ひろゆきはなぜ、再び世界の果てに“置いていかれた”のか? 東出昌大と語る“番組の裏側”
銃社会に整っていないインフラ……目標は「生きて帰ること」
――いざ行き先が決まったときのお気持ちは?
ひろゆき:正直、行くかどうかわからない感じだったんですよね。エクアドルがスタート地点だったんですけど、非常事態宣言が発令されていたので。
東出:僕は「第2弾がある」って聞いたときに、一度お断りをしたんです。でも、豊川さん(※)が行くならいいかなと思って、場所を聞いたら「北極圏か中東」って言っていて。それを聞いた時に「中東は魅力的だな。じゃあ行きます」と渋々答えました。そしたら、出発の2週間ぐらい前に「南米になりました」って言われて……。話が違うじゃんって(笑)。
(※)本番組でひろゆきと東出に帯同するディレクター。
ひろゆき:相変わらず、ひどいですね~。
東出:いざ行ってみてからも、銃社会の雰囲気を感じました。「外でタバコを吸っているときは、絶対に携帯を出すなよ」と言われましたね。「銃を突きつけられて持ってかれるから」って。
ひろゆき:そうそう。襲われそうになるかもしれないから、なにかあったら、すぐに入れるようにホテルのドアの近くにいるようにして。携帯を出さないという選択肢しかない都市もありましたね。
東出:目標が「生きて帰る」でしたから。実際、バスで道の悪いところを走っていたときに「この道、先月バスが通ったときに30人死んだんだ」とか言われたこともありましたし。
ひろゆき:道の状態が悪いままなんですよね。南米って、飛行機移動をする人が多いので、山のなかをバスで行く人が少ない。だから、舗装もしないしガードレールもないしっていうところも多々あって。「これタイヤ乗ってないんじゃね?」みたいな道をギリギリで通ったことも何度かありました。
――今回は東出さんがまず旅に出て、途中からひろゆきさんが合流するという行程だったと聞いています。
東出:それも本当にひどい話で。豊川さんが「あ、そう、今回、ひろゆきさん来ないんです」って言い出して。ひろゆきさんが来ると思っての装備だったから焦りました。
ひろゆき:でも、来るってわかってたでしょ?
東出:「いつか来るだろう」とは正直、下心で思っていました。目隠しをされてスタート地点まで移動させられたので、そこに実はいるんじゃないかなって。でも、いざ目隠しを取られたら、いらっしゃらなくて。「嘘だろ!?」って焦りましたね。だから、お会いできたときは本当に嬉しかったです。
ひろゆき:そうなんだ! そんな騙されやすいわけねえだろうと思ってましたけどね(笑)。
――先ほど、東出さんが「豊川Dが来るなら」っておっしゃっていたのが印象的でした。なぜそう思ったのでしょう?
東出:やっぱり前回の旅で育んだものがありますから。もしも、全然タイプが違う、すごい気が使えて、全部準備万端で、配慮できる方が来たら、それはそれで僕らのいままでが全部なくなっちゃうんじゃないかなと(笑)。
ひろゆき:適度に使えないというところが良かった(笑)。おかしなことをやっているときは「おかしいですよ」とは言いますけど、不満もなかったので。
東出:(笑)。豊川さんも、打てど響かないですしね。たぶんあんまり気にしてらっしゃらないんだろうな。
ひろゆき:実際、スタッフ全員まったく一緒でしたけどね。考えてみれば「ここから1ヶ月です」って言われて、スケジュールが空いていてかつ予防接種をすでに受けている人って、そんなにいないですから(笑)。予防接種を全部受け終わるのに半年ぐらいかかるのでね。
東出:たしかに! 日本中探して、その条件が合う業界人って、彼らくらいですもんね。
パリのひろゆき&山の東出 移住したふたりの“SNSとの距離感”
――前シーズンはABEMAではもちろん、SNS上で切り抜き動画が話題になっていました。周囲からの反響はありましたか?
ひろゆき:残念ながら日本に住んでいるわけでもないので、あまり変わらずでしたね。海外から「ABEMA」を見れないんですよ。
東出:僕もなにも変化なしですね。近所に住んでいるおじいちゃんおばあちゃんに「なんでこの前いなかったんだ?」って言われてました。だから、「テレビの企画でアフリカに行ってたんです」って言ったんですが、みんな分からなさそうな顔をしましたね。
――なるほど(笑)。SNS上での声は届いていましたか?
ひろゆき:動画のコメントは見ていますよ。東出さんに対しての印象が、だいぶ現実寄りになったなと思いました。すぐに殺して食うとか、タバコの葉っぱを巻くのが異常にうまいとか……。
東出:僕、紙の巻きたばこを吸ってた時期があったのですが、それと原理が一緒だっただけなんですけどね。
――おふたりとも良い意味でSNSに惑わされすぎることなく、ほどよい距離感を取られているんですね。その程よい距離感を取るために意識していることはありますか?
ひろゆき:僕、なにを見ても気にならないんですよね。僕に関しての記事やコメントを見ても「この人はこう考えて書くんですね、ふうん」ってくらい。明らかに嘘な場合は「本当はこうだよ」って言うこともあるんですけど、あんまり気にならないです。
東出:ひろゆきさんは、たぶんもともとのリテラシーがしっかりしてらっしゃるんですよ。ただ、僕は生まれたときや、物心がついたときからSNSがあることが“当たり前”になっちゃっている世代は、大変だろうなと感じています。「いいね」とか、再生回数とか、可視化できる情報が価値判断基準になっているのって大変だろうなって。
本当は数値化されないところ、たとえば人との繋がりとか、交わした時間の濃密さとかにもおもしろさがあるはずなのに、それを知ることなくいきなりSNSだったわけですもんね。
――なるほど。
東出:だから、僕はマジできつかったら離れちゃって良いと思います。その先にある人生の楽しさ、濃厚な部分もあるし、離れることって恐怖じゃないので。人間のぬくもりがある世界は、それはそれでおもしろいよと、SNS疲れしている人には伝えたいですね。
ひろゆき:真っ当なことをおっしゃる。
東出:これは、僕がSNSを使えない側の人間だから。アドバイスと見せかけた自己保身なんですよ(笑)。
ひろゆき:たしかにプラットフォームにもよりますけど、Instagramとかはキラキラしたシーンしか載せませんからね。そういうのを見ていると、友達みんなが海外旅行して、おしゃれな服を着て、おしゃれなカバンを持っているふうに勘違いしちゃうけど、そういう瞬間しか載せていないというのは意識した方がいいかも。
東出:たしかにそうですね。