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市川哲史の「すべての音楽はリスナーのもの」第14回

ポール旋風後の今、リンゴ・スターを想うーー市川哲史が振り返る25年前の武道館公演

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市川哲史
来日公演
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『ぴあSpecial Issue ポール・マッカートニー来日記念号2015』

《ポール武道館に「ナツカシイ」 66年ビートルズ以来49年ぶり 「ウイングス」時代は大麻で入国できず…昨年は急病中止…やっと》

《ポール「クレイジーで、最高な夜」49年ぶりの武道館に感極まる》

《ポール初来日以来「ヒサシブリ、ブドウカン」》

《ポール49年ぶり武道館で夢の28曲! ライブ世界初披露曲も熱唱
ポールファン感動「10万円を払った以上の価値があった」》

《ポール武道館公演に突然ザックがやってきた》

 4・28ポール・マッカートニー@武道館公演翌日の、各スポーツ紙の見出しを並べてみた。とにかく特別なライヴだったことを既成事実化しようとする、皆一丸となってのオプティミズム具合が微笑ましい。

 演奏された曲目は今回のドーム公演より10曲弱少ない全28曲で、「開演が1時間半遅れたことで、予定より9曲もカットされた」などとのタレコミもあるが、実際のところはわからない。

 それでも全28曲中19曲がビートルズ。中でも『ヘルプ!(4人はアイドル)』収録曲の「アナザー・ガール」がライヴで世界初披露されたのが、やはり話題を集めた。この楽曲はロカビリー好きのポールがちょちょいのちょいで書いたとしか思えないのに、シャッフル寄りの4ビートとメロディアスなフックが印象的な、地味だけども気の利いた名曲だったりする。そして、あえてこの楽曲を選んだポールのスタンスが、なーんか軽くていい。

 それ以外では(1)「バースデイ」が日本初ライヴ、(2)「ゴット・トゥ・ゲット・ユー・イントゥ・マイ・ライフ」と「ワン・アフター・909」のライヴ披露はレア――というわけで周囲が「49年ぶり!」と煽ったわりには、スタンダードなセットリストに映る。

 結局のところ、ポールにとっては本当に久々の、1万人クラスの「小規模」アリーナ・ライヴ的認識に過ぎなかったのではないか。でも日本のスタッフもオーディエンスもおそろしく<特別な出来事>として興奮しきりだから、お付き合いしてくれる。だからといって、彼の立ち位置自体は決してブレない。

 この鷹揚さが、ポール・マッカートニーにまでならないと出せない代物なのである。そして観に来た人たちは皆幸せになれたのだから、10万円なんて安い買い物だった。でも私は絶対、10万円払わなきゃいけないようなコンサートには行かない。

 にしても最後の見出しには驚かされた。まさかリンゴの息子、ザック・スターキーがポールの武道館ライヴを表敬訪問していようとは!

 なんだザッケローニ、まだ日本にいたのかよ。

     
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