一目惚れする愛らしさと楽しさ クルリと回せばパッと装着、MOONDROP(水月雨)『PILL - カプセル』これは美音のカプセルだ

一目惚れ、とはこういうことを言うのだろう。TWS(完全ワイヤレスイヤホン)としてはこれまでに例のない、薬品用カプセルをモチーフとしたデザインを採用。くるっと回してイヤホン本体を取り出すという、その動きのユニークさだけでも欲しくなってしまったのが、MOONDROP(水月雨)のイヤーカフ型TWS『PILL - カプセル』だ。
続々と新ブランドが登場する中華イヤホンメーカーのなかにあって、確固たる人気を集めているMOONDROP(水月雨)だけあって、製品の造りやサウンドもなかなかのものだが、最大のインパクトといえばやはりデザインだろう。
文字通り“飲み薬”のカプセルをそのまま大きくしたようなカタチの専用ケースはその存在自体が可愛らしく、インテリアとしても絵になる。カラーバリエーションとして、写真のレッドに加えてブルーやブラックも用意されているので、色違いで揃えてインテリアとしてデスクやテーブルに飾りたくなってしまうほど(惚れすぎ!?)。
さらに、組み込まれたバネによってクルンと回る内部構造は、単にイヤホン本体が取り出しやすいだけでなく、動きそのものが楽しい。意味もなく何度も回転させてしまうほどクセになる。
ちなみに、専用ケースは左右の区別がなく、どちらのイヤホン本体も収納することができる(イヤホン本体は左右がある)。とはいえ、どのカラーも片側に色が入り片側がクリアになっているので(入れ間違いは生じないとしても)慣れていくうちに着け間違いもなくなり、さっと装着して使えるようになるだろう。
このように、存在自体が強いインパクトを持つ『PILL - カプセル』だが、いっぽうでイヤホンとしてもしっかりした製品となっていたりする。まず装着感に関しては、素早く簡単に装着が可能。近年続々と新製品が登場しているイヤーカフ型は概して装着感が良好だが、なかには装着にひと手間ふた手間必要なクセの強い製品もある。対して『PILL - カプセル』は、熱可逆性TPUとチタン合金を組み合わせた形状記憶タイプのCブリッジを採用したおかげか、さっと取り付けられ、かつ確かな装着感を持ち合わせている。脱落の心配はまずないので、安心して活用できる。
さらに、「ダイポール型指向性音伝送技術」の採用によって、オープンイヤー型で心配になる音漏れも大幅に抑制してくれている。実際に試してみたところ、控えめではないごく普通(Androidスマートフォン「Nothing Phone (2)」でちょうど真ん中くらい)の音量でも、全くと言っていいほど音漏れを感じない。混雑中の電車内ならまだしも、基本的には音漏れを気にせず楽しむことができる。
もちろん、サウンド面でも様々な工夫が行われている。音質の要となるドライバーユニットは、13mm口径という大型のダイナミック型ドライバーを搭載。ロングストローク動作と大型リアチャンバーなどにより、低域の量感を充分に確保している。加えて、55ms低遅延のゲームモードや3段階調整可能なBASSコントロールも用意。さらに、MOONDROPアプリによって、EQ(パラメトリックEQ)など様々なカスタマイズを行うことができる。ちなみにこちら、珍しいことにユーザー参加型のアプリとなっていて、他のユーザーが作り上げたEQを使用することができるようになっている。様々な人が作り上げたEQ設定が体験できるのは、とても楽しい。
このほかにも、Bluetooth6.0対応による安定した接続、マルチポイント接続(2つのデバイスを同時接続して自動切り替えできる)、イヤホン本体で8時間(専用ケースからの充電を合わせて28時間)の連続再生が可能、IPx4の防滴・防汗性能など、最新モデルならではの充実した内容を持ち合わせている。
さて、肝心のサウンドはいかがなものだろうか。試聴してまず最初に驚いたのが、カナル型イヤホンに近い臨場感で音楽が楽しめること。最大音量の3/4超くらいとボリュームを多少上げてはみたが、低域が必要十分な量感を保っているうえ、中高域がしっかりと届いてくれるため、BGM的な印象にならず、音楽を存分に楽しむことができるのだ。特に、ボーカルが明瞭に聴こえるのが嬉しい。宇多田ヒカルは普段より少しハスキーな声色ながら伸びやかさは充分。歌と演奏との一体感があって、聴いていて楽しい。女性ボーカルはLISAやTRUE、fhánaなど、抜けのよい声質の人がベストマッチングに感じた。男性ボーカルはオーイシマサヨシがとても楽しいが、ハスキーな米津玄師も味があった。
このように水月雨『PILL - カプセル』は、同社初のイヤーカフ型として(オープンイヤー型としても)初の製品とは思えないくらい、完成度の高い製品に仕上がっていた。同時に、ゲームやアニメなどのサブカルチャーに強いシンパシーを感じ、音楽をより“楽しく”聴かせようとする水月雨だからこその製品とも感じた。正直、7000円前後という価格はとてもお買い得。イヤーカフ型のながら聴きイヤホンを探している人だけでなく、より多くの人にオススメしたい製品だ。
●参考情報
https://moondrop.jp/product/pill





























