イヤーカフ型イヤホンはオープンタイプの本命! 『リアルサウンドテック×野村ケンジ オーディオLABO Session3』でタッチ&トライ体験

カルチャーメディア・リアルサウンドテックとオーディオ評論家・野村ケンジ、そして代官山 蔦屋書店によるコラボイベント『リアルサウンドテック×野村ケンジ オーディオLABO』の第3回となる『Session3』が、2025年9月6日(土)・9月7日(日)の両日、代官山 蔦屋書店1号館2階にある音楽フロアにて開催された。
Sesstion1 イベントレポート
https://realsound.jp/tech/2024/08/post-1737944.htmlSesstion2 イベントレポート
https://realsound.jp/tech/2024/12/post-1862910.html
今回のメインテーマは下記の特集サイトでも紹介しているように、現在、ワイヤレスイヤホン市場において大きな注目を集めている“イヤーカフ型イヤホン”。事前掲載の製品レビューと同じく、「HUAWEI」「Shokz」「QCY」「MOONDROP(水月雨)」の4つブランドがそれぞれブースを構え、テーマでもある“イヤーカフ型イヤホン”に加え、注目の製品や初披露の製品を展示。来場者が実際に手にとって、試聴できる機会を提供していた。以下、各ブースの展示内容について改めて紹介していきたい。
イヤーカフ型イヤホン特集サイト
https://realsound.jp/tech/2025/09/post-2134022.html
Shokz 『OPENDOTS ONE』
会場はこれまでと同じく、代官山の蔦屋書店1号館2階の音楽フロアで、イベントスペースはエスカレーターを上がった正面に設置。エスカレーターを降りてまず目に入ってくるのがShokzブースとなる。正面向きと裏面向きの2面展示で、直ぐに音楽を聴ける専用什器を使って展示していた。
Shokzと言えば、骨伝導式の耳掛けイヤホンで先鞭をつけたメーカーでもあり、展示では耳掛け式の『OPENFIT 2+』、ビジネス用の骨伝導ヘッドセット『OPENCOMM2』、スポーツ用骨伝導イヤホン『OPENRUN PRO2』、そして本イベントのメインテーマ、そしてShokz初のイヤーカフ型モデルとなる『OPENDOTS ONE』が体験可能。

その『OPENDOTS ONE』は着け心地に留意して開発が行なわれたそうで、日本国内でのクラファンでも3億円を超える支援を獲得する人気を得たという。開発の重要ポイントにおいても従来は「価格」「音質」「着け心地」という順番で行っていたそうだが、この『OPENDOTS ONE』では「着け心地」を第2ポイントに上げたことが、広くユーザーに受け入れられた構図となった。これは国内だけでなく、海外でも大好評らしく「海外においてもダントツに売れている」と担当者も語っていた。
イヤーカフ型特集サイトでの『OPENDOTS ONE』の製品レビューはコチラ
https://realsound.jp/tech/2025/09/post-2142158.html
HUAWEI 『HUAWEI FreeClip』
HUAWEIは今回のテーマでもあるイヤーカフ型に特化し、『HUAWEI FreeClip』のカラーバリエーション、「ローズゴールド」「パープル」「ブラック」「ベージュ」を一堂に展示していた。発売から一年半近く経つモデルとなるが、3年のもの期間をかけて開発されているだけに、その装着感はピカ一で、まさにイヤーカフ型モデルのお手本と言える出来栄え。イヤホンの左右の区別がなかったり、装着時に、耳の後ろ側に来るパーツが平らになっていて、しっかりと固定してくれるところなど、今なお斬新な仕様と言える。

ちなみに別稿で紹介するが、アイドルグループ・NEFRALISE(ネフラリゼ)メンバー、夏目一花さんは、愛らしいデザインに一目ぼれ。実際に装着しても「装着していないみたいだし、周囲の音も聴けて便利」とうれしそうに話してくれた。
搭載ドライバーは約10.8mm径のダイナミック型で、HUAWEI独自のハイレゾBluetoothコーデックL2HCをサポート(対応のHUAWEIスマホと組み合わせた場合に試聴可能。日本国内では一般的なAACコーデックでの再生となる)していることもあり、ハイレゾ再生に対応するその音質の片鱗――広いレンジ感、高域の細やかな再現性など――は、AAC再生においても存分に感じられるものとなっている。

イヤーカフ型特集サイトでの『HUAWEI FreeClip』の製品レビューはコチラ
https://realsound.jp/tech/2025/09/post-2142325.html
QCY 『QCY Crossky C30S』と『QCY Crossky C50』
QCYは昨年末より意欲的にオープン型のワイヤレスイヤホンを開発・市場に投入しており、今回のイヤーカフ型特集では、『QCY Crossky C30S』と『QCY Crossky C50』の2台がエントリー。イベント会場ではさらに、耳掛け式となる『QCY Crossky R70』、スティックタイプのカナル型となるが、10mm径のダイナミック型と話題のMEMSドライバーを組み合わせたハイブリッドモデル『QCY MeloBuds N70』、そしてワイヤレスヘッドフォンの『QCY H3 PRO』と、製品を大量に展示。来場者の関心も高く、次々手に取って、装着して、その装着感や音質を試す姿が見られていた。
中でも、『QCY Crossky C30S』『QCY Crossky R70』『QCY MeloBuds N70』『QCY H3 PRO』の4モデルはLDACコーデックをサポートし、ハイレゾオーディオワイヤレスの認証を取得するなど、音質にもこだわった製品となることから、その点を熱弁する担当者の説明に、来場者は熱心に聞き入っていた。

なお、『QCY Crossky C30S』と『QCY Crossky C50』の特徴と使い分けについて簡単に紹介すると、C30Sは10.8mm径のダイナミックドライバーを強力なマグネットで駆動することで得られる、量感のあるサウンドが特徴。LDACコーデックもサポートしていて音圧・レンジ・解像感が高い次元で楽しめるようになっている。音空間を拡大してくれる「空間オーディオ」機能もあり、音楽だけでなく動画コンテンツも楽しめるようになっている。
一方のC50は出力は40%も強化されているようで、主にオープン型で不足しがちな低域を強化。パワフルなサウンドを奏でてくれる。C30Sよりも後発なためか、「空間オーディオ」機能の効果は精度が上がっていて、より大きな空間を感じる再現性があることから、特に動画コンテンツ視聴時には大いに役立つだろう。

イヤーカフ型特集サイトでの
『QCY Crossky C30S』『QCY Crossky C50』の製品レビューはコチラ
https://realsound.jp/tech/2025/09/post-2144775.html
MOONDROP(水月雨) 『PILL-カプセル』
最後は、目を引く製品を多数ラインナップしているMOONDROP(水月雨)だ。会場にはイヤーカフ型の『PILL-カプセル』をメインに、『SPACE TRAVEL 2』、本邦初公開になるという『SPACE TRAVEL 2』の上位モデル『SPACE TRAVEL 2 ULTRA』、そして秋口に発売予定の『夢回-Golden Ages II』、さらには8月末に発売したばかりの新製品、ワイヤレスヘッドフォン『EDGE』も2カラー展示されていた。

『PILL-カプセル』は見た目もギミックも遊び心が満載の製品。収納ケースの蓋(?)をくるっと回転させると、イヤホンが取り出せるという仕掛けとなっている。スケルトンカラーもなかなかオシャレだ。搭載ドライバーは、比較的大きめの13mm径のダイナミック型で、量感のある低域が楽しめるほか、今様のゲーム向け「低遅延モード」、マルチポイント接続対応、IPX4の準拠の耐水性能といった機能を備える。
イヤーカフ型特集サイトでの『PILL-カプセル』の製品レビューはコチラ
https://realsound.jp/tech/2025/09/post-2144920.html
その他、展示されていた新製品を簡単に紹介すると、『SPACE TRAVEL 2 ULTRA』は平面ドライバーを搭載した上位モデルで価格は1万円は切るそう。『夢回-Golden Ages II』は、収納ケース外装が音楽プレーヤー(カセット)デザインになっているのがポイント。収納ケースを収納する(笑)肌触りのいいスキン製の専用ケースも付属する。平面ドライバーやANCも装備する。価格は1万円台半ばという。

オーディオ評論家が分析したイヤーカフ型イヤホンの未来
最後は、今回もオーディオ・コンシェルジュを務めた評論家の野村ケンジ氏のイヤーカフ型イヤホンの今と、今後についてのコメントを以て締めたい。
「今のワイヤレスイヤホンの市場を見てみると、新製品が数多く発売されているイヤーカフ型は、一番新しいムーブメントでもあるし、今回のイベント会場にも、その新製品が多く揃っていた(展示されていた)点は特筆できますし、同時に、すべての製品の試聴ができるのは歓迎したいポイント。そして、もうひとつのポイントとしては、それぞれのメーカーの製品にしっかりとしたキャラクターが備わっていて、どれもこれも同じようなものになってないことは、個人的にも嬉しいですね。
例えばShokzの『OPENDOTS ONE』について言えば、ノイキャン(ANC)が入っているわけではないのに、音漏れはほとんどないし、MOONDROP(水月雨)の『PILL-カプセル』は、面白いデザインに振った上で、しっかりと音楽を楽しめるようにまとめられていて、特にボーカルの再現性に優れているという特徴を備えるなど、それぞれのメーカー・ブランドが、自分たちのポリシーとかスタンスに沿ったモノづくりをしている点が、素晴らしいと思います。
僕たちユーザーにとっても、その違いを感じるというか、違いを知った上で、じゃあどれが自分にとってベストなのか? を考えながら製品選びをするのは楽しいですよね。今回のイベントには4メーカーが参加してくださいましたけど、このぐらい製品が揃うと違いや好みが把握しやすくるなると思いますので、ぜひ、こういう機会を使って試聴して、好みの製品を見つけていただきたいです。
また加えて、会場の持つ雰囲気も大事かと。イヤーカフ型は耳を塞がないオープンタイプなので、周りの音が入ってきます。だから、今回の蔦屋書店のような落ち着いた会場で試聴できるのは、実際に使用する環境に近い状況を確認しつつ、ゆったりと製品を確認できるのでおススメできます。音モノの製品の試聴が、こうした落ち着いた環境の中でできるのは今後ますます重要になると思いますし、意義のあるイベントになったと感じています。
そして、いま、イヤーカフ型の新製品は各社から発売されていますので、一過性のブームに終わることなく、ワイヤレスイヤホン、それもオープンタイプというジャンルの中で、確実に定着するなと感じております。販売台数や金額、メーカー数という指標は今後も増えていくでしょうけど、よりジャンルとして成熟し、オープンタイプの本命という立場にイヤーカフ型が座るのではと僕は思っています」



























