「ダンガンロンパ」制作陣による新作『HUNDRED LINE』は“看板タイトル”となっていくのか

『HUNDRED LINE』は“看板作品”になれるのか

 トゥーキョーゲームスは6月18日、未発表の新作『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』(以下、『HUNDRED LINE』)を制作中であると明らかにした。

 6月頭には、アカツキゲームスと共同で制作したPC/モバイル向けタイトル『TRIBE NINE』の概要も発表したトゥーキョーゲームス。同作もまた、「ダンガンロンパ」シリーズからの影響を感じさせるとして、界隈から注目を集めた。

 時をほぼおなじくして発表された「ダンガンロンパ」のクリエイター陣が携わる2つの新作。本当の意味でシリーズの後継的作品となっていくのはどちらだろうか。

「ダンガンロンパ」と「極限脱出」の制作陣がタッグを組んだ新作ADV『HUNDRED LINE』

『HUNDRED LINE -最終防衛学園-』ティザーPV(Nintendo Switch™/Steam®)

 『HUNDRED LINE』は、「ダンガンロンパ」や「極限脱出」といった人気シリーズを手掛けたクリエイター陣によって制作されているアドベンチャーゲームだ。舞台となるのは、謎に満ちた学校「最終防衛学園」。「東京団地」で家族や幼なじみと穏やかな日常を過ごしていた主人公の澄野拓海は、「SIREI」と名乗る謎の生物によって同校への転校を余儀なくされる。与えられた目的は、迫りくる敵「侵校生(しんこうせい)」から学園を守り抜き、人類を救うこと。拓海と同様に集められた15人の少年・少女たちは、異能力「我駆力(がくりょく)」を駆使し、襲撃者へと立ち向かっていく。

 企画を担当しているトゥーキョーゲームスは、「ダンガンロンパ」シリーズのシナリオ/総指揮で知られる小高和剛氏が2018年に立ち上げたゲームスタジオ。これまでに『ワールズエンドクラブ』や『超探偵事件簿 レインコード』などの開発を共同で手掛けている。『HUNDRED LINE』では、「極限脱出」シリーズ、『Ever17』などの代表作で知られるシナリオライター・打越鋼太郎氏とタッグを組んだ。

 また、同タイトルには、おなじく「ダンガンロンパ」シリーズに携わったイラストレーターの小松崎類氏やしまどりる氏、コンポーザーの高田雅史氏もクレジットされている。このような背景から『HUNDRED LINE』は、シリーズの精神的続編とみなされている面もある。打越氏の“合流”がどのような化学反応を示すかに注目が集まっている現状だ。

 『HUNDRED LINE』は、2025年初頭発売予定。対応プラットフォームは、Nintendo Switch、PC(Steam)となっている。

月初には『TRIBE NINE』の概要も発表。「ダンガンロンパ」からの影響をより感じさせるのはどっち?

『トライブナイン』1st ゲームトレーラー

 トゥーキョーゲームスは6月6日にも、制作に携わる新作ゲームタイトル『TRIBE NINE』の詳細を発表している。同作は、『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』や『8月のシンデレラナイン』、『ロマンシング サガ リ・ユニバース』などの開発/運営で知られるアカツキゲームスと共同で進めるメディアミックスプロジェクトから生まれたアクションRPGだ。2022年1月にはTVアニメ作品『トライブナイン』もTOKYO MXほかで放送されている。

 『TRIBE NINE』においてプレイヤーは、デスゲームによって支配された「ネオトーキョー国」を舞台に、自由と夢を失った少年・少女たちのなかから1人を選択し、死と隣り合わせの過酷なバトルへと挑んでいく。ゲーム版の制作スタッフは2024年6月の時点で明かされていないが、アニメ版のクレジットに小松崎類氏、しまどりる氏の名前があることから、同作にも両氏が携わっていると見られる。このような背景から、同作もまた、「ダンガンロンパ」の文脈を汲むタイトルであると話題を集めた。

 『HUNDRED LINE』と『TRIBE NINE』には、ゲーム性の面においても、さまざまな類似点が存在している。「東京をモチーフにしたと見られる舞台で繰り広げられる物語であること」「現実にある言葉を適度にもじった用語が多数登場すること」「少年・少女が主人公であること」「ある種の絶望から逃れるため、異能力に目覚めた彼らが戦いの世界に身を投じていくこと」などはその一例だ。これらの要素は、「ダンガンロンパ」との共通項でもある。

 他方、異なる点としては、ジャンルが挙げられる。『TRIBE NINE』がアクションRPGに分類される一方で、『HUNDRED LINE』は「ダンガンロンパ」とおなじアドベンチャーに分類されている。その意味では、前者はシリーズの雰囲気を受け継ぎながら新機軸を打ち出す作品に、後者はよりシリーズが従来持つプレイ感に近い内容となっているのかもしれない。

 今回の発表にあわせて公開された小高氏のインタビュー記事によると、『HUNDRED LINE』は、「アドベンチャーパート」「探索パート」「シミュレーションRPGパート」という3つのセクションを繰り返しながら、攻略を進めていくゲーム性を持っているのだという。「ダンガンロンパ」との比較では、特に最後のシミュレーションRPGパートが違いを生んでいるように映る。ファンのなかには、トゥーキョーゲームスにそのノウハウがあるのかを心配してしまう人もいるかもしれないが、同部の制作には、開発にクレジットされているメディア・ビジョン(過去に「戦場のヴァルキュリア」シリーズや『サモンナイト6 失われた境界たち』といったシミュレーションRPGの開発を担当)の経験が役立っているそうだ。

 また、小高氏は同タイトルについて「これほど入れ込んで作品を作れる機会はもうないかもしれない」「人生を賭けて勝負できた」と語っている。「ダンガンロンパ」との関連性については、「シリーズとの関わりはない」とする一方で、「魂は受け継いでいる」と明言した。

 トゥーキョーゲームスから時をほぼおなじくして発表された『HUNDRED LINE』と『TRIBE NINE』。どちらもがその設定などから、クリエイター陣の携わった「ダンガンロンパ」シリーズと比較されるタイトルとなっているが、同社にとっては両作ともが“看板”に掲げることを目指して意欲的に制作されたものであることは間違いない。どちらがトゥーキョーゲームスにとって名刺代わりの1作となっていくか。リリース後の界隈の反応に注目したい。

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