接続した『VRChat』とVTuberの世界 3人の識者が振り返る、2024年のバーチャル業界(後編)
VRで“目の前にいる10人”と、陽の目が当たる場所へ
たまごまご:それでいうと『VRChat』で「何者かになりたい」気持ちが強くなるのには、もう一つ理由があって。人前で何かをやることが結構手軽で、かつダイレクトに感想をもらえるからだと思うんですよね。YouTubeやTwitchで人に見てもらうことは難しいですが、人に直接見てもらえるという点で、『VRChat』や『cluster』で“何かをしたとき”の満足感って、すごく大きいと思うんです。数字として1000人に見られることが示されるより、目の前に10人並んで見てくれた方が、満足できるというか。
だから、配信に人が来なくて悲しいと思ってる個人勢VTuberは、『VRChat』や『cluster』で何かしら企画やイベントを立ててみたらいいと思うんです。ファンの存在感とやってきたことへの反応を直接感じられて、モチベーションが上がると思います。
――『VRChat』と『cluster』でDJとしても活動されているたまごまごさんが言うと、説得力が違いますね。
たまごまご:『VRChat』はひとつのワールドに最大80人までしか入れないので、YouTubeで配信している人からしたら物足りないかもしれません。だとしても、個人の感覚としてはVRでDJをしている時の満足度は高いですね。かなり前に僕がブログを趣味で毎日更新していた時期、毎日何万人もの人が読んでくれて、確かにうれしかったです。けれども、10人の目の前でDJパフォーマンスをして反応をもらうことでとても満足できているのは、VRならではだと思います。
――直接のリアクションがあるというのは、アバターを介したコミュニケーションが存在するメタバースならではですね。
たまごまご:最後に、僕からもう一つの予測として、「BOOTH」の売上がさらに上がるのではないかと思います。『VRChat』を遊ぶ人が増え、いろんなアバターや衣装などのアセットが売れている現状が、加速し続けていくと思われます。特に衣装なんて、何着でも買うじゃないですか。
そして、この加速した状態でVTuberが『VRChat』に来たら、VTuberたちが使っているアセットを買いたいと思う人は増えるはずですし、いい宣伝になるはずです。
3Dクリエイターや個人VTuber、個人で『VRChat』で音楽をやっている人などは、企業勢のVTuberと比べれば、陽の目が当たるようになるのはとても難しいです。けれども、そんな人たちにも全体的に日が差す可能性がだいぶ見えてきたな、と感じています。にじさんじやホロライブのように大きく伸びている企業側がVTuberシーンをさらに開拓して、スタンミさんたちのようなストリーマーさんたちの効果で『VRChat』が盛り上がっていくことで、多くのクリエイターに光が当たりやすくなるんじゃないかなっていう期待を込めて、来年の予想とします!