嵐・相葉雅紀がもたらした“転換点”とは? 明治大学の名物講師がMVから読み解く

 嵐はメンバー間の仲がとても良く、しかも5人全員がそれぞれの分野で活躍し、等しく成功していることが知られている。いわゆる「格差がないグループ」であり、それが現在の絶大な人気にも繋がっているということは、多くのファンが納得するところであろう。

 しかし、嵐も最初から現在のスタイルだったわけではない。それは長い活動の中で培われてきたものであり、そこに到達するにはひとつの転換点があった。

 その転換点は、2008年に発売されたシングル『truth』のMVにおける、相葉雅紀の立ち位置から読み解くことができる。そう語るのは、明治大学法学部にて、嵐のMVを題材にした講義を行っており、6月4日に書籍『隣の嵐くん~カリスマなき時代の偶像』を上梓した関修氏。今回はその理由を解説してもらった。

「現在の嵐のMVにはある法則があります。それは、楽曲がドラマの主題歌となった時、その主演を務めるメンバーがMVのセンターになるというものです。『truth』はその法則を試み始めた時期の作品で、当時、TBS系金曜ドラマ『魔王』で初めて主演となった大野くんがセンターを務めています。しかしながらMVを観察すると、なぜか相葉くんだけが赤いパンツを履いていたり、二番の歌い出しを務めたりと、とりわけ目立つようなポジションとなっています。リードボーカルを務めているのは確かに大野くんで、センターには違いないのですが、MVだけを観ると相葉くんも主役に思える。
 なぜそのような作りになっているかというと、実は当時、相葉くんはまだドラマの主役を演じていないんですね。なのに目立つポジションを与えられているというのは、相葉くんがその翌年にドラマ『マイガール』で主演を果たすことへの暗示になっているのではないかと。ドラマと同タイトルのシングル『マイガール』以降は、現在の法則が確立されますが、それはメンバー全員がドラマで主演を果たしたからこそのスタイルです。そういった意味で『truth』のMVは、現在の嵐ーー全員が等しく活躍し、格差がないグループとしての嵐を予感させるものであり、ひとつの転換点にあった作品だったのだと思います」

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