アマゾン、Audibleの「日本10周年記念スペシャルラインナップ」を発表 「聴く読書」を推進する新たな取り組みとは

アマゾンはAudible(オーディブル)の日本サービス開始10周年を記念した発表会を開催。Audibleは小説やエッセイ、ビジネス書などを朗読してくれるサービスで、同社では「聴く読書」として提唱している。
発表会では、Audibleのカントリーマネージャーを務める逢阪志麻氏から10年間における同サービスの歩みや、最新のグローバルと日本のビジネス動向、さらなる成長に向けた戦略が紹介された。
逢阪氏はまず、「あっという間の10年でした」と振り返った。Audibleは1995年アメリカにアメリカで誕生し、2008年にアマゾンの傘下に入った。2015年に日本でサービスを開始して、2022年から聴き放題会員プランを導入、2025年からAmazon Music Unlimitedの会員(個人/ファミリー)も月1冊利用可能になった。
Audibleはオーディオブックの先駆的な配信であり、想像力を刺激して没入感のある体験を提供し、リスナーの日常生活を豊かにすることを目指してきた。実際にビジネスも成長しているそうで、「ユーザーの皆さんに、意味と洞察に満ちたコンテンツをお届けしております」と逢阪氏は話していた。

Audibleが、本を読むきっかけになってきている
その成長は、3つの要素に支えられている。それが「コンテンツの拡充(俳優、声優、出版社と協業)」「会員満足度の向上」「利用時間の増加」であり、この好循環によってさらに高い成果を生んでいくのだそうだ。
実際にAmazon Music Unlimited会員向けのサービスを開始してからは、一人あたり平均3.68時間(2025年8月)の使用があったそうで、本の新しい楽しみ方として迎えられていると同社では見ている。さらにAudibleが、紙の本や電子書籍を読むきっかけになった人も多いという。
作品の傾向についても、開始当初はビジネス書が多く読まれていたが、聴き放題サービスが始まってからは幅広いジャンルで楽しまれているという。この点については、90万冊以上というカタログ数に加え、2025年には新規作品制作数を前年比40%増やしており、量の面でもオーディオリスニング文化の定着を目指すとのことだ。

作家、タイトル、ナレーターなど様々な魅力を持ったオーディオブックを拡大する
続いてAudible APACコンテンツシニアディレクター キーリング・宮川もとみ氏が登壇、「Audible 10周年記念スペシャルコンテンツ」のラインナップが発表された。そこでは「オーディオファースト作品の強化」「人気作家のオーディオブックの充実」「Audibleオリジナルポッドキャストの提供」といった分野で展開していく方針も示されている。
オーディオファースト作品は、通常の書籍に先駆けて新作をオーディオブックで配信するもので、直近では湊かなえ氏の描き下ろしとなる『暁星』(あけぼし)が11月11日から配信中だ。他にも林真理子氏、スコット・アラン氏といった人気作家のオーディオファースト作品も予定しているという。
人気作家のオーディオブックの充実については、村上春樹氏、恩田陸氏、村上龍氏らの作品を追加する。Audibleオリジナルポッドキャストは、「A University」シリーズや、お笑い芸人(くりぃむ有田、くりぃむ上田&アンタ柴田)による新作もスタートするとのことだ。

オーディオブックならではの演技とは
そしてここから、Audible配信作品に携わるゲストによるトークセッションがスタートした。自身の作品をAudibleで数多く配信し、初のオーディオファースト作品を執筆中の作家の中山七里氏と人気小説の朗読を複数務めている俳優の濱田岳氏をゲストに、話が進んでいく。
Audibleの朗読は初めてだという濱田氏はその感想を聞かれ、「役者の場合は1人の人生を深掘りして、寄り添って演技をします。けれど今回は、なぜこの人がこの瞬間にこういう言葉選びをしたんだろうとか、そういうことについて大勢のキャラクターに寄り添わなきゃいけないので、新たなチャレンジというか、朗読の難しさだなと思いました」と話していた。
今回は恩田陸氏の『Q&A』、村上龍氏の『イン ザ・ミソスープ』という2作品を担当したそうで、「どちらも次の行が気になる、ドキドキ、ハラハラする作品であるのは間違いないですね。そこでも、主人公たちがなぜこういう行動をとるのかっていうのを、理解できないながらも、寄り添って読む、声に出すという点が難しく、今まさに壁と戦っています」と、オーディオブックならではの苦労について明かした。

Audibleで好まれる本は、紙の本でも人気になる
ここで濱田氏による『Q&A』の朗読の冒頭が再生され、それを聴いた中山氏が、「僕もこの原作は知っていますが、文字情報が声になるとこんなにも変わるんだと驚きました。これは“声の芸術”だと思います」とコメント。
その中山氏は現在、オーディオファースト作品を書き下ろしているそうで、「題名は言えませんが、火災原因調査員を主人公にした作品を書き終えたところです。オーディオブックを体験して思ったのは、読みやすい文章は聴きやすいということです。読みやすい文書は、今一番望まれていると思いますから、Audibleで好まれる文章は紙の本でも好まれていくと思います」とオーディオブックへの期待を語ってくれた。

渋谷駅&梅田駅で、「エキナカAudible体験」イベントを開催
なおAudibleでは東京・渋谷駅と大阪・梅田駅で「エキナカAudible体験」イベントを実施する。それぞれの駅にAudibleを体験できるスポットを開設するもので、11月7日〜9日に好評を博した渋谷駅に続き、11月14日〜16日に梅田駅で展開される予定だ。湊かなえ氏の『暁星』を特別リスニング体験として楽しむことができるので、気になる方はぜひ足を運んでみよう。
●参考資料
https://www.audible.co.jp





















