハマったきっかけは、シャンソンやジャズをサンプリングしてラップを乗っけると言う音楽に衝撃を受けてそこから日本語ラップやHIPHOPにどんどんハマって行くようになりました。小学3年生のとき、母が仕事に使うために、WINDOWS MEを積んだパソコンを買ってきて、ネットサーフィンを覚えたところから自発的に音楽を聴くようになりました。当時はYouTubeも無かったので、Flashとか『Underground Theaterz』、『せかちゃん(Hiphop板で曲を作ろう)』、『火星』などのサイトでネットラップ・ヒップホップを漁っていたんです。まだ小学生だったのでROM専ですが(笑)。そこから『さんピンCAMP』周辺世代前後の日本語ラップを辿り、当時の日本語ラップ/海外のヒップホップはなんでも聴いたと言えるぐらいずっと聴いていました。その頃丁度R&Bも同時進行で聴いていました。

――現在のクラブ・ダンスミュージックに行きついた経緯は?

banvox:中学生の時に香川県に引っ越したのですが、そこでは男子寮に入っていて。テレビもゲームも禁止だったので、みんなの娯楽が音楽と漫画だけだったんです。そこにはもちろん色々な趣味の子が居たし、朝の目覚まし音を持ち回りで決めることができたので、僕は相変わらずHIPHOPをかけてもらい、友達にミクスチャーバンドなどを教えてもらったりしました。その時にダンスミュージックとHIPHOPを融合したような音楽に出会い、ダンスミュージックに興味を持ちました。丁度海外で流行っていた、フレンチ・エレクトロやエレクトロやティム・ヒーリーや彼のユニットであるコバーンのCDをレンタル店で借りて聴いていましたし、その頃にはインターネットも発達していて、トラッシュ・エレクトロやハード・エレクトロ、特に僕が影響を受けたと言っても過言ではない、エレクトロ・パンクなど、アンダーグラウンドのダンスミュージックをネットでひたすらディグっていました。この頃からすでにエレクトロ・パンクにボーカルカットアップを乗せるという音楽は存在していました。だから僕の音楽の原点はここにあると思います。僕の音楽は「最近のクラブミュージックのEDMに影響を受けている」と勘違いされやすいんですけど、本当はここに原点があって。これらの音楽とヒップホップを足した音楽を作りたいと思い、高校生のときに楽曲制作を始めました。

――では機材を買ったのはこの時が初めてと。

banvox:そうですね。高校生のときにあまり馴染めず、すぐに学校を辞めてしまいなにもなくなってしまいました。それで実家のある東京で制作活動に入りました。最初はMPCを買おうと思っていたのですが、新宿のビックカメラに行って『FL Studio』を見て、迷った結果『FL Studio』を買いました。

――なぜ『FL Studio』に?

banvox:すごく昔ですが、僕の好きなトラックメイカーのピジョンダスト(Pigeondust)さんが『FL Studio』を使ってUstream配信をしていたんです。あとはデモバージョンとして、一画面でいろんなものを開けるところと、操作の分かりやすさですね。

――サンプリングなしでビートもフレーズも全て打ち込みなのは現在も変わらないですか。

banvox:最初から今までずっとそうです。ただ、ボーカルサンプルだけは歌ってくれる人が当時いなかった、というか音楽をやっている友達がまわりにいなくて…(笑)。でも、そのまま素材を使うのは嫌なので、歌っているようにカットアップをする手法を音楽を始めてすぐに身に付けました。

――そこから2011年に『Intense Electro Disco』をリリースしたきっかけは何でしょうか。

banvox:最初は様々なネットレーベルから出したり、Sound Cloudにアップしたりして、小さなコミュニティに属するようになっていきました。そこからより多くの人に聴いてもらいたいと考えたときに、ネットレーベルでも随一の大きさだった<MaltineRecords>からリリースしたいと思い、代表のTomadさんに「Laser」と「Hands Up」の2曲を添えてメールしました。その連絡にレスポンスを貰って、渋谷で人生初の打ち合わせをして(笑)。「リリースしたいからあと何曲か作って」と言われたので「Cookie」と「Dirty Dirty Dirty」を作り、リミックスも入れたいと思いCalla Soiledさんにお願いしました。『Intense Electro Disco』をリリースしたら、400人ぐらいしかいなかったTwitterのフォロワーが2,000人ぐらい一気に増えて興奮しました。でも、2日ぐらい経ったら、まだ物足りなさを感じて…(笑)。

――だからティム・ヒーリーにコンタクトを取ったと。

banvox:そうです。2012年の1月1日に「Awakening」という曲が出来て、これをティムにメールしたところ、「本当にカッコイイ」という反応を貰えました。いまだに彼から届いたこのメールは自宅の壁に貼ってあります。そこから、この曲に加えて「Buildup Monster」、「Falling」、「Instinct Dazzling Starlight」の3曲を作って、EPとしてティムのレーベルである<Surfer Rosa Records>からリリースしました。このEPをティムがたくさんプロモーションしてくれたこともあり、Beatport総合チャート2位を獲得して、かなり多くのリスナーやDavid Guetta他、アーティストの皆さんからも好意的なリアクションがありました。そしてULTRA RECORD他、海外での制作・リミックス案件が入るようになりました。また、この盛り上がりと同時に、国内の複数メジャーレーベルさんからお誘いを頂いたのですが、当時、まだレーベルとの契約に対して前向きではなかったので、先にリミックス仕事などを受けさせていただきました。この時はリミックスやプロデュースに追われていて、オリジナルを作る余裕はなかったです。

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――2014年はデジタルリリースも積極的に行ったほか、フィジカル作品としてセルフコンピレーションもリリースするなど、充実していたように見えましたが。

banvox:さらに多数の人に聴いてもらえるようになりましたね。iTunes NEW ARTISTS 2014年にも選んでいただき、1月15日に『Connection』を配信リリースして、そこから『Love Strong』『Drop It Boy』と続きました。『Connection』はAviciiからCoolとコメントを頂き感動しました。フィジカルCDとして『Watch Me Dance』、1st オリジナルアルバムとして『Don't Wanna Be』も出せましたし。なにより大きかったのは、SEKAI NO OWARIのFukaseさんが『Drop It Boy』について「banvox、素晴らしい才能」とツイートしてくれたことと、CDをリリースしたことで今までと違う層の方たちが聴いてくれるようになったこと。この年は全部自分のレーベルから配信リリースをしていたのですが、どのくらい広まるかを試したかったんです。

――そしてさらに多くの人に音楽を届けるためのメジャーデビューとなったわけですが、かなり慎重になっていた時期を経て、なぜこのタイミングでワーナーからデビューすることになったのでしょうか。

banvox:「banvoxをどうしたいか?」という部分に関して、熱心にアプローチしていただいたことが大きいのかもしれません。もちろん他が熱心じゃなかったというわけではなく、ワーナーさんとお話ししたタイミングなどもあったと思います。

――ここ数年は山下智久やKis-My-Ft2、AMIAYAなど、色々なアーティストと関わっていますが、これらの仕事を通して自身の音楽性に変化はありましたか?

banvox:自分の楽曲制作でもリミックスでも、「作りたいものしか作らない」という意思は一貫しているので、そんなに変わっていないと思います。なので、リミックスの仕事でも、原曲からはアカペラしか使わないくらいには僕の音で作り直しています。

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