圧倒的な薄さが話題の折りたたみスマホ『Samsung Galaxy Z Fold7』って実際どう? その実力を徹底レビュー

Samsungから、最新の折りたたみスマホ『Galaxy Z Fold7』が登場。2025年8月1日より発売が開始された。Samsung公式ストアでの価格は、RAM12GB+ストレージ256GBモデルで26万5750円。
この「Samsung Galaxy Z」シリーズは、いわゆる折りたたみスマホと呼ばれるものだ。初代となるFoldは2019年に登場しており、折りたたみスマホとしての歴史は長い。また、モデルチェンジのたびに「弱点」を克服し、完成度を高めているのも特徴だ。
筆者は初代からFoldを見てきたが、今回の『Galaxy Z Fold7』はもっとも驚かされたモデルでもある。その理由は、ずばり薄さ。薄さの獲得によって「折りたたみの当たり前の弱点」までも、ついに克服してきたのだ!
普通のスマホのように使える
まずは『Galaxy Z Fold7』の外観から見ていこう。上記の写真で見えているのはサブディスプレイで、大きさは6.5インチ、解像度は2,520x1,080。Dynamic AMOLED 2X(有機EL)により、発色も良好だ。



8.0インチの大型ディスプレイが登場! サブと同様にDynamic AMOLED 2X採用で、解像度は2,184x1,968。8インチといえば、iPad miniに匹敵するスクリーンサイズだ。
高品質なサブディスプレイと、開いた際の大画面。これこそが折りたたみスマホの特徴だが、その構造から分厚くなってしまうのが折りたたみスマホの弱点でもあった。だがしかし。
この薄さはどうだ! 『Galaxy Z Fold7』は、Samsung史上最薄のスマホでもあるのだ。これだけ薄いディスプレイを指で摘んでいることに、違和感を覚えるほど。
筆者私物である『iPhone 15 Pro』と厚みを比較してみよう。画面下部の開いた状態では、『Galaxy Z Fold7』はiPhoneの半分ほどの厚みしかない。折りたたんだ状態の厚みも8.9mmと非常に薄い。
ちなみに前モデル『Galaxy Z Fold6』の折りたたんだ状態の厚みは、約12.1mm。さらに前のモデル『Galaxy Z Fold5』の厚みは約13.4mmであった。今回のモデルは、ついに1cmの大台を下回ったのだ。
カメラ部分は、2億画素のメインカメラ+12MP超広角+10MP望遠のトリプルレンズ構成。メインカメラの画質については、SamsungのフラッグシップであるSシリーズのUltraに匹敵する。
レンズがかなり出っ張っているので、テーブルに置くとやや不安定なバランス感になってしまうのもUltraと似ている。しかし、ディスプレイの面積はその比ではない。
スマホとタブレットを融合させたような便利さ
ここからは、折りたたみスマホの使い勝手の良さに注目していこう。通常のスマホは縦長もしくは横長ディスプレイしか持っていないが、本機は開くことで小さなタブレットほどの画面サイズを展開できる。バッテリー容量は4,400mAhで、動画視聴なら約24時間も再生できるほど。
広大な画面サイズを活かして、手書きペンとテキストを組み合わせた企画書の作成などもお手の物だ。また、キーボードの面積が圧倒的に広いので、PCに近い操作性なのも嬉しい。ただし、『Galaxy Z Fold7』はSペン非対応なので、手書きの操作性は前モデルほどではない。薄型化とのトレードオフが如実に表れた点だろう。
今度はブラウジングでの画面サイズの比較をしてみる。サブディスプレイを使えば、一般的なスマホと変わらない操作感でネットを楽しむことができる。これでも充分だが……。
画面を開けば、見やすさは段違い。厳密には見やすくなるかどうかはサイトデザイン次第ではあるが、画像や見出しが読みやすくなるのは間違いない。また、メール返信のように多くの文字を表示させたい場合も、ディスプレイの広さが活かされる。
個人的に、ゲーム体験の違いは折りたたみスマホの真骨頂ではないかと感じている。上記の写真のように、画面に映る背景やキャラクターのサイズはここまで変わってくる。ゲームによってはスマホの画面サイズでは描けなかった部分まで表現されるため、よりリッチな体験を味わえるだろう。UIなどの操作性は変わってくるが、感覚としてはタブレットでスマホゲームをプレイするものに近い。
ちなみに『Galaxy Z Fold7』のチップはSnapdragon® 8 Elite for Galaxyで、ゲーム性能はかなり高い。発熱に関しては『ゼンレスゾーンゼロ』を最高画質でプレイすると、10分ほどで背面部が熱くなってきた。熱を感じるまでの時間が早いのも、薄型化の影響だろうか。
また本機は画面の左右、あるいは上下で別のアプリを起動することも可能だ。画面左側ではブラウジングをしつつ、右側でチャットアプリを読む、といった具合だ。同様の操作はAndroidでは珍しくない。
『Galaxy Z Fold7』で画面分割を行えば、それは通常のスマホを2台並べて使う感覚に近い。上記の写真のように角度をつければ、上画面+下画面で情報を表示することも可能だ。PCと併用すればサブディスプレイ的に使うこともできるだろう。あるいは『Galaxy Z Fold7』にワイヤレスキーボードを繋いで、『Galaxy Z Fold7』を母艦として作業することもできなくはない。極めてミニマルな作業環境が構築できるはずだ。
折りたたみの気になる点は?
折りたたみスマホの懸念として、折りたたみ部分の強度が挙げられる。「ディスプレイを折り曲げて平気なの?」と考えてしまうのは、直感に反しない正常な感覚だろう。
実は折りたためる(屈曲耐性に優れた)ディスプレイの技術において、Samsungは世界をリードしている。実際に本機のディスプレイも前モデルより堅牢かつ滑らかになっており、写真のようにヒンジ部分の隙間も気にならないほどだ。過去モデルは折りたたんだ際に屈曲部が詰まって、本体がV字型になることもあったが、『Galaxy Z Fold7』の折りたたんだ姿は一般的なスマホと大差がない。
もうひとつの懸念点は、ディスプレイを開いた際の折りたたみ皺だ。上記の写真を見ると、ディスプレイ中央にうっすら影が入っているのが見えるだろう。これは屈曲部のたわみで、指で触るとわずかにディスプレイが凹んでいるのもわかる。これも折りたたみスマホが未熟とされていた要素のひとつだ。
しかし、正面から見てみるとこのたわみはほとんどわからなくなる。光の加減などでたわみが見えるシーンも存在はするが、ブラウジングやゲームなどの体験が大きく損なわれることはないだろう。少なくとも、本機のレビュー中にたわみが気になったことは一度もない。
カメラ性能を一気にチェック
最後は、本機のカメラ性能を見ていこう。まずは倍率の違いを作例とともに一気に紹介する。
上記は0.6倍の超広角カメラで撮影したもの。四隅には収差が見られるが、つぶさに見なければ気にならないレベルだ。
メインカメラで撮影。2億画素だけあって、豊かなコントラストが抑えられている。空と木の陰、両方をつぶさず捉えているのはさすがだ。

望遠レンズによる、光学3倍。このレンズは前モデル『Samsung Galaxy Z Fold 6』から継続とされているが、そこまで悪いものでもない。

最大でデジタルズーム30倍まで接近できる。画質的に常用できるのは10倍が限度だろうか。
ロコモコ丼を食事モードで撮影。食事モードではピント位置をタップで変更でき、ボケ表現を楽しめる。色についても目玉焼きのシズル感などは良い具合だ。
こちらは3倍望遠で撮影。筆者は望遠が好きでついズームしてしまうのだが、ボケ感を表現できてこちらも楽しい。
普通のスマホ感覚で、倍のディスプレイを持ち歩こう
折りたたみスマホは、折りたたむと分厚い。そう言われていた時期は確かにあったが、『Galaxy Z Fold7』はその弱点をついに克服した。持ち心地は普通のスマホと変わらないのに、開くと大画面ディスプレイが飛び出てくる。これこそ、数年前に折りたたみスマホという未来ガジェットに憧れたロマンそのものではないか。
分厚くないから、ポケットに入れて簡単に持ち歩ける、また、折りたたんだ状態でも持ちやすいからサブディスプレイで操作する機会も多かった。Foldシリーズも7代目にしてこの使用感にたどり着いたのかと思うと、感慨深いものがある……。
今使っているスマホが、厚みやサイズもそのままにパカっと開いて大画面になる。そんな未来は確実に近づいているのだろう。少なくとも、もう折りたたみスマホについて「厚み」は弱点とは呼べなくなりそうだ。
◯参考情報
https://www.samsung.com/jp/smartphones/galaxy-z-fold7/









































