武藤彩未が見せたシンガーとしての力量 バンドサウンドで披露した“引きの美学”とは?

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 武藤彩未の楽曲は基本的にポップであるだけに、この日のようにロックなサウンドになると、いつもの雰囲気との違いが大きいがゆえに盛りあがる。しかし、それは「ロック」というわかりやすい記号の中に陥ってしまう危険性もある。また、この日のカバーの選曲は80年代ほど古くなかったために、中途半端な懐メロ感が出てしまう懸念もあった。しかし、それらをすべて杞憂としてしまった武藤彩未のシンガーとしての力量にこそ注目するべきだろう。

 またカバーでは、振りがなかったり、ギターを弾いたりしたために、いつものように歌い踊ることがなく、そこには「引きの美学」があった。そのぶん、武藤彩未が歌に集中していたことは言うまでもない。

 「この時代にソロアイドルでつらいこともあるけど」と、武藤彩未がMCで語ったことは印象的だった。しかし、時代性の枠を超えて、武藤彩未には同時代のシンガーとしてのリアリティをつかんでほしい。それこそ気を抜いていると、聴き手が置いていかれるような存在に進化してほしいのだ。そんな期待をさせられたライブだった。

■宗像明将
1972年生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。近年は時流に押され、趣味の範囲にしておきたかったアイドルに関しての原稿執筆も多い。Twitter

【セットリスト】
M1.A.Y.M.
M2.Doki Doki
M3.宙
M4.Daydreamin’
M5.交信曲第一1番変ロ長調
M6.Rock’n Rouge(松田聖子)
M7.黄砂に吹かれて(工藤静香)
M8.北ウィング(中森明菜)
M9.BITTER SWEET LOLLIPOPS(松田聖子)
M10.オトメゴコロ。(さくら学院)
M11.なんてったってアイドル
M12.RUN RUN RUN
M13.パラレルワールド
M14.HAPPY CHANCE(新曲)
M15.彩りの夏

-ENCORE-
EN1.明日の風
EN2.なんてったってアイドル
EN3.OWARI WA HAJIMRI

-W-ENCORE-
EN4.彩りの夏

■ライブ情報
『武藤彩未ライブハウスツアー2015「TRAVELING ALONE」』
7月18日(土) 西川口LIVE HOUSE Hearts
OPEN17:30/START18:00

7月20日(月・祝) 新横浜NEW SIDE BEACH
OPEN17:30/START18:00

7月25日(土) 下北沢GARDEN
OPEN17:30/START18:00

7月26日(日) 稲毛K‘S DREAM
OPEN12:30/START13:00

スタンディング:¥3,000(税込/ドリンク代別/未就学児入場不可)
※1人4枚まで申込可能

・オフィシャルサイト先行受付
受付期間:6月13日(土)12:00~2015年6月21日(日)23:59
受付URL:http://w.pia.jp/s/muto15of/

【お問合せ】ディスクガレージ 050-5533-0888(平日/12:00~19:00)
武藤彩未Official Site http://www.mutoayami.jp

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