ポルノグラフィティやいきものがかりなど手がける名プロデューサー 本間昭光に聞く「AKG」サウンドを体現した『N5 HYBRID』の魅力
創業から70年を超えるヘッドホン、イヤホンそしてマイクロホンの名門ブランド「AKG(アーカーゲー)」から完全TWS(ワイヤレスイヤホン)『N5 HYBRID』が発売された。これまで音楽エンジニアなどプロフェッショナルに愛されてきた「AKG」クオリティはそのままに、一般ユーザーでも使いやすいフォルム&機能はまさにプロ仕様の本格派だ。
そこで、リアルサウンドテックでは「ポルノグラフィティ」や「いきものがかり」などの音楽プロデューサーとして第一線で活躍している本間昭光氏に同製品を試してもらい、その音質や使用感などについて聞いてみることにした。
■実際に試したらからこそ分かる『N5 HYBRID』の実力
――本間さんはライブや制作、プロデュースなど、様々な立場で音楽に深く携わっています。今日はイヤホンに特化してお話を伺えればと思いますが、イヤホンは本間さんの活動に必要不可欠なものですか?
本間:そうですね。仕事をやっていく上でイヤホンは切っても切り離せないので、常にいろんな音楽を聴いています。スタジオでもそうですし、移動中もそうですし、オンステージでも。ものによって方向性が全然違うんですよ。
先日、「いきものがかり」のツアーが終わったばかりですが、ホールとアリーナでは全然聴こえ方が違うんです。また、海外になってくると電圧も空気も違うので「このイヤホンの評価が高いから、どこでも万能だろう」と思っても、そうはいかないんです。基本的には「この現場にはどうやったら合うだろう」とか「こういう環境だったらどういう風にすればいいか」とミュージシャンがアジャストしていく感じなんですよね。
ステージだけでなく、レコーディングでも同じようなことが言えます。昔みたいに大きなスタジオでせーので録るということは今はほとんどなくて、どちらかというとデスクトップで、インイヤーモニターで聴きながら家で作って、データを送るという作業が多い。それぞれ別のモニター環境で作業しているんですよね。だから人によっては今回使わせていただいたようなBluetoothの環境で聴く人もいるし、有線じゃないとという人もいるし、スピーカーの人もヘッドホンの人もいる。それが今の制作現場の現状です。
――最近のイヤホン事情はどうお考えですか?
本間:いま、スピーカーを使って音楽を聴くリスナーってかなり少ないですよね。どんなにスピーカーで良い音を作っても、スマホからそのままであったり、Bluetoothで聴いている人が多いと思います。でも、一度電波を通すとどうしても変わってしまうので、有線の方がいいとは思います。Bluetoothがいくら進化したところで、それは仕方がないこと。ただし、最近はそれを見越して、Bluetoothイヤホンがアプリと連動して、音質などを調整できる機能がどんどん加わってきています。それは今の世代のワイヤレスイヤホンの特徴だと思います。
――では早速、今回試していただいたAKGの『N5 HYBRID』を使った率直な感想を教えてください。
本間:Bluetoothイヤホンはどんどん進化しているので後発の方が良いのですが、これもすごく優秀な製品だなと感じました。
歴史的に言うと、低音というのは機材が大きければ出るという認識をみんな持っていたんです。鳴らすスピーカーも大きい方がいいし、音を録るマイクも大きい方がいい。大きければ低音は出る、録れるというのが一般論です。ピアノも一番長い弦が一番低い音を鳴らします。Neumannなどの老舗マイクメーカーのマイクはダイヤフラムもボディも大きいので、共振することでしっかりとした低音を録ってくれるというイメージがあったんです。
でもそこでAKGが出してきたのが、「414」や「451」といった、小さい、細いマイク。最初はみんな「こんなので低音が録れるわけない」と思っていたんです。でもそこに当時の最新のテクノロジーが入っていた。ボディーにスリットが入っていてそこから共鳴音を取り込んでいたり、いろんな工夫があったんです。だからこんなに小さいマイクなのに、しっかりと低音が録れる。なので、AKGは小さい製品でもしっかりと低音を出せるメーカーだというイメージがありました。
今回の『N5 HYBRID』はそんなAKGの製品ですから、ちゃんと低音も出るだろうと予想して いました。最初に『N5 HYBRID』を着けて思ったのは、装着感が良い。そして、調整しなくてもローがしっかりと出てくる。もちろん、上の部分もちゃんと出ている。最近スタジオで使っている某社のヘッドホンもそうなのですが、本体に小さい穴が空いているんです。穴から低音をうまく処理できる技術があるのではないかと思います。小さいのに、きちんと上も下も出てくるなというのが最初の印象でした。