レノボ、「Lenovo Legion Gen 10シリーズ」を起点にゲーミングPCの戦略をさらに強化

レノボ、ゲーミングPCの戦略をさらに強化

 レノボはゲーミングPCブランド・Legionの第10世代となる新製品の発表と体験会をesports銀座スタジオにて開催した。その内容を製品の詳細データ、Lenovoのゲーミング戦略を発表した。

LEGION製品発表会。esports銀座スタジオは高精細で大型のステージディスプレイが好印象。
販売開始となった製品『Legion Pro 7i Gen 10』は今回紹介された中では最上位(シリーズではLegion Pro 9i Gen 10が最上位)。今回展示されたノートPCでは唯一天板ロゴが光る。
『Legion Pro 5i Gen 10』。GPUがRTX 5070と7iよりもグレードが下がり、CPUは同じだが電源設定の関係で「パフォーマンスは下となる(説明員)」。
『Legion 7i Gen 10』CPUのグレードが下がり、ディスプレイもリフレッシュレートが165Hzとなる。
『Legion 5i Gen 10LOQ』。Legionシリーズとしてはエントリ製品だが、スペック的には十分。
『Legion T7』。簡易液冷だがオーソドックスなデスクトップゲーミングPCだ。
『Legion T5』。ノートパソコン用のプロセッサCore Ultra 275HXを使っている。

 冒頭、コンシューマ事業部 コンシューマ製品戦略リードの三島達夫氏がLEGIONブランドの今後ゲーマーの戦略を説明。PCゲーマー人口はLEGIONブランドをスタートした2015年と2023年では世界、日本共に30%以上の成長があるという。また、Gaming PCのカテゴリにおいてLEGIONは世界第一の28.6%のシェアで二位と10ポイントの差をつけている。

レノボ・ジャパン合同会社 コンシューマ事業部 コンシューマ製品戦略リード 三島 達夫氏。
PCゲーマー人口は10年前と比較して日本、世界共に30%超の伸びだ。
PCゲーミングの中でLegionブランドは世界No.1のシェアを占める。

 一方、現在のGaming PCのターゲットカスタマーを分類した結果、Gaming PCのみならず、幅広いエコシステムの展開が必要と判断。Gaming PCのLEGIONではなくGamingのLEGIONに変貌する。

 そこで、レノボゲーミングとして統一された価値と経験の提供となるOne Design、One Portal、One Experienceが今後必要になるとした。先のターゲットカスタマーに合わせた商品展開として、今回はLegion Pro、Legion,LOQという製品を紹介すると細川氏にバトンタッチした。

レノボはコアターゲットを4つにカテゴライズ。
単なるゲーミングPCブランドではなくゲーミングブランドへと発展する。
ゲーミングブランドへの進化のためにOne Design、One Portal、One Experienceを提供。
ただし、今回はノートパソコン製品が主役だ。中央の黄色い枠に囲まれたのが本日販売開始となった製品。

 今回、販売開始となったノートPCに関してはコンシューマー事業部ゲーミングPM担当Sr.スペシャリストの細川 英夫氏が解説した。今回紹介されたのはCompetitive Gamer向けの『Legion Pro 7i/5i』とImmersed Gamer向けの『Legion 5i/7i』、そしてAspirational Gamer向けのLOQとなる。今回発表された製品はすべてIntel CPU製品だ。

 大雑把に分類するとLegion Proシリーズは最大TDP 250WのパフォーマンスでCore Ultra HXシリーズのCPUを搭載し、GPUも上位製品を使用。Legionシリーズはスリム&ライトとなり最大TDP 200W。CPUは上位製品同等のCore Ultra HXシリーズのCPUを搭載しているが、消費電力の関係で性能はやや下がり、GPUも中位の製品を使用している。LOQはコスパ優先のバランス派で、最大TDPは160Wだ。

レノボ・ジャパン合同会社コンシューマー事業部ゲーミングPM担当Sr.スペシャリスト細川 英夫氏。
今回発表のノートパソコンの主なカテゴライズ。ゲーミングパソコンはdGPUを使うため消費電力が高く、高TDP製品≒高性能といえる。

 他社との差別化要因もいくつか紹介していた。まずAIを活用した冷却技術で、これはシリーズ毎に異なるが、最上位のLegion ProシリーズではLEGION COLDFRONT VAPORというベイパーチャンバーによって冷却性能を上げ、トリプルファンをAIコントロールすることで-7dBの静音を達成したという。これによって、体がさわる部分を中心に温度も下げることを実現した。

高TDP=高発熱。それをいかに放熱してクールなPCにするかがゲーミングノートパソコンの開発のテーマとなる。

 また独自のAIチップを使用し、従来ならBIOS変更が必要なシステムレベルの制御を行い、環境やプレイ状況で多数のゲームタイトルにおける性能向上を実現する。

 そのためのAIチップの開発は2021年からスタートしており、今回のGen.10製品ではLOQにLA1と呼ばれるチップ、Legion 5iにはLA3チップ、Legion 7i、Legion Pro 5i/7iにはLA3とLA1を併用、そしてLegion Pro 9iではLA3-Pチップを組み込んで、パフォーマンスやFPSの最適化などを実現した。

AIという言葉を聞かない日はないが、ゲーミングノートにAIチップを搭載している会社はまれだ。
2021年からAIチップ開発をスタートし、今年はLA1/LA3/LA3-Pと三種類のチップを使用する。

 これらの調整はLenovo VANTAGEというアプリで設定が可能だ。パフォーマンス調整はFn+Qボタンでワンタッチで変更可能で、電源ボタンの色で判別できるようになっている。設定は多岐にわたり、GPUのオーバークロックも行えるのは頼もしいだろう。

レノボPCの特徴の一つがツールだが、Legionにおいてもパワフルな設定変更が可能となっている。GPUオーバークロックもGUIで簡単に行える。

 ディスプレイは今回全面的にOLEDを採用している。特にLegionとLegion Proは他社に先駆けてVESA TRUEBLACK 1000の認証を得ている。また、通常利用時は60Hz、ゲーム時は165Hz/240Hzにするアダプティブリフレッシュレートに対応しており、不必要な電力消費を抑えている。

ゲーミングノートなので高リフレッシュレートのパネルを採用。しかし、普段使いならば通常の60Hzで消費電力を抑える設定もワンタッチで変更可能だ。

 キーボードに関しては1.5mmのキーストロークを確保しているほか、一部のキートップをセラミックのキートップに変更するキットを別売する。これはキートップ(二色)とその下のパンタグラフ部分も合わせて交換できるものだ。

 残念ながら会場に交換例サンプルが見つからなかったが、自分だけのパソコンを作る意味では面白い取り組みだ。

キーボードの質もレノボの特徴。今回は1.5mmストロークのキーを採用し、さらにキー交換のキットも提供する。

 最後にサポートとしてLegion Ultimate Supportを取り上げていた。これは24時間いつでも日本語対応できるゲーム専用のサポートデスクとなっている。本体の設定だけでなく、ゲームプレイのTIPSやSteam/Discordの設定とPCゲームに関するお悩みを解決できるという。

 これも他社のサポートとは深度が異なる。ゲームに対してどれだけの知識と経験を持つスタッフがいるのかわからないが、少なくともゲーム初心者には心強いだろう。

ゲーミングPCのサポートとして、本体以外のゲームに関する相談も可能なLegion Ultimate Supportもアピールポイントだ。

 今回はゲストにインテル マーケティング本部長の上野晶子氏も登壇。今回採用された製品に使用されているIntel Core Ultra 200シリーズプロセッサは高いパフォーマンスとバッテリー寿命の両立を実現しているだけでなく、CPUとGPUに加え、今後のAIに欠かせないNPUも入っており、この3つを協調させることで多くの処理が可能になると発言。

 本製品群は過去の世代と比較してゲーミング体験を大きく向上させているだけでなく、クリエイティビティにも有用だ。これらの2つの領域に対して、ゲームベンダーやパソコンソフトメーカーと協力したキャンペーンを実施している。またクリエイター支援のためのコミュニティ「インテル ブルー カーペット」を運用中で、その中にはレノボの製品を使っているクリエイターもいると紹介していた。

インテル株式会社 マーケティング本部長 上野晶子氏。
今回発表の製品はすべてIntel Core Ultra 200シリーズを採用。CPU/GPU/NPUが協調してAIタスクをこなすのが特徴だ。今回のイベントはプレス関係者だけでなく、各種インフルエンサーも多数出席し、製品を紹介してもらう取り組みが行われていた。

 日本市場は少々特殊なところがあり、世界ではLEGIONがトップブランドなのに対し、日本市場では国内BTOメーカーがかなりのシェアを取っている。

 そこで「日本市場における取り組み」について伺ったところ「今後オフラインイベントやインフルエンサー連携強化で認知度を上げる」という回答が得られた。今回インフルエンサーの招待があったのはこの一環だと言えるだろう。

日本ならではの施策としてインフルエンサーの起用も。LEGION公式アンバサダーのスタンミ氏。
今回の発表会ではインフルエンサーも多数来場していた。
記者的にはおなじみだが、インフルエンサーは製品の内部を見る機会は少ないだろう。
三島・細川・上野氏によるフォトセッション。

 なお、今回のイベントではLegionの公式アンバサダーである動画配信・俳優・モデルのスタンミ氏も登場。参加インフルエンサーとのゲームステージや、インフルエンサーでは普段見ることのない「LEGIONノートパソコンの中身の解説」も行われた。

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