アンジュルム、心機一転のシングルに高い評価 スマイレージから改名して新ステージへ

 この「大器晩成」の作詞作曲を手掛けたのは中島卓偉。アップフロント所属のシンガーソングライターで、西川貴教やつんく♂からも認められる実力の持ち主だ。曲調はノリのいい高速ディスコ・ファンク。70年代ディスコをベースにBPMをグッと速め、パーカッション、スラップ・ベース、カッティング・ギターなどを配した、かなりこだわりの強いサウンドになっている。特筆すべきはサビ後のコーラス部分で聴くことのできる独特のボイス・エフェクト。使われているのはゴム製のチューブを口にくわえて楽器を鳴らす「トークボックス」という特異なエフェクターで、ZAPPのロジャー・トラウトマンなどファンクのキーパーソンが愛用してきたことでも知られている。

 YouTubeではこの曲のレコーディングの模様も公開されている。レコーディングに参加したプレイヤーもドラマーの佐野康夫をはじめ一線級の面々。打ち込みでサウンドを仕上げることが当たり前になった昨今、あくまで生音にこだわったアレンジが楽曲のクオリティに結実しているのだ。

 一方、両A面のもう一曲「乙女の逆襲」は作曲をTOKYO NO.1 SOUL SETの川辺ヒロシと上田禎、編曲をCMJKが担当。ミステリアスな雰囲気のメロディーをEDMで料理しミュージカル調に仕上げたという、かなり一筋縄ではいかないトリッキーな楽曲に仕上がっている。

 5月26日には日本武道館公演が決定。スマイレージ時代から紆余曲折あったグループだが、このシングルは間違いなく飛躍のきっかけになるはず。アンジュルムにとって、2015年は“逆襲”の一年になりそうだ。

■柴 那典
1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」Twitter

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