曲者揃いの『R-1グランプリ2025』　YouTubeチャンネルから紐解く優勝候補たちの武器

友田オレ

　誰もが共感できるあるあるの精度の高さと、いつまでも聴いていられる心地よい歌唱力と味のあるイラストが魅力の友田オレ。TBS『ラヴィット』でも披露された歌ネタ『どうにかできたはず』は、披露直後にXのトレンドを席巻。その独特なメロディと「三重県津市生まれ元横綱・双羽黒、ちゃんこ鍋の味付け巡り親方と喧嘩して引退、どうにかできたはず」など、切なさと面白さを同居させたワードセンスは、いまだに多くの視聴者の脳髄にこびりついている。

　そんな彼のYouTubeチャンネル「友田オレ」は中毒性の高いネタが数多くアップされている。とくに衝撃を受けたのが「私の彼は左きき」だ。「彼」の珍妙な行動をご存知、名曲『私の彼は左きき』に合わせて歌うネタなのだが、「近所の盛り塩ならすのも」「オカピのトドメを刺すときも」など角度が鋭角すぎるネタも、友田オレの歌唱力によって笑いが増幅されていく。ほかの誰がこのネタをやっても友田オレ以上にウケることはないだろう。それくらい声と曲が異常にマッチしているのだ。もはや自分のなかでこの曲は友田オレが原曲になってしまった。

　またネタに匹敵するほど強烈な企画も魅力で「クイズどっちのnoteが高いでしょう」はその最たる例だろう。その名の通り、メディアプラットフォーム「note」に投稿されている有料記事、例えば「noteで稼げない人必見 note販売で稼ぐたった5つの極意」と「保育士がヤバい園を暴露します」を2つ並べてどちらの記事の値段が高いかを当てる斬新なクイズだ。「有料記事の値段」に目をつける着眼点と、全員がうっすら思っている「値段設定どうなってんだよ」という疑問を解決する素晴らしい企画だった。今大会でも友田オレの中毒になる人が続出することだろう。

マツモトクラブ

　今大会を含め、計7回もR-1グランプリの決勝に進出しているR-1の申し子・マツモトクラブ。劇団シェイクスピア・シアターで13年間役者として活躍した経歴を持ち、圧倒的な演技力を誇るマツモトクラブにしか許されない演劇風のコントは、たった5分のコントで笑いだけでなく、切なさ、悲しみ、幸せ、様々な感情にさせられてしまう。事前に録音した音声や音楽との掛け合いは、ピンとは思えないほどの臨場感と奥行きがある。

　YouTubeチャンネル「マツモトクラブ Official YouTube Channel」では、そんな彼のコントが数多くアップされている。特に衝撃を受けたのはベストネタDVD『ヒトミシリ want you!』に収録もされている「美容室」だ。

　幼いころから通っていた床屋が閉店してしまい、生まれて初めて都会の美容室に来たひとりの男の物語。「袖のついている謎の布」「雑誌を読んでいるのに会話してくるチャラい美容師」「異様に高すぎるカット代」など誰もが感じたことのある美容室あるあるに違和感を覚えながらも、ただただ言いなりになるしかない男の哀愁がたまらない名作だ。今大会でも我々の感情をガンガン揺さぶってくれることだろう。

　個人的に史上最高の大会になると予想している『R-1グランプリ2025』。この4人のなかにチャンピオンはいるのか、期待して放送に臨みたい。