中井貴一、妻夫木聡らが朗読する「村上春樹」、MARVEL作品とのコラボ……Amazonオーディブルが掲げる“コンテンツの拡充”

Amazonオーディブルが掲げる“コンテンツの拡充”

 Amazonオーディブルは6月14日に「Amazonオーディブル記者発表会」を開催し、オーディオブックのトレンドや今後のサービス展開について発表した。

 2022年からこの聴き放題に移行したオーディブルの会員プランは月額1500円で12万タイトル以上が聴き放題となっている。「コンテンツの拡充とマーケティングの施策に力を入れてきた」とオーディブル カントリーマネージャー 逢阪志麻氏は話す。具体的には、テレビCMやイベント、豪華キャストの朗読、村上春樹作品やDCコミックスなどのコンテンツ化、出版社と協力して作りあげる「オーディオファースト作品」やPodcast番組の拡充を行なった。

 逢阪氏は上述した施策により「2023年は会員数は着実に成長している」とサービスの現在の状況について言及する。「聴き放題移行前の2022年1月と2023年5月を比較すると、会員は67%増加。また、聴取時間も260%の増加率になった。1人のユーザーがその年に触れた新しいタイトル数は2021年と2023年を比較して約4倍となっている」と聴き放題に移行したことによる功績を提示した。

 「聴き放題移行、より幅広い層が利用するようになった。聴き放題以前はビジネス書などが人気だったが、現在は文学、フィクションの割合が増加。ビジネスマンを中心に聴かれていた傾向が、聴き放題後、幅広い層が聴くようにシフトしていった。女性の利用も増加。また、英語を勉強したい学生、PC疲れの影響で利用するシニア層にも人気がでている」(逢阪氏)

 今後の方針については「ユーザーのニーズにこたえるためにコンテンツ投資をさらに拡大していく。ベストセラー作品の獲得、オリジナルコンテンツの拡充、出版社、クイエイターとのコラボレーション、イノベーションへのコミットメント、グローバルでのコラボレーションによるカタログ追加を行なっていく」とコンテンツの拡充を軸にユーザーの満足度向上と利用時間の増加をはかり、オーディブルの成長につなげていくことを掲げた。

 次に実際に拡充されるコンテンツに関してはオーディブル シニアディレクターコンテンツ宮川もとみ氏より発表された。「オーディオブック 、オーディオファースト、Podcast、オーディオ エンタテインメントの4つのカテゴリーに注力し、ユーザーの様々なニーズにこたえ、音声だからこそできることをクリエイターとともにつくっていく」としたうえで、2023年のコンテンツハイライトがお披露目された。

 オーディオブック では新たに村上春樹の7作品が追加される。『ノルウェイの森(上)(下)』や『ドライブ・マイ・カー』の短編が収録された『女のいない男たち』などが含まれており、その朗読を中井貴一、向井理、多部未華子、柳楽優弥、妻夫木聡などの俳優陣が務める。また、「ミステリー作品は人気作品でこのラインナップが増えるのは大変嬉しい」とした湊かなえの作品も5作品の追加が発表された。こちらも小池栄子、榮倉奈々、藤原竜也らが朗読を担当する。

 出版前に作品を音声コンテンツとして配信していくという出版社との試み「オーディオファースト作品」では小学館、幻冬舎とタッグを組み、古内一絵、吉本ばなななどが参加。また、それらの作品も石田ひかりなどの俳優らが朗読を担当している。

 「もっと自由で新しいコンテンツを届けるために開発に挑んでいる」としたPodcastは『加藤浩次と山口一郎のとんぼとサカナ プロデュース by 佐久間宣行』、『SAYONARAシティボーイズ』などの配信が開始。また、今年から「聴くアニメ」という領域にも挑戦していくことが発表された。第一の試みとして、トムス・エンタテインメントと組み『ルパン三世』の3作品を配信。また「Podcastでは、いままで遠い存在だったトップランナーやアーティストを身近に感じ、その生の声を聴くことで励まされるということがある。オーディブルはその親近感に注目して、様々なインフルエンサーの生の声をユーザーに届けてきた。今年はそれにアスリートが仲間入りをしていただいた。アスリートのプロフェッショナリズムから人生の気づきやヒントを得て欲しい」(宮川氏)として前田健太や遠藤航などのトップアスリートのPodcastも配信が決定しているという。引き続き人気が高いビジネス・教養ジャンルでは、VOOXとのコラボレーションコンテンツやオリジナルコンテンツ『ゆかいな知性』の新シリーズが配信される。

 最後にオーディオエンタテインメント については、MARVELとのコラボ作品『ウェイストランダーズ STAR-LORD』について紹介された。「オーディブルではマルチキャストやサウンドエフェクトによる臨場感溢れるコンテンツにも力を入れている。今年はMARVELとのコラボで『ウェイストランダーズ STAR-LORD』が5カ国語で6月28日より配信される。これは6シリーズで構成され、2年間にわたって配信されていく。オーディブルでは定番になっている俳優さんと声優さんのコラボも含めて楽しんでいただきたい」と、人気シリーズの皮切りとなる作品に、オーディブルがより一層力を入れていることを言及する宮川氏。キャスト陣はピーター・クイル役に古田新太、ロケット・ラクーン役に多田野曜平、コーラー役に青木瑠璃子、ブランドン・ベスト役に木村良平、ドクター・ドゥーム役に子安武人と俳優・声優界で活躍する面々が名を連ねている。

 最後にオーディブルの創始者であるDon Katzの「目は忙しいけれど、心は空いている時。それが私たちAudibleが、満たしていきたい時間です」という言葉で締め括られた。かつてはオーディオブックが主力であったオーディブルが、いまでは世の中のニーズに応え、形式にとらわれない音を軸として様々なエンターテインメントコンテンツを発信していっている。今後どのような音の可能性が生まれていくのか、引き続き注目していきたい。

Amazonオーディブルにて『加藤浩次と山口一郎のとんぼとサカナプロデュース by 佐久間宣行』配信開始

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