ボカロP・picco&タケノコ少年が海外遠征を通じて感じた“サブカル音楽の地政学” トレンドを輸出する『ACC』の意義とは

ボカロPが感じた“サブカル音楽の地政学”

出演を通じて、ふたりの“レアな共演”も

——三日目の最後には、2人がステージから飛び出してフロアに降りる瞬間もありましたね。あれは急きょ決まったんですよね?

picco:3日目も今まで通り、タケノコさんがDJをして、それから私がDJをする予定だったんです。でも2日目の夜に、「2人で出てるのに“2人で出てる感”がなさすぎるな」と思ったんですよね。

 DJイベントって、DJでつないだまま入れ替わったり、2人が同じ場にいて交代することがメジャーじゃないですか。でも今回はMCの方が出てきて交代する、という形だったので、ちょっと寂しいなあと思って。なので、2人で出れる曲を探して、一緒に出てみました。すごい良かったですよね。

タケノコ少年:いやあ、あれは良かったですね。

――タケノコ少年さんの熱の入ったパフォーマンスと、piccoさんの“アゲる選曲”を意識したDJとの相乗効果で大盛り上がりでしたね。ステージの前後ではグッズやCDの即売もおこないましたが、手応えは感じましたか?

タケノコ少年:僕、行く前は「本当に即売会に人が来るのだろうか?」くらいに思っていたんです(笑)。けど、特に2日目とかはステージが終わった後に、「ステージすごかった」って言って来てくれる人が多かったのでびっくりしました。今回、ギターピックとCDはそれなりの数を持って行ったんですけど、最終的に全部売り切れてくれたのでよかったです。

picco:自分のイメージでは、海外の物販は結構売れる印象があったんですけど、今回は事前情報で「物価の問題で売れにくいかもしれない」と聞いていて。でも思ったより皆さん手に取ってくださって、驚きましたね。

――パフォーマンスを見たことで「これは買うしかない」と思わせるような、そんな雰囲気もありました。即売会でファンの方と交流をして、どんなお話をされましたか?

タケノコ少年:印象的だったのが、ボカロPをやっている人でもともと僕のことを知ってくれている方が来てくれて。その方が「あなたは私のアイドルです」と言ってくれたんです。そうやって言ってくれる人がいるんだなあと思って、すごくびっくりしました。あとは「『プロセカ』に入っている曲はCDに収録されているか」と聞いてくれる人も結構いたので、そういうところからも知ってもらえているんだなと、改めて実感できましたね。

picco:私は、もともと自分のSpotifyリスナーの中でトップ5に入るくらいジャカルタの方が多いというのは知っていたんですけど、予想外に「あ、この曲が好きなんだ!」みたいな方もいて、再生数の多い楽曲だけではなく、まんべんなく聴いてくれている方も多いなと思いました。

――逆に、今回海外に行くにあたって、「このグッズを作っておけばよかったな」という反省点はありましたか?

タケノコ少年:今回僕はピックとステッカー、CDを2種類持っていったんですが、アクキーとか人形とか、手軽に身につけられるものを持っていったら良かったなとはすごく思いました。

picco:私は事前に海外出演が多い先輩に、どういうグッズが売れやすいか聞いていたんです。一番売れるのはポスターらしいんですけど、結局作らなかったんですよね。でも代わりに持って行ったクリアファイルがすごく人気だったので、ポスターも持っていったら好評だったんじゃないかと思います。

 あと缶バッジもすごく売れた印象がありました。小さいし、今回のグッズの中でも比較的お手頃な値段だったので手に取りやすかったのかな。日本では缶バッジは“痛バッグ”を作りたい人がドカッと買うイメージだったので、1個ずつこんなに売れるんだと思いました。

――piccoさんの缶バッジは、サイズが少し大きめでしたもんね。ポスターやクリアファイル然り、サインしやすいものが人気になるんですかね。

picco:そうかもしれないですね。そういえばずっと気になっていたんですけど、タケノコさんはあの小さいピックにサインしていたんですか……?

タケノコ少年:してました(笑)。

picco:私、バッジとかアクリルキーホルダーも結構狭いなあと思いながらサイン書いたんですけど、あのピックに書けるのか……?と思って(笑)。でも書いて渡してるように見えるしな、と気になって仕方が無くって。

タケノコ少年:ふだんは小さいタケノコと、自分の名前と日付を書いて渡してるんですけど、さすがに全部は書けなかったので、小さいタケノコと日付だけにして渡してました(笑)。

picco:そうだったんだ、すごい(笑)。タケノコ入りのピックでね。

日本のイベントとは異なるファン層でも、愛は伝わる

――グッズの買い方ひとつとっても、結構違いましたね。ファンの人たちの人柄や会場の雰囲気について、日本との違いを感じる瞬間はありましたか?

picco:会場が明るかったのもあると思うんですけど、ペンライトを使っている人は少ないんだなと思いました。ニコニコ超会議とか、日本のこういう大きなイベントでは結構ペンライトが主流なので意外でしたね。あとは、お客さんが直接愛情を伝えようとしてくれてる感じはすごくありました。

タケノコ少年:そうですね。独特な言い回しで愛情を伝えてくれる人が結構いました。僕、「あなたの曲は『ワンピース』に登場するニカという笑いの神のようです」って言われて、なぜかニカのカードと一緒に写真を撮ったりもしましたし(笑)。あ、それこそ写真を撮る人も日本と比べて多かったかもしれません。インスタ文化なのか分からないですけど、一緒に写真を撮って、「インスタのアカウント教えて!」って言ってくる人は多かったです。

picco:たしかに、めちゃくちゃインスタ文化でしたよね。

タケノコ少年:なので、インドネシアに行って初めて「インスタをちゃんと動かした方がいいのかも」と思いました。

『ACC』という取り組みがクリエイターにもたらすもの

――今回の『AFA』出演は、ドワンゴさんがやられている『Asia Creators Cross』を通じての海外遠征でしたが、実際に今回参加してみて、この取り組みへどんな印象を抱きましたか?

タケノコ少年:前に海外へ行ったときは、移動や宿泊地もほとんど自分で手配して会場までの移動も自分でという感じだったんです。けど、今回はドワンゴの方々がアテンドに付いてくれて、ほぼお任せだったのですごく不安が少なかったですし、とにかく手厚くてありがたいなと思いました。

picco:私は海外に行くときは、性別的にも国によっては一人でタクシーに乗ることも難しい場合があるので、招待してくださった方がずっとついてきてくれるのかがマストの条件になってきてしまうんです。英語もしゃべれないですし。でも今回はパフォーマンス以外の心配事は何もない状態だったのですごく良かったですね。

 あと、帯同するスタッフのみなさんがいらっしゃることで、写真や映像などの記録を残してもらえるのもありがたかったです。いつも自分ではスタッフさんを付けないことが多いのでインカメの写真しか残せないですし、ステージ中も誰かにお願いしないといけなかったりして、せっかくの遠征なのに勿体ないと思っていて。その点、今回は綺麗に記録を残してもらえてありがたかったですね。

――今回の遠征を通じて気が付いたことや、今回を経てやってみたいことなどがあれば教えてください。

タケノコ少年:今回の海外遠征はとても楽しかったので、もっといろんな国に行ってみたいと思うようになりましたね。もっと大きいステージでもやってみたいです。あとはインスタをちゃんと動かして、海外にも向けて発信していけたらと思っています。

picco:私も同じく、楽しい旅だったので、いろんな国に行ってみたいですね。今回、グッズやインスタなど、海外展開やDJ活動のために頑張ってきた部分が報われたなと感じたので、今後も継続してやっていきたいです。

――ありがとうございます。今後、『Asia Creators Cross』の取り組みを通じて、piccoさんやタケノコさんのようにさまざまなクリエイターが世界に音楽を届けていくと思います。楽しみなことや、こんなことが起きたらいいなといった期待していることがあれば教えてください。

タケノコ少年:たとえば遠征に行った先で、現地のクリエイターと近い距離で話をしたり交流したりして、それによって現地のCMであったり、アイドルへの楽曲提供であったり、日本にいるだけでは中々できないであろう仕事につながったりするようになれば面白いなと思います。今回出演させてもらったステージでも、別の時間帯には現地のバンドや現地のVTuberが出演していたので、そういうところの繋がりからいろんなことに広がっていったら面白いなと思います。

picco:今回は『AFA』のいちステージを2人で1時間弱いただく形だったんですけど、その規模がどんどん大きくなったらうれしいですね。たとえば今回は2人でしたけど、それが10人くらいになるとか、そもそもステージが大きくなるとか。単独でイベントをしたり、それがツアーになったり、そういうこともしてみたいですよね。ライブハウスを借りて現地で『ボカクラ』をやるとかも面白いと思いますし、そういうイベントのブッキングもやってみたいです。『ACC』を通じて、ボカロPの海外進出をどんどん大きなものにしていけたらいいですね。


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人気ボカロP・picco&タケノコ少年が『AFA2025』に出演!! #ボカコレ #VOCALOID #AsiaCreatorsCross #animefestivalasia #afa
ボカロP・picco&タケノコ少年が『AFA2025』に参加 即売会の様子をお届け #ボカコレ #VOCALOID #AsiaCreatorsCross #animefestivalasia #afa

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『The VOCALOID Collection ~2025 Summer~』

2025年8月22日(金)〜8月25日(月)開催決定!

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