ナナヲアカリが語る、Genelecスピーカー導入の“衝撃” 「作り手が音に込めた意図が感じられる」

1978年にフィンランドで設立され、プロオーディオ業界で初めてアクティブ・モニタースピーカーを実用化したGenelec/ジェネレック。丸みを帯びていてスタイリッシュながら可愛さも感じるデザインや、高精度かつ忠実な音質などが音楽アーティストやエンジニアたちに評価されている同ブランドのなかでも、最もコンパクトかつリーズナブルにGenelecクオリティを体験できるホームオーディオ向けアイテムが『G One』だ。
今回はその『G One』について、制作スタジオなどでGenelecのスピーカーに慣れ親しんでいるナナヲアカリにインタビュー。直近ではベストアルバム『フライングベスト2』をリリースし、現在はツアー中と精力的に活躍する彼女に、普段の音楽の聴き方やスピーカーへの思い、さらに『G One』RAWフィニッシュを体験したうえでの感想や、リスナーに同製品で聴いてほしい曲などを聞いた。(編集部)
ナナヲアカリ、『G One』を使用した率直な感想
――今回、ナナヲさんにはGenelecの『G One』を使っていただきました。まずは率直な感想から聞かせてください。
ナナヲアカリ(以下、ナナヲ):「歓喜」ですね。もう全然違います。『G One』で改めて曲を聴いてみたら、ギターとかも全然別の音に聴こえてきて、いまでは「ヤバっ! もうこれでしか聴かん!」という感じ。やっぱり音楽はスピーカーで聴くべきやなと思いました。
いままではBluetoothのランタンスピーカーなどは使っていたのですが、しっかりしたスピーカーで音楽を聴くのは恥ずかしながら、レコーディングスタジオでミックスするときくらいでした。だから『G One』をオンラインのミックスチェック用にも使いたいですし、最近練習しているDJ用にも使いたいですし、置き場所をどっちにしようか困ってます(笑)。
――Genelecの存在については前から知っていました?

ナナヲ:はい。インディーズの頃からお世話になっているエンジニアの青木礼門さんがスタジオに大きなGenelecのスピーカーをいつも持ち込んでいたのでサウンドも知っていました。『G One』は小さいサイズだったので「どんな音なんだろう?」と思っていたんですけど、小さくてもパワフルでめっちゃよくて驚きました。
――普段はイヤホンで音楽を聴くことも多いですか?
ナナヲ:そうですね。移動中や隙間時間はもっぱらイヤホン。自分の音楽を聴いてくれるリスナーもイヤホンで聴く子たちが割と大半だと思うんです。だからミックスチェックの際も大きいGenelecのスピーカーで聴きつつ、最後はイヤホンで聴く作業もしますね。
『G One』で聴くと、低音域がしっかり出ている曲では重厚なサウンドが楽しめるし、逆にローを削って上物を大事にしている楽曲はギターのチャキチャキした音がクリアに楽しめるんです。だから、作り手が音に込めた意図が伝わるスピーカーですし、自分がミックスチェックしているときに聴いている、本来届けたかった音が伝わる気がしますね。
もちろんお気に入りのイヤホンやヘッドホンで聴いている人もたくさんいると思うんですけど、より音楽生活を豊かにしたい人に『G One』をオススメしたいです。
――また『G One』はスタイリッシュな北欧デザインも特徴ですが、質感などはいかがですか?
ナナヲ:箱を開けた瞬間に驚きました。いい感じのユーズド感があるRAWフィニッシュがオシャレで可愛いです。実は一番好きな色がシルバーなのでなおさらときめきました。
昔は私服や衣装などは黒しか着ていなかったんですけど、それとシルバーアクセサリーの相性がいいので好きになったんです。あとゴールドが壊滅的に似合わないというのも理由としてありますね(笑)。いまでは部屋にも銀色の家具を置くくらい好きです。
――『G One』のエンクロージャー(筐体)はリサイクルアルミを採用し環境にも配慮しているんですよ。
ナナヲ:リサイクルアルミとは、素晴らしいですね。私自身は特に意識が高いというほどではないのですが、どちらを選ぶかといえば環境に優しい方がいいなと思います。色も形も可愛い、環境にも優しい、そして音がしっかりしているのは凄すぎます。
ナナヲアカリの「楽曲作りで大事にしていること」
――自分以外のアーティストの作品を『G One』で聴くとしたら?
ナナヲ:このスピーカーでみんなに聴いてほしいアルバムを見つけてしまったんですよ。それがレディー・ガガ『MAYHEM』に収録されている「Abracadabra」。アルバム自体が大好きでよく聴いていたのですが、イヤホンとは鳴り方が別物でビビるくらいよかったです(笑)。
レディー・ガガ自体は中学生のときに「Born This Way」が流行り、周りの子たちが聴いて いたので、私も新譜が出たらとりあえず聴くくらいの感じでした。でも最新作はたまたま聴いたらカッコよすぎて、自分のなかではいまが一番「ガガ様!」という気持ちになってます。
――普段は音楽のどういうところを重点的に聴くのでしょう。
ナナヲ:やっぱり音の気持ちよさを重視していると思います。バイリンガルではないんですけど、日本語で聴くと情報として歌詞に引っ張られるのか、純粋に音楽を楽しみづらくて。あとは同じボリュームでも洋楽の方が音の広がりを感じることが多いですね。いまだに謎です……。
来日する度に毎回観に行っているのはアメリカのポーター・ロビンソンやノルウェーのオーロラ。最近の邦楽だとサカナクション「怪獣」がよすぎて、めちゃくちゃ聴きましたね。
――作曲のときもサウンドから考えていく?
ナナヲ:メロディと歌ですね。歌い手として自分に求められているものを考えると、やっぱりメロだったり、印象的な歌詞なのかなと。自分自身もボーカロイドやアニソンが好きで、メロと歌詞を一生懸命に聴いてました。だから曲作りのときはそこが大事。
――ナナヲさんのルーツであるボカロ楽曲やアニソンのなかで、『G One』で聴いてみたい曲も教えてください。
ナナヲ:ボカロにハマるきっかけになったNeruさんの「東京テディベア」、アニソンだったらAimerさんの「六等星の夜」を聴きたいですね。Aimerさんの声をこのスピーカーで聴いたらすごそう。
あとは最近DJを練習している中、かけたい曲を探していたときに「天天天国地獄国」(Aiobahn +81 feat. ななひら & P丸様。)を『G One』で聴いたらすごくカッコよくて。このスピーカーで気持ちよく聴ける曲をプレイリストにする作業もしたいと思ってます。
ミックスで意識するポイントは「ボーカルの抜け」
――メジャーデビュー7周年を迎えましたが、自身の内面の変化も感じていますか。
ナナヲ:実はデビュー初期のときは自分のために歌っていたので、だんだんと窮屈で息苦しいと感じるようになったことがあるんです。その理由を考えたときに、いままで支えてくれていた人たちのことが見えていなかったなと気付きました。
そこで明確に「ファンの方々に自分は支えられている」と理解したんです。5年目のことですね。それからは「みんなにどうしたら楽しんでもらえるか?」という視点で自分のステージを考えられるようになりました。ここ2年で考え方が変わって、7年目を迎えられてよかったなと。
改めて、よくこのメジャーシーンで7年もやってこれたなって思います。これは当たり前じゃない。「もっと野望を持った方がいい」と言われることもあるんですよ。でもいまは楽しく長く、好きな人たちに囲まれて活動を続けたいと思ってます。
――ご自分の歌についてはいかがですか?
ナナヲ:歌の成長もめちゃくちゃ感じてます。もともと自分のトップノートがEだったのですが、いいボイトレの先生に出会ったこともあり、G#まで出るようになりました。「こんな歌い方も自分はできるんだ」と歌の幅が広がって楽しいですね。よい練習をすると年齢に関係なく上達し続けられるはず。
――耳も成長しているのでは。
ナナヲ:そうですね。デビュー直後はミックス作業についてもよくわかってなかったです。「このベースを2デシベル変えたところで何が違うの?」と思っていたくらい(笑)。でも差で全体の印象が変わることに気付いて、ミックスの大事さを理解できるようになりました。
ほかのアーティストさんの楽曲を聴いても、「このミックスめっちゃいい」と考えますね。多分デビュー時の私に『G One』を使わせても猫に小判だったと思いますよ(笑)。
――現在ミックスで意識されていることは何でしょう?
ナナヲ:楽曲によってコンセプトや楽器の音数は全然違いますが、全体を通して大事なのは「ボーカルの抜け」。私の曲は歌の高音が印象的な楽曲が多いので、そこはちゃんと聞かせたいんですけど、楽器編成などでサウンドが変わると声の帯域が抜けてこない場合があるんですよ。
だからといってボーカルのゲインを上げたら解決、という単純なことでもなくて、別の楽器のハイやミッド帯域を削ると急にスコーンと抜けたりする。そこは意識してチェックするポイントですね。
『フライングベスト2』で表現した“二面性”とは
――自分の声の特徴を音としてどのように考えていますか。
ナナヲ:気を抜くと割と詰まったり、ピーキーに聴こえてしまうことがありますね。それを改善して歌えるようにはなってきましたが、耳が痛い感じになってしまったらエンジニアさんと相談しながら馴染ませる編集をしてます。ミックスは常に立ちあっています。
――ナナヲさんの楽曲は間奏で詩を朗読する「ポエトリー」のパートも特徴的ですが、その部分のミックスは歌とは別に考えていますか?
ナナヲ:そうですね。ポエトリーに関しては「子音を突く(上げる)」という作業をめっちゃしてます。それだけで劇的に聴こえてくるので、いつも「このKを突き上げてください」とか「Sを突いてください」と話してます。
――そしてベストアルバム『フライングベスト2』のリリースから少し経ちましたが、改めてどういう作品になりましたか。
ナナヲ:完成したときは「できたぞ!」という達成感が強かったです。いまは色々な人の声を聞いたり、自分でもゆっくり聴いてみたりして、改めていい盤ができたなと感じていますね。1分41秒くらいの短い曲「POI POI POI」がMVも含めて好評なのは意外な発見でした。
Disc2はいままでのタイアップソングが収録されていてキャッチーなんですけど、Disc1は内省的でコアなナナヲを感じられる内容なので、その二面性や幅の広さが伝れば嬉しいです。
――本作を『G One』で聴くなら、どの曲がオススメですか?
ナナヲ:真っ先に「ギミギミ聖域」を聴いてほしいですね。実は色々な音が混ざった重厚なサウンドなので、「こんな音が入っていたんや!」という気付きが多いはず。
アレンジャー・堀江晶太さんが遊び心でサビの裏に陽気なクワイアの声を入れているんですよ。何か声の成分が入っているな、とは感じましたがパラデータで聴かせてもらうまでは誰も気付きませんでした(笑)。耳をすませて聴いてほしいです。
――ちなみに収録曲のなかで特に思い入れのある曲は?
ナナヲ:「Flying」かな。作詞・作曲・編曲を担当してくれた、じんさんの楽曲が中学校時代から大好きだったんですよ。中二心をくすぐる音楽で救われたなと思う作家さん。その人と初めてコラボさせてもらえた大事な曲。当時の自分が知ったら横転するくらいの事件ですよ。
じんさんとは制作前、うじうじしていた音楽を始める前のナナヲのことや、音楽を作り始めてからのことや未来のことなど色々と話させてもらって、それを楽曲に落とし込んでくれました。
歌詞とメロがいい曲なので、そこにフォーカスしてしまうかもしれませんが、シンプルゆえに各楽器のフレーズに仕組まれた印象的なフックが『G One』だと、より聴こえてくるはず。
――『NANAOAKARI 7th anniversary stage.5 Re:FLYING ONEMAN TOUR 2025』も佳境を迎えていますね。
ナナヲ:めっちゃ楽しいですよ。初日の東京公演から新曲を全部披露するとは、お客さんも予想してなかったと思うんです。そこから「聴き込んでね」と伝えた結果、回を経るごとにお客さんの理解度も深まって曲が育っているなと感じますね。
会場によってはVJが不在なんですけど、そこではナナヲがパッドを叩く場面があるのでちょっとドキドキ(笑)。そういった緊張感も楽しんでいます。ツアーもラストスパートなので「あの公演は微妙だった」ということがないように、みんなをハッピーにしたいです。
――7周年が終わってからの展望は?
ナナヲ:ベストアルバムをリリースしたので、来年はコンセプトを立てたEPかミニアルバムをライブに関係なく自由な8年目を『G One』と一緒に迎えていきたいです!
■製品情報
Genelec ホーム向けシリーズ
詳細:https://www.genelec.jp/home-speakers/
今回レビューした最もコンパクトな『Genelec G One』
詳細:https://www.genelec.jp/g-series/g-one/
■リリース情報
ナナヲアカリ
7周年ベストアルバム「フライングベスト2」
URL:https://nanaoakari.lnk.to/WQmpDU
■ライブ情報
『NANAOAKARI 7th anniversary “bonus stage” Re:FLYING ONEMAN 2026』
2026年1月23日(金)
東京・キネマ倶楽部
開場18:15/ 開演 19:00
<チケット料金>
・1Fスタンディング \6,000(税込/ドリンク代別)
・2F指定席 \7,000(税込/ドリンク代別)
※未就学児童入場不可
※お一人様各公演4枚までお申込みいただけます
※再入場不可
※公演会場内の映像・写真が公開される場合があります
▼チケットFC先行受付中
FC先行受付期間:10/19(日)19:30~11/3(月)23:59
https://www.sma-ticket.jp/artist/nanawoakari



























