これ一台でAAAタイトルもサクサク楽しめる ノートゲーミングPC「ROG Zephyrus」シリーズ最新作を徹底レビュー

 ASUSとゲーミングPCといえば、昨年の発売以降、ポータブルゲーム機市場において確かな存在感を発揮している「ROG Ally」シリーズを思い浮かべるという方も少なくないかもしれないが、同社のゲーミングブランドである「ROG=Republic of Gamers」が始動したのは遡ること18年前の2006年。家庭用ゲーム機が主流でありつつもSteamのようなプラットフォームが広がり始めていたPCゲームの黎明期の頃から、ASUSはゲーマーを支え続けてきたのである。

 そんなROGブランドの中でも特に人気が高いのが、確かなスペックの高さを誇りながらも、薄型軽量ボディで携帯性を担保したプレミアムゲーミングノートパソコンの「ROG Zephyrus」シリーズだ。

 8月に発売されたばかりの最新モデル『ROG Zephyrus G16 GA605』では、16型のボディに次世代のAMDプロセッサとなるCPU「Ryzen™ AI 9 HX 370」と、現行のGPUの中でも特に高い性能を誇るNVIDIA®の「GeForceRTX™ 40」シリーズを搭載というハイスペックぶり。にも関わらず、最薄部は1.49cm、重量は約1.85kgという驚くべき携帯性の高さを実現しているという、まさに「プレミアム」を謳うに相応しい一品である。

 今回は同モデルを実際に試す機会ができたので、様々な角度からその実力を確かめてみたい。

49cmの極薄ボディを実現しながらも、実用性についても妥協しないこだわりのデザイン

 まずは開封してノートパソコン本体を取り出してみると、まずは金属を削り出したかのようなソリッドでスタイリッシュなデザインに魅了される。『ROG Zephyrus G16 GA605』のデザインはいわゆる「ゲーミングPCらしさ」からはある程度距離を置いたもので、七色に光るわけでもなければ、ブランドのロゴが強く主張しているわけでもない。だが、天板の隅に刻み込まれた「REPUBLIC OF GAMERS EST.2006」という言葉とROGのロゴが、その品質の高さと歴史あるブランドとしての誇りをクールに示している。

 今年の春モデルから導入された、天板を鮮やかに横切るスラッシュ型の白色LEDライト「SLASH LIGHTNING」も、良い意味で目立ちすぎることなく、ゲーミングPCらしい独特の捻りを加えていて好印象だ。「SLASH LIGHTNING」については内蔵ソフトで光り方のパターンを自分好みに変えたり、音に合わせて光らせることもできるため、自分らしい表現を模索するのもいいだろう。

 また、各種端子についても、USB Type-AとUSB Type-C端子がそれぞれ2つずつ、HDMI端子がひとつ、SDカードスロットがひとつ、ヘッドホン端子がひとつという、ゲーミングデバイスはもちろん、プレゼンテーションなどの場面でもちゃんと使えるであろう必要十分な機能が備わっている(ただし、ネットワーク端子は付いていないため、有線LANを使用する際には別途コネクタが必要)。

 近年はUSB Type-C接続のモニターもかなり浸透してきているが、必ずしもそうではない場合も珍しくはないため、個人的にはHDMI端子の搭載はかなり嬉しい部分だ。薄さを追求しつつも、実用性の面においても妥協しないというASUSのこだわりが感じられる

 外観のチェックを終えて、実際に一通りの操作をしてみると、やはりハイスペックなだけあって、ノートパソコンとしての基本的な挙動についてはすこぶる良好。Webブラウザやオフィスソフトなどは特に不自由なく軽快に動作するし、電源やスリープのオン/オフについても極めてスムーズだ(電源ボタンを押してから使用可能な状態になるまで、長くても15秒程度である)。手元いっぱいに広がるマウスパッドは資料作成などにおいても余裕のある操作感を与えてくれるし、キーボードの適度な固さとレスポンス感は非常に心地良い。本稿も実際に「ROG Zephyrus G16 GA605」を使って書いているのだが、ストレスなく快適に執筆作業を進めることができた。また、キーボードのライトについては「SLASH LIGHTNING」と同様に、光るパターンを調整することができるようになっているので、自分好みにカスタマイズしよう。

 また、キーボードといえば、本製品ならではの機能となっているのが、通常のファンクションキーの上部に用意された4つのホットキーである。デフォルトではスピーカーのボリューム調節(下げる/上げる)、マイクのオン/オフ、「ARMOURY CRATE」(ゲーミング関連のコントロールパネルソフト)の起動に割り当てられているが、普段の生活やゲームで特に頻繁に使う機能を自由に配置することができる。特にマイクのオン/オフなどは、普通の環境だと「あれ、どこだっけ?」となりがちなので、このように目立つ位置に配置することができるというのはとても便利だ。

最新AAAタイトルも余裕で動くハイスペックぶり。まさに破格のゲーミングノートPC。

 続いて、肝心のゲームの挙動周りを見てみよう。今回、レビュー用のタイトルに選んだのは、PCゲームの定番タイトルのひとつである『Apex Legends』。同作はある程度PC向けの最適化が行われているため、「ROG Zephyrus G16 GA605」のスペックであればまず問題なく動くだろうとは思っていたが、実際に試してみると大きく期待を上回る結果となった。

 デフォルトのプリセットはもちろんだが、グラフィックの各種項目をすべて最高設定(2560×1600のネイティブ解像度)にしても余裕で動作する。フレームレートに関しては、ステージの全景を描画するマッチ開始直後は80~90fps、通常時は150~160fpsを維持しており、これはハイエンドのデスクトップ環境に匹敵する数字だ。16型の有機ELディスプレイの鮮やかな発色も素晴らしく、物足りなさを一切感じさせない。正直、個人的にも「まさかノートパソコンでここまで動くとは」と驚いてしまった。

 また、上記は電源アダプターを接続した状態での挙動だが、バッテリー駆動時においても30fps固定で安定して動作することを確認できた。さすがにAAAタイトルをバッテリー駆動で動かしたいという場面は少ないと思われるが、『Apex Legends』がこれくらい動くのであれば、動作の軽いインディーズゲームなどであればバッテリー駆動でも十分に楽しめることが期待できる。

 また、『Apex Legends』が余裕で動くのであれば、もっとスペックを要求する大作でも動くのではないかと思い、もっと負担の大きなタイトルである『Starfield』にも挑戦してみると、なんと見事に遊べてしまった。描画するものが多く、特に動作が重いマップであるニューアトランティスでもフレームレートが50fps付近を維持しており、並のゲーミングデスクトップPCよりも優れたパフォーマンスを発揮している(グラフィックのプリセットは「高」。「中」であれば平均60~70fps)。『Starfield』がこれくらい動くのであれば、現在発売されているほとんどのタイトルは問題なく動作するといっても過言ではないだろう。何度も書いているが、この薄型軽量ボディでここまでのパフォーマンスを発揮しているというのは、まさに破格だ。

 ただし、排熱に関しては少し注意が必要である。ゲームの動作中は、冷却用のファンの音がそれなりに大きな音量で唸りを上げ、特に熱の溜まりやすいヒンジ付近は、あまり長くは触ることができないくらいの温度に上昇する。これで無音かつ温度が安定していればベストなのは間違いないが、そこまで甘くはない。だが、実際のパフォーマンスを踏まえると、十分な排熱が行われていることは確かだろう。

 「ROG Zephyrus G16 GA605」は、長きに渡ってPCゲームを支えてきたASUSらしい、確かな実用性を感じられる、まさにプレミアムなゲーミングノートパソコンだ。並のゲーミングデスクトップPCを凌駕するスペックとパフォーマンスを誇りながら、最薄部は1.49cm、重量は約1.85kgという携帯性の高さを実現しているのは驚異的という他ない。間違いなく、ビジネスからゲーミングまで常にハイスペックな体験を提供してくれることだろう。

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