ぶいすぽっ!で合流を果たした“黄金コンビ” 一ノ瀬うるは&小森めとの軌跡をたどる

一ノ瀬うるは小森めとの軌跡

素行不良にジャックナイフ……“どこかにいそうで、どこにもいない”一ノ瀬の深化

 そんな一ノ瀬だが、自身の過去を振り返る際には、「昔のあたしはジャックナイフだった」「狭いコミュニティで生きてきた」「新しく友達が入ってくるのも嫌だった」と過去を振り返ることがあり、「デビュー当初は失礼な態度を取っていた」と、当時を思い出して省みることがしばしばある。

 実際、デビュー以前・以後に語られた一ノ瀬の身の回りで起こった様々なエピソードも踏まえてみると、彼女のトンデモない一面を知ることができる。その一部をあげてみよう。

【記念雑談】5万人感謝!と過去エピ総編集【LVG / 一ノ瀬うるは】

・両親が医者ということもあり厳しく教育され、医者を目指して私立の中高一貫校を受験し入学。だが学校の校風と合わず素行不良に。
・「学校成績は一切悪いわけではないのに、なぜ授業に出なくていけないのか?」かが分からず授業をサボりはじめる。
・夏休みに髪を金色に染めてそのまま登校・教員らに叱られるなど、さまざま校則違反を犯した結果、校長や教頭を踏まえた八者面談の後、退学することに。
・その間、両親からとある山の中にある更生施設に送られ、10代から30代ぐらいまでの人たちと共同生活を送らされる。携帯電話などもなく周囲もヤバい人(一ノ瀬談)しかいなかったため、ストレスで血尿が出るなどして、実家へと帰らされることに。

一ノ瀬うるはの山送り切り抜きを見て、自分の学生時代を話すボドカ

・運転免許取得のために教習所に通うも、知らない人たちしかいない空間でご飯を食べられず、トイレでご飯を食べていた。なお、教習所を卒業したが本免許試験に落ちている。
・自身が住んでいる部屋が非常に汚く、「業者が来て清掃してもらう」レベル。コラボ相手は絶句し、リスナーからは何度となくツッコまれた。
・友人から誕生日に「『Overwatch』を買ってプレイしてほしい」とウェブマネーをもらったが、意に介さずMMORPGのガチャにつかった。後年、雑談配信で思い出すまでこのことをすっかり忘れており、「あのとき買ってプレイしていれば…」と後悔している。
・2020年から引っ越しを考えていたが、コロナ禍などのさまざまな要因が重なった結果一向に進まず、結果的に引っ越しができたのは2023年1月。その間も“汚部屋”が続いていた。

一ノ瀬うるはが明かした、私生活のマズい話に一同騒然【7 Days to Die】
【#汚部屋V座談会】閲覧注意!?地獄の扉が開かれた…【犬山たまき/一ノ瀬うるは/神成きゅぴ/健屋花那/える】

・コラボ配信を控えていた前夜にローストビーフを食べたところ、賞味期限が数日以上オーバーしており、その影響から配信活動を休むハメに。
・2024年4月に貧血を起こして転んでしまった際に足を負傷した。にも関わらず、病院に行かずにそのままゲームをしていたところ、橘ひなのに一喝されて病院にしぶしぶ行くことに。救急車が必要かどうかがわからず、叱られつつ諭された。

 デビュー以前から関優太(当時のstylishnoobやSHAKAといった実況者/配信者を見ていたという一ノ瀬。だが当時はまだVTuberやストリーマーが今ほどの影響力や視聴者を持てていない時期でもある。

 「こんな人になりたい」といった明確なロールモデル・理想像がないままにVTuberとしてデビューしたであろう一ノ瀬。そんな事情も、彼女の特異なキャラクターができあがった理由のひとつだろう。彼女はデビュー当時から「やりたいことをやって、話したいことを話すだけ」といったナチュラルかつ尖った姿を見せていた。そこに、現在も変わらぬ“無理に着飾らない”彼女の原型が見えてくる。

 デビューから付き合いのある花芽姉妹、白雪レイド、にじさんじ・叶たち。くわえてデビュー前からリスナーとして彼女をみており、現在では同僚としてともに活動するようになったぶいすぽっ!の後輩たちも、たびたび一ノ瀬の“口撃力”に魅了され……そして胸に刺さっていたのだろう。

 “無駄に着飾らない”ことにくわえて、今の彼女に通じる魅力といえば、一種の図太さ・無神経さ、言い換えれば肝の据わった性格にあるだろう。

 一ノ瀬うるは史上でもっとも「肝が太い」と評価されるシーンといえば、言うまでもなく彼女の初めての生配信だろう。デビューして間もない新人であったにもかかわらず、開始早々にお菓子をボリボリと食べており、先輩である花芽姉妹の話に食ってかかるシーンもある。なにより自身が遅刻したことで配信開始が遅れているのにもかかわらず、なぜかドンと構えたままなのだ。

 VTuberの初配信といえば、いまでこそ「初配信では自己紹介をする」「ファンネームなどを決める」「自分の好きなものについて熱く語ってみる」といった定番の内容が儀礼的におこなわれることが多い。だが当時のシーンはいまほど整った環境でもなければ、タレント・リスナーの間にユルい空気が漂っていたのも事実。それゆえに、一概に現在と当時の“当たり前”を比較するのは野暮なのだが……さすがにこの振る舞いには当時のリスナーも驚いたはずだ。

 もちろんここまで書いてきたように、いまの彼女は当時とは全く異なる。相手との立ち位置・関係性・タイミングを図りながら、ヒョイと口にする挑発/煽り/ツッコミ/イジリの数々で笑いを生み出すエンタメ力は、ぶいすぽっ!のなかでは比肩する者がいない魅力を持っており、さまざまな場面でハイライトシーンをうみ出してきたのだ。

 最近の配信では、橘ひなのとの『League of Legends』配信において、寝起きすぐのローテンションでボイスチャットに入ってきたうえに、自分が見ていた夢の内容についていきなり話しだし、橘ははおろか数千人のリスナーをおいてけぼりにしてしまうという、“一ノ瀬うるは節”を炸裂させていた。ここまでくると、天然という形容では捉えきれない図太さすら感じられるだろう。

一流配信者格付けで、相方の一ノ瀬うるはに圧を掛けられる釈迦

 テンションが高くキャピキャピとした言動やいわゆる「おしとやかな振る舞い」は、一ノ瀬うるはからはあまり多く出てくるものではない。だが、自身の同僚・後輩・友人には柔和なスタンスをみせつつ、時折生来の尖った言動を炸裂させ、周りを笑わそうとユーモアを挟むように彼女は変わっていったのだ。

 かつて筆者は彼女のことを「どこかにいそうで、どこにもいない」と評したが、今の彼女は「どこかにいても、不思議ではない」といった温度感まで深化したようにみえる。その振る舞い・口調・イメージ、なにより言動と実績においてぶいすぽっ!の大黒柱の1人といっても過言ではないほどに成長したといえる。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる