新情報目白押しの『マリオカート ワールド』 “レースゲームからの脱却”がひろげる、シリーズの新たな可能性

『マリオカート ワールド』 がひろげる新たな可能性

 任天堂は4月17日、『マリオカート ワールド』の最新情報を届ける番組『マリオカート ワールド Direct』を配信した。

 任天堂のファーストパーティーによるローンチタイトルとして、さらには、大成功をおさめている前作『マリオカート8 デラックス』の続編として、大きな注目を集めている『マリオカート ワールド』。本稿では、『マリオカート ワールド Direct』で公表された新情報から、同タイトルの可能性を考えていく。

24人対戦、オープンワールドシステムを盛り込んだ「マリオカート」最新作

マリオカート ワールド [Nintendo Direct | Nintendo Switch 2]

 『マリオカート ワールド』は、任天堂が開発/発売を手掛けるレースゲーム「マリオカート」の最新作だ。プレイヤーは、レーシングカートに乗る「スーパーマリオ」シリーズでおなじみのキャラクターのなかから、お気に入りの1体を選択し、おなじく同シリーズの世界をモチーフにしたさまざまなコースを、誰よりも早く走破することを目指していく。コース上には、「ダッシュボード」や「ジャンプ台」といったさまざまなギミックと、「スーパースター」や「ダッシュキノコ」「こうら」など、便利な道具をランダムに手に入れられる「アイテムボックス」が設置されている。技術や知識だけでなく、運も勝敗へと影響する点が、シリーズ独自の面白さであると言える。

 同タイトルは、4月2日配信の『Nintendo Direct: Nintendo Switch 2 - 2025.4.2』のなかで、その存在が明かされた。「マリオカート」から新作が登場するのは、2020年の『マリオカート ライブ ホームサーキット』の発売以来、約4年半ぶりのこと。今作ではシリーズではじめて、オープンワールドのシステムや時間/天候が変動する仕組みを採用したという。また、ナンバリング前作『マリオカート8 デラックス』で最大8人だった同時対戦人数は、24人へと大幅に増加。仲間同士なら、よりパーティーゲームとして楽しめる仕様となった。

 『マリオカート ワールド』は、Nintendo Switch 2のローンチと同日の2025年6月5日発売予定。対応プラットフォームはNintendo Switch 2のみで、価格は、ダウンロード版が税込み8,980円、パッケージ版が税込み9,980円となっている。

目白押しとなった新情報。話題をほしいままにした“あの新キャラクター”

マリオカート ワールド Direct

 約15分の長さとなった今回の配信では、『Nintendo Direct: Nintendo Switch 2 - 2025.4.2』ではまだ隠されていた情報が次々と明らかとなった。「マリオブラザーズサーキット」「ソルティータウン」「おばけシネマ」といった5種類の新コース、「ゴールデンこうら」「ハンマー」「カメック」といった新アイテムなどはその一例だ。そのすべてが「スーパーマリオ」の世界観と任天堂らしい遊び心を具現化するものであった。盛りだくさんの内容に胸をときめかせたファンも多かったのではないか。

 このように目白押しとなった新情報のなかで、とりわけ界隈の注目を集めていたのが、新たに参戦するプレイアブルキャラクターたちだ。配信では、マリオやルイージ、ピーチ、クッパといったおなじみの面々にくわえ、クリボー、ガボン、ウシなどの新メンバーが紹介に。うち、クリボー、ガボンなどについては、タイトルの文脈からある程度想定できる顔ぶれだったが、一方のウシについては、キャラクターとして過去作に登場してこそいるものの、ファンの想像を超える人選(?)だったと言える。同キャラクターの登場は、『Nintendo Direct: Nintendo Switch 2 - 2025.4.2』時点から示唆されていたが、公式から明確にアナウンスがあったことで界隈は大いに沸いた。リリース直後には、オンライン対戦の場において、たくさんのウシたちがコースを走行する画を見られるのかもしれない。

レースゲームにこだわらない遊び方が進化のテーマか

 「マリオカート」を含むレースゲームは、わかりやすいゲーム性を持つジャンルだと言える。たとえば、シリーズにおける定番かつ王道のモードである「グランプリ」は、参加者のなかでもっとも早くゴールに辿り着くことが目的だ。一方、『マリオカート ワールド』には、オープンワールドの世界を隅から隅まで自由に走行できる「フリーラン」という新モードが追加されている。「グランプリ」と比較するならば、こちらは「明確な目的がなく、楽しみ方をプレイヤーが見つける」という、現代的で年齢や性別を問わない遊び方となっている。

 こうした「マリオカート」の進化は、ゲームカルチャーの現在地や、Nintendo Switchのユーザー層を考慮してのものだろう。かつて「男子の趣味」というイメージが強かったゲームはいまや、それ以外の層をも熱中させるレジャーとなりつつある。レースゲームというジャンルに分類されながら、幅広いユーザーに愛されてきた歴史を持つ同シリーズは、『マリオカート ワールド』に盛り込まれた新要素によって、より誰もが楽しめる作品となっていくのではないか。

 そのような観点に立つと、今回紹介された“ある要素”にも一貫性が見えてくる。その要素とは、世界各地に存在するファーストフード店風のショップ「ヨッシーズ」だ。同店舗では、「ダッシュフード」と呼ばれる食べ物のようなアイテムがテイクアウトでき、食べることでその料理にちなんだコスチュームに着替えられるという。配信内では、寿司を食べて着物姿へと変わるピーチの様子も紹介された。

 また、一度でも着替えたことのある衣装はコレクションされ、キャラクター選択時にはいつでもスキンとして選べるようになるという。このような性質こそまさに、新しいゲームの遊び方の概念を取り入れた最たる例と言えるのではないか。

 説明を聞くかぎり、「ヨッシーズ」で手に入れられる「ダッシュフード」は、店舗によって異なるよう。「フリーラン」は、お気に入りのスキンを集める目的でも遊ばれるモードとなりそうだ。

 さらに、配信の終盤では、写真の撮影と加工ができる新機能、「フリーラン」モード上で現実のようにフレンドと待ち合わせられる仕様も紹介された。これらもまた、「マリオカート」の新しい遊び方とは地続きの要素であると考えられる。おそらく少なくないプレイヤーが、「お気に入りの衣装を集める」「集めた衣装を着てフレンドと待ち合わせし、フォトジェニックなスポットで写真撮影をする」「撮影した写真を加工し、SNSへと投稿する」など、レースゲームが本来持つゲーム性とはかけ離れた楽しみ方で、『マリオカート ワールド』の世界に熱中していくに違いない。

 ナンバリング前作『マリオカート8 デラックス』は、全世界で6,735万本を売り上げている(2024年12月末時点)。この数字は、Nintendo Switchで発売されたソフトのなかで最大のものである。シリーズ最新作の『マリオカート ワールド』にも、これと同等、またはそれ以上の成功が求められていくだろう。

 同タイトルは、ジャンルレスな魅力で「マリオカート」の新たな可能性を示すことができるだろうか。その確率はかなり高いと言えそうだ。

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