寺嶋由芙が初ワンマンで起こした熱狂 “強さ”を秘めたソロアイドルはどこに向かう?

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 寺嶋由芙のメジャー・デビューが発表されたのは、2015年2月8日に開催されたソロとして初のワンマンライヴ『Yufu Terashima 1st Solo Live 「#Yufu Flight」』でのことだった。渋谷WWWをソールドアウトさせ、Twitterのタイムラインにはチケットを探し求める人が開催当日までいた。そんなまさに晴れの場でのメジャー・デビュー発表だった。

 その前夜、寺嶋由芙はあるイベントにシークレット・ゲストとして登場していた。それは学芸大学メイプルハウスで開催された『女川ナイト Vol.2』という、宮城県女川町と縁がある人々によるイベントだ。寺嶋由芙はさらりとTwitterで出演を匂わせた後、そのステージに現れた。その場にいたのはほんの数十人だが、それでも身動きが取りづらかったほど小さな空間だ。

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 かつてBiSに在籍した時代に生まれた、東日本大震災後の女川との縁を大切にし、寺嶋由芙はソロになっても2014年9月21日の『おながわ秋刀魚収獲祭2014』に出演し、そして重要なワンマンライヴの前夜に『女川ナイト Vol.2』という小さなイベントにわざわざ出演した。その会場には、ディレクターの加茂啓太郎やマネージャーの飯島覚も顔を揃えていた。

 そうした寺嶋由芙とスタッフのありようそのものが、翌日の『Yufu Terashima 1st Solo Live 「#Yufu Flight」』の大成功を導いたのは必然のように思えた。我が身を振り返ればいい。結果は日々の積み重ねの中にしかない。

 『Yufu Terashima 1st Solo Live 「#Yufu Flight」』の会場に入ると、前夜の『女川ナイト Vol.2』に続いて、女川のかまぼこ会社・蒲鉾本舗高政の高橋正樹が開場時のDJを担当していた。心憎い。開演直前、彼が最後に流したのは「さんまdeサンバ」という楽曲だった。毎年『おながわ秋刀魚収獲祭』の最後に地元の中学生によって踊られる楽曲だ。去年は寺嶋由芙もその中に混ざって踊っていたことを思い出していると開演を迎えた。

 スクリーンに、ゆふぃすと(寺嶋由芙ファンの総称)が撮影フリーの現場で撮った寺嶋由芙の写真が大量に映しだされていく。それはそのまま、寺嶋由芙がソロになってから今日のステージに立つまでの軌跡だった。

 寺嶋由芙のソロキャリアには「空白」の期間がある。いや、正確にはBiS脱退後もゆるキャライベントに現れたり、『ミスiD』にエントリーして受賞したりもしていた。それでも加茂啓太郎が主宰するユニバーサルミュージックジャパンの新人発掘部門・Great Huntingに見いだされるまでの寺嶋由芙は、自分が何をしたらよいのかつかみかねている雰囲気があった。まるで今日、渋谷WWWのステージに立った寺嶋由芙とは別人のように。数々の写真はそんな回想を私にさせた。

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