曲者揃いの『R-1グランプリ2025』　YouTubeチャンネルから紐解く優勝候補たちの武器

　ピン芸人No.1を決める大会『R-1グランプリ2025』の決勝戦が3月8日に放送される。

　今回のファイナリストは、『R-1グランプリ2023』王者の田津原理音、『第4回女芸人No.1決定戦 THE W』王者の吉住、R-1ファイナリスト常連のルシファー吉岡、マツモトクラブ、『M-1グランプリ2022』準優勝のさや香・新山、『第44回ABCお笑いグランプリ』ファイナリストの友田オレ、『ザ・細かすぎて伝わらないモノマネ2023夏』ハギノリザードマン、ユニット「今夜も星が綺麗」として『M-1グランプリ2024』準決勝進出したヒロ・オクムラ、近年は大阪だけでなく全国で大ブレイクを果たしているチャンス大城など強者揃い。

　今回はファイナリストのYouTubeでの活動からとくに注目したい4人を紹介し、その魅力を紐解いていきたい。

さや香・新山

　コンビで漫才のイメージが強いさや香・新山。数多の劇場出番で鍛えられた淀みないべしゃりと説得力で暴論をおもしろに変えてしまうその手腕はまさに“天才”と言っても過言ではない。個人のYouTubeチャンネル『さや香新山の夢の泉』ではそんな新山の“すべて”を知ることができる。

　ここでしか見ることできないコンテンツはなんといっても「ネタ解説」だ。『免許返納』『ホームステイ』『からあげ4』『見せ算』など、さや香の代表的なネタを、作り方からウケる過程まで、そのすべてを公開しているのだ。まさに自分のネタに絶対の自信がなければ出来ない所業。このストイックさこそ新山の魅力。そのほかにも「見たことない奴の想像の地面師」「さや香新山一人のツイスターゲーム」など、どこまでも愚直にお笑いを追求する姿勢は尊敬に値する。

　それと同時に、新山と親しい芸人仲間（フースーヤ・田中ショータイム、滝音・サスケ、カベポスター・永見、ダブルヒガシ・大東）などとの自然体なやりとりも魅力的だ。漫才中の真剣な姿とは真逆の、まるで男子校の休み時間のようなカジュアルな姿と、新山の意外な天然ぶりにやられているファンが続出している。

　賢さ、真面目さ、かわいさ、お笑いに必要なすべてを兼ね備えている天才・新山。ピンネタでも最高に面白いことを全国にしてくれることだろう。

吉住

　狂気的なネタ設定と演技力で、ネタ披露のたびにお茶の間に衝撃を与えている吉住。彼女のYouTubeチャンネル『吉住official channel』では、打って変わって彼女の“素”の部分を垣間見ることができる。このチャンネルは更新頻度こそ決して高くはないが、更新された途端にすぐ見に行くほどの魅力にあふれている。

　たとえば2年前に更新された、真空ジェシカのガクをゲストに迎えてトークをする回。『キングオブコント2022』にて、事務所の先輩である岡野陽一とのユニット「最高の人間」としてファイナリストに進出した際の悩みや葛藤をありのままに語っていた。笑いの怪物と化してるネタ中の“吉住”とはまるで違うひとりの人間としての吉住の魅力を感じることができる貴重な動画だった。

　今大会でもネタ中の狂った姿と、ネタ後の謙虚な姿とのギャップにやられてしまうことだろう。