リアルタイムバトル実装の『ポケモンレジェンズ Z-A』 新情報に見る“RPGらしさ”は無二の個性となるか

2月27日、「ポケットモンスター」シリーズの新作情報番組『Pokémon Presents 2025.2.27』が配信となった。
発表が目白押しとなるなか、とりわけ話題を呼んだのが、『Pokémon LEGENDS Z-A』(以下、『ポケモンレジェンズ Z-A』)の新情報だ。2025年屈指の期待作として、「ポケットモンスター」シリーズのコアなファンのみにとどまらず、広く注目を集めている同タイトル。本稿では、今回の発表から見えてきた『ポケモンレジェンズ Z-A』の現在地を、距離の近いゲーム作品との比較から考えていく。
“メガシンカ”が数作ぶりに復活&シリーズ初のバトルシステムに注目
『ポケモンレジェンズ Z-A』は、2022年1月発売の『Pokémon LEGENDS アルセウス』(以下、『ポケモンレジェンズ アルセウス』)を初作とするスピンオフ「レジェンズ」シリーズの第2作にあたるタイトルだ。舞台となっているのは、『ポケットモンスター X・Y』に登場したカロス地方のミアレシティ。人とポケモンの共存を目指した都市再開発計画が進むこの街を旅行で訪れた主人公は、そこで出会う仲間たちとともに、巻き起こるさまざまな出来事や事件へと直面していく。
今回の発表では、「これまで2025年内とされていた発売時期が2025年の秋に決定したこと」「パートナーとして物語のはじめに選択できるポケモン(いわゆる御三家)が『チコリータ』『ポカブ』『ワニノコ』で構成されること」「ポケモンとトレーナーがリアルタイムで行動するシリーズ初のバトルシステムを取り入れていること」「『ポケットモンスター ソード・シールド』以来、数作ぶりにメガシンカが復活すること」などが新たに明かされた。『ポケモンレジェンズ Z-A』と同様にシリーズの新たな挑戦を盛り込んだ前作『ポケモンレジェンズ アルセウス』は、リリース直後から好評を博し、全世界で1,500万本ほどを売り上げている(2023年3月末時点)。その続編として存在が明らかとなった当初から期待を寄せられている同タイトル。待望の情報解禁には、多くのファンが胸を熱くさせたはずだ。
『ポケモンレジェンズ Z-A』は2025年秋に発売予定。対応プラットフォームはNintendo Switchで、価格は現時点で未定となっている。
前作&『パルワールド』との比較から考える『ポケモンレジェンズ Z-A』の現在地
先にも述べたとおり、『ポケモンレジェンズ アルセウス』は、本家シリーズ以上に挑戦的な要素を盛り込んだスピンオフとして知られている。同作には、疑似オープンワールドのような広大なフィールド、シームレスなシーン移行、シンボルエンカウントといったシステムが採用され、ナンバリングとは異なる体験をプレイヤーに提供していた。一部には、こうした住み分けや、『ポケモンレジェンズ アルセウス』がシリーズ初作であることに起因すると見られる“詰めの甘さ”や“不完全さ”に批判の声もあったが、この点は「レジェンズ」独自のゲーム性を追求するという攻めの姿勢の結果であるとも言えるだろう。
続編となる『ポケモンレジェンズ Z-A』にも、そのような精神性は受け継がれているものと推測する。その端緒と考えられるのが、今回新たに発表となったリアルタイムバトルシステムについてだ。同タイトルには、従来のようにポケモンが1ターンに1回ずつ行動するものではなく、トレーナーとともに自由に画面上を移動しながら、プレイヤーの指示に応じて、好きなタイミングで技を繰り出していくシステムが採用されている。また、それぞれの技には、個別に届く距離や範囲、発生するまでのスピードが設定されているため、位置取りや発動するタイミングも重要になるという。
「ポケットモンスター」シリーズはもともと、昔ながらのJRPGにインスパイアされたコマンドバトルをひとつの特徴としている。少なくとも現在のように支持を拡大する以前は、そうしたシステムに裏付けられた遊びやすさによって、多くのファンを獲得してきた面がある。その観点に立つと、よりアクション性、戦略性に富んだリアルタイムバトルシステムの採用はある意味で、“本家シリーズとの決別”を表しているのではないか。その一方で、第2作のリリースを迎える「レジェンズ」シリーズが、初作からのチャレンジ精神を受け継ぎ、独自の道を歩みはじめることは、いわばスピンオフとしての既定路線であるとも言える。

私は過去に執筆した『ポケモンレジェンズ Z-A』に関する記事のなかで、「『ポケモンレジェンズ アルセウス』に盛り込まれたオープンワールドの仕組みが、第2作でどのように進化していくのかが注目点になる」と述べた。「(『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』に同様のシステムが実装されたこともあり、)前作の発売時以上に、クオリティに対するファンからのシビアな目線が向けられるのではないか」というものだ。また、おなじ記事のなかで、「『ポケットモンスター』シリーズと類似する性質を持つ後発のオープンワールドタイトル『パルワールド』と比較する議論も白熱する可能性がある」との推論も立てている。
今回『ポケモンレジェンズ Z-A』に関する、より詳しい情報が発表となったことで、一連の仮説に対する答えもおぼろげながら見えてきた。前者に関しては、実際のゲームプレイを通じてでなければ把握できない部分も多くあるが、少なくとも「オープンワールドのシステムを前作から踏襲すること」「おそらく前作以上の形で、その世界を実現しているであろうこと」が明らかとなりつつある。一方、後者に関しては、新たに採用されるリアルタイムバトルシステムを前面に押し出すことで、“RPGらしさ”が増し、『パルワールド』のゲーム性とは明確に区別が可能となった。
無論、特にデザイン面においては、ファンにとって納得のいく結論が出るかはさておき、今後も議論が続いていくのだろう。しかしながら、シリーズの進みたい方向が見えつつあることで、両者のゲーム性に関する議論は一定の落ち着きを見せていくのではないだろうか。

オープンワールドやアクションといった分野からの影響こそ感じさせるものの、「レジェンズ」シリーズもまたRPGであるのだ。おそらく今後は、RPGらしさを根幹に据えたうえで、その存在感を示していくのだろう。『Pokémon Presents 2025.2.27』における『ポケモンレジェンズ Z-A』の新情報には、「ポケットモンスター」シリーズのRPGとしての矜持のようなものを感じさせられた。























