27歳編集者が選んだタブレット『Galaxy Tab S10 FE+』には“ちょうどいい”が詰まってた

なんとなく“iPad以外”を探してた。
編集という仕事柄、原稿チェックやメールの確認は日常茶飯事。そういった情報を整理する機会も多く、PCとは別画面で処理できるタブレットは意外と重宝する存在だ。
これまで使っていたのは、大学2年のときに購入した『iPad Pro 11インチ(2018)』。現役7年目という数字が現すように、かなりお気に入りの一台だ。とはいえ、小学6年生が大学生になるほどの歳月と言い換えると、その時間の流れをより実感するが、さすがに動作の重さやバッテリーの劣化も気になってきて、そろそろ買い替えを検討する時期…。
「タブレットといえば、やっぱりiPad」な意識があった自分だったが、今回は以前から少し気になっていた『Samsung Galaxy Tab S10 FE+(以下、Galaxy Tab S10 FE+)』を試す機会に恵まれた。実際に使ってみると、スペック・価格・使い勝手のすべてにおいて、過不足のない“ちょうど良さ”を感じられる一台で、結果的にこれまた頭を悩ます選択肢となってしまった。
第一印象:13.1インチの大きいけど軽い、不思議な体感

初めて手にした13インチ超のタブレット。開封して最初に思ったのは、「画面、デカッ!」という素直な驚き。
ちなみに、これまで使用していた『iPad Pro 11インチ(2018)』は重量468g、厚さ5.9mmほど。そもそもインチ数の差があるのでフェアではないが、参考程度に比べると664gの『Galaxy Tab S10 FE+』の方が約200gも重めではあるが、やや縦長の形状や本体の薄さもあってか不思議と体感としては数値以上の差を感じなかった。
500gを超える重量ということもあって、さすがに長時間手に持って使っていると腕にくるが、個人的に利用シーンの多い、デスクの上に置いての作業や、ソファーの肘掛けに立てかけながらの使用ではまったく問題ない。
純正のケース『Galaxy Tab S10 FE+ Smart Book Cover』なども用意されているので、それらを用いればより見やすく楽しめるだろう。

本体のデザインも魅力的で、落ち着いたシルバーの色味とミニマルな外観はとても好印象。熱伝導の良いアルミ素材のひんやりとした質感は、夏場には冷感を求めて思わず抱きしめたくなる……冗談はさておき、たしかな上質さを感じる仕上がりだ。
【Samsung Galaxy Tab S10 FE+製品仕様】
・クロック周波数:2.9GHz, 2.6GHz, 1.9GHz
・CPU コア数:オクタコア
・メインディスプレイのサイズ:13.1インチ (332.8mm)
・メインディスプレイの解像度:2880 x 1800 (WQXGA+)
・メモリ (GB):8
・ストレージ (GB):128
・外部ストレージ対応:MicroSD (最大2TB)
・サイズ(高さ x 幅 x 厚さ, mm):194.7 x 300.6 x 6.0
・重量 (g):664
・バッテリー容量 (mAh, 標準):10090
・アウト (メイン) カメラ - 画素数:13.0 MP
・価格: 税込109,010円そのほか、詳細スペックは製品ページへ
使用シーン1:編集者の“ちょっとした仕事”に便利

メールチェックやスケジュール確認、NotionやGoogleドキュメントを使った原稿チェックなど、普段の業務のなかで『Galaxy Tab S10 FE+』を実際に使ってみた。特にありがたかったのが、やはり13.1インチの大画面!
ノートPCの1画面だけだと、どうしても作業スペースが足りないと感じることがあったが、タブレット側に一部作業を分担させることで、作業効率がグッと上がる感覚があった。画面分割も便利で、片側にスケジュール、もう片側にSlackや資料を開いた状態で作業できるのはかなり快適。13.1インチという大画面のおかげで、画面を分割しても視認性が損なわれず、各作業がしっかり見渡せる。結果として、マルチタスクのハードルも自然と下がった。
加えて、個人的に気に入ったポイントのひとつが、MacBook Pro 14インチのキーボード部分にぴったり収まるフィット感だ! 指紋認証の部分が隠れてしまうのは惜しいが、それを差し引いても、並べて使えば即席のデュアルディスプレイのようになり(iPadと異なり、Macとの連携などはできない)、省スペースかつ効率的に作業できるのが嬉しいポイントだった。


「Sペン」での手書き入力も思った以上に快適だった。打ち合わせ中のメモや、ラフなスケッチにも対応できる書き心地で、予想以上の精度にちょっと驚かされた。また、ペン先を浮かせた状態でも反応するホバー機能付きで、操作性も良好。Apple Pencilのように充電の手間がないというのも大きなメリットで、「これで本当に充電不要?」と思うほどの完成度だった。
ただ、画面のリフレッシュレートは最大90Hzとなっている。ふだん120Hzの画面を使っていると最初はやや違いを感じたものの、しばらく使っているうちに自然と慣れていった。このあたりは“コスパ機”としての割り切りが必要ではあるが、使い勝手を大きく損なうほどではなく、実用面では十分だと感じた。
使用シーン2:休日の“趣味タブレット”としても隙なし

「いいなぁ〜、いいなぁ〜。大画面っていいなぁ〜」
NetflixやYouTubeの動画視聴、Kindleでマンガを読むといった日常のコンテンツ消費にも、『Galaxy Tab S10 FE+』はしっかり応えてくれる。13.1インチの大画面は、まさに“このためにある”と言っても過言ではない存在感だ。
大きな画面で映像を見るのは、それだけで満足感があり、体験としてもよりリッチに感じる。少し大げさな言い方かもしれないが、映画館の大スクリーンで映画を見るような気持ち良さがある。

中でも、個人的に一番“やられた”と感じたのはお風呂での利用。実はこのタブレット、防水・防塵性能がIP68等級(1.5mの水中に最大30分耐えられるレベル)となっており、水回りでの使用にも強い。
もちろん「お風呂くらいゆっくりしようよ」という正論はある。ただ、一度お風呂にタブレットを持ち込んで、1時間ゆったり湯船に浸かりながらサッカーの試合でも見てしまったものなら、もう戻れない。スマホの小さな画面では得られなかった迫力と没入感が、そこにはあった。ただ、水没による故障リスクもゼロではないため、使用は自己責任で。(参考:Samsung「防水 / 防塵性能を維持するためのガイドライン)」。

そしてもうひとつ、体験を底上げしてくれるのが「高音質なスピーカー」。『Galaxy Tab S10 FE+』はステレオスピーカーを搭載しており、音の広がりと奥行きがしっかりと感じられる。音にはちょっとうるさくなってくるお年頃(※27歳・筆者談)としては、この点も高評価。
スピーカーの位置が、タブレットを横向きに持ったときにどうしても手で塞いでしまいがちだったり、「4スピーカーのクアッド仕様だったら……」という欲も出てしまうが、価格とのバランスを考えれば、そこは納得できる範囲だろう。
「タブレットのスピーカーなんてそんなに使わないし」と思うかもしれないが、ふとしたときに耳に届く“ちゃんとした音”は、じわじわと幸福度を上げてくれる。意外と、こういう細部が長く使いたくなる理由だったりする。

プロセッサーは、Samsung自社製の「Exynos 1580」を搭載。ベンチマークアプリ「Geekbench 6」で数値化してみると、「1356(Single Core)、3864(Multi Core)、6498(GPU)」という結果に。
ハイエンドではないが、普段使いでは特にストレスを感じない程度の処理能力を持っている。最高画質でのゲームなど、重たい処理を要求される場面ではやや厳しい場面もあるが、動画視聴やブラウジング、資料の閲覧といった用途ではじゅうぶん過ぎるくらい軽快に動く。まさに“ミドルレンジのタブレット”として、バランスのとれた仕上がりになっている。
まとめ:「日常の“ちょっと便利”を底上げする1台だった」

使っていくうちに気づいたのは、このタブレットには“自然と使いこなせるちょうど良さ”があるということ。過剰な機能や複雑さはなく、必要な機能がきちんと揃っていて、毎日の中にスッと馴染んでくれる感覚がある。
一方で、AI関連の機能については、個人的にはまだ“及第点”といった印象を感じた。記事内であまり触れなかったのは、率直に言って、日常生活にうまく溶け込ませるのが難しかったからという理由が大きい。
たとえば、Googleの「かこって検索」や、写真内の不要物を除去する機能などは搭載されているが、自分の使い方では出番が限られていて、「使う機会がない」「結局PCでやった方が早い」と感じる場面が多かった。ただし、このあたりはユーザーのスタイルにも左右される部分だろうし、今後のアップデートによる進化にも大いに期待できるので、今後に期待したい部分だ。
編集の仕事での相棒としてはもちろん、動画視聴や読書、手書きメモなど、日常のあらゆるシーンで活躍してくれる。“iPadじゃない選択肢”として、『Galaxy Tab S10 FE+』は確かに“アリ”だと感じた。10万円台という価格で、13インチクラスの大画面、Sペンが同梱されていてクリエイティブにも活かせる、Samsung Galaxyというブランドの信頼感もあって、コストパフォーマンスは非常に高いと感じた。
iPad一択だと思っていたが、その可能性を広げてくれる一台に出会ってしまった。悩ましい…ああ、悩ましい……また、ひとつタブレットの選択肢が増えてしまった。
























