連載「#bienoZ世代インサイト」第5回
「マルハラ」「おじさん構文」も話題 Z世代に聞く“年上世代が使う絵文字・記号”の捉え方
最近“マルハラ”という言葉がニュースで取り上げられているように、若者と大人のSNSでのやり取りのすれ違いに世間の関心が集まっている。「。」で終わると威圧感を感じるらしいが、とはいえ絵文字を使うのもよくないとも聞く。だとするとコミュニケーションにおいては何が正解で、若者は、上の世代とメッセージのやり取りをするとき、どのような気遣いを求めているのだろうか?
今回は、『Mr.&Miss Chuo Contest 2024』に出場したオジンソルさんと、櫻井美咲子さん。そして、Z世代をターゲットにしたブランディング・マーケティング支援を行う株式会社bieno(以下、bieno)の代表取締役・奥原ゆきの氏に“Z世代とSNSメッセージ”に関する話を聞いた。なお、今回の取材はbienoが実施した「Z世代の様々な絵文字や記号に対する捉え方」の結果をベースに進行する。(編集部)
どのようなときに“マルハラ”を感じる?
ーーまずは、オさんと櫻井さんの自己紹介をお願いします。
オ:『Mr.&Miss Chuo Contest 2024』エントリーNo.2、韓国出身のオジンソルです。国際経営学部、国際経営学科に通っている2年生です。マーケティングの分野に興味があり、広告系のゼミに入っています。
櫻井美咲子(以下、櫻井):同じく『Mr.&Miss Chuo Contest 2024』に出場しておりますエントリーNo.4の櫻井美咲子と申します。オジンソルちゃんと同じく、国際経営学部の国際経営学科に通っております。学年は、3年です。実は、(奥原)ゆきのさんにすごく憧れていて……。
奥原ゆきの(以下、奥原):えっ、本当に?
櫻井:はい。それで、ミスコンに応募したんですよ。なので、今日お会いできてすごく嬉しいです。将来は、ゆきのさんのように会社経営ができたらいいなと思っているので、経済心理学っていう心理学をもとに行動の心理を探究するゼミに入っています。
ーー“マルハラ”という言葉が誕生してから、「どういうメッセージならいいのか?」と、上の世代の方々はかなり悩んでいると思うんですけど、おふたりはそもそも絵文字って使われますか?
櫻井:相手によりますね。
オ:わたしも、家族や友人には使いますが、目上の人や仕事関係の人には使わないです。
ーーLINEでは使う、Instagramでは使わない、とかプラットフォームで分けているというよりは、相手によって使い分けているんですね。
櫻井:そうですね。わたしは、300人くらいいるサークルの運営をしているんですけど、そこではめちゃくちゃ使います。
ーーそもそもで絵文字やスタンプをあまり使わないタイプですか?
櫻井:使わないです。でも、どうしても「〇〇してほしい」とか、「〇〇しないでください」とか、上から言わなければならないことがあるので、絵文字を使わないと怖くなっちゃうなって。あえて、使っている感じです。
ーーでも、絵文字によっては「ん?」と思うものもあるってことですよね。
櫻井:そうですね。絵文字を使うことに対してというよりは、特定の絵文字がきたときに、「ん?」となったりはします。同世代の子たちの間では使わない絵文字とか。
ーーそれは、どういった?
櫻井:LINEのキャラクターの絵文字とかですかね。ふだんは、目にすることがないので、「おっ」となります(笑)。
オ:確かに! わたしも、母がLINEで「ダサいな」と思う絵文字を使ってくることがあるんです。世代によって、使う絵文字って違うんだなと思いました。
ーーでも、「。」で終わっているとかだと、高圧的に感じてしまうんですよね?
オ:それも、関係性によるかもしれないです。友達だったら、「仲良くないのかな?」「距離を取られちゃったのかな?」と思っちゃう。
ーー目上の人とかなら、そうは思わない?
オジンソル:目上の人だったら、丁寧だなと思います。わたし自身も、「。」は目上の人とか、バイト関係の人にしか使わないので。
櫻井:わたしも、友人との会話で「。」が出てきたらびっくりするかもです。文章にもよるけど。
ーーどういう文章なら、「。」がついていても大丈夫なんですか?
櫻井:たとえば、「〜でしょ。」だったら、「怒ってるのかな?」と思います。でも、「〜なので。」とかなら、可愛い印象になりますね。「。。」とかも、よくあるので気にならないです。
ーー“マルハラ”について、まわりの人と話したことはありますか?
櫻井:“マルハラ”という言葉を使って話し合ったことはないです。ただ、「。」を使うのはやめた方がいいよねという議論はしたことがあります。
ーーそれは、どういったときに?
櫻井:これも、サークルでのエピソードなんですけど、「〆切を守ってください。」とか、圧をかけなければならないときに「。」を使うのはいいけど、平和に進めたいときに「。」を使うと高圧的に見えるからやめようとか。
オジンソル:わたしは、“マルハラ”という言葉自体、今日初めて聞きました(笑)。
「笑」と「w」は、男女で使い分けている?
ーー「笑」と「w」、どちらを使うかとかも、わりと議題に挙がることが多いですよね。おふたりは、どのように使い分けをされていますか?
オ:「w」は、本当に面白いとき。女の子とのやり取りは、「w」を連発しているかもしれないです。「www」とか。「笑」は、微笑みというか。ちょっと優しいイメージのときに使います。
櫻井:わたしも、男女で使い分けています。というのも、高校生のときに雑誌で「男子はwを使われたら引く」と書いてあったのを読んでしまって。
ーーそんな刷り込みが!(笑)
櫻井:そうなんです。そこから、使い分けるようになりました。笑いの度合いというよりは、男女で。
ーー奥原さんは、大学生の方とコミュニケーションを取る機会が多いと思いますが、いかがですか?
奥原:世代が上の方の方が、小さいことを気にしている感じはありますね。たとえば、45歳の社員から「社長、“マルハラ”って知ってますか?」と聞かれたことがあって。わたしは、そんなに気にしていなかったので、驚きました。
ーー奥原さんも、「。」を使うことはあまりない?
奥原:だいたいは「!」ですかね。「。」をつけるときは、真剣な話をしているときとか、指示や指摘をしたあととか。ちゃんと受け取ってほしいときは、「。」で終わらせているかもです。ただ、クライアントとやり取りをしていて、「。」で返ってくると、何か意図があるのかな? と思ってしまうこともあります。
ーー意図……?
奥原:あんまり承諾してもらえてないのかな? とか。
ーーそんな風に捉えられることがあるんですね……。
奥原:「!」だと、快諾してくれてるんだと思えるけど、「。」だと何か引っかかることがあって、飲み込んでもらったのかもしれないとか気になってしまいます。
ーーなるほど……。
奥原:なので、わたしはLINEで購入できる小さい絵文字をよく使っています。スタンプで「了解」って届くと、雑に返されているような気持ちになることがあるので、「了解」というメッセージのあとに、たぬきが了解ポーズをしている絵文字をつける。そうすると、フレンドリーな感じになるかな? とか。いろいろ考えながら。