車中泊×ASMR動画はYouTubeでなぜ人気に? レッドオーシャンで輝く“高等テクニック”とは
旅や車のDIYなどさまざまな魅力があるYouTubeの車中泊ジャンルで、ASMRを掛け合わせた新たなコンテンツが増えつつある。なかでも「Little Camper」チャンネルは、ASMRに力を入れており、車中泊動画のなかでも一際のコンテンツを投稿している。今回はLittle Camperの動画を中心に、車中泊×ASMRコンテンツの面白さを紐解いてみたい。
「Little Camper」チャンネルは、リトル・キャンパーと名乗る男性がハイエースでひとり車中泊する様子を投稿しているチャンネルで、登録者数11.3万人を記録(2024年4月18日時点)。このリトル・キャンパーは、飛び抜けてオシャレな車内と、心地よい物音や自然の音を楽しめるASMR(Autonomous SensoryMeridian Response /自律感覚絶頂反応)で人気を獲得している、いま注目の動画クリエイターだ。
2024年1月に投稿された100回目のハイエースひとり車中泊動画は、冬の雨が降りしきるなか、リトル・キャンパーが目的地に到着後、車中泊の準備をするところから始まる。ギアのひとつにもこだわりが詰まっているのだろう、カラーやテイストが統一され、センスの良さが光っている。たまに目に飛び込んでくるアヒル隊長やパンダの顔が全面にプリントされた椅子カバーなど、クスっと笑える可愛いアイテムもいいスパイスになっているようだ。
リトル・キャンパーが制作する動画が支持されている大きな理由は、このオシャレさだけでなく、心地よい音にある。物を置くときの音や料理の音はもちろん、雨音は癒し度抜群。天候が悪かったこの日は終始雨音が響いており、その分寒さが伝わってくる。記念すべき100回目を祝う鍋料理は、こういった音の影響を受けて、より美味しそうにみえるから興味深い。
動画の途中にはBGMも使われているが、BGMに物音や雨音がかき消されることはなく、バランスも絶妙。視聴者からは「雨音と車のなかで作業するときの音全てが、BGMと良い具合に重なり合い癒される」「雨音がとても心地良い」といったコメントが多数寄せられており、リトル・キャンパーの高度な編集テクニックに感嘆する視聴者が多いよう。こういった点からは、リトル・キャンパーが視覚だけでなく、聴覚に訴えるようなコンテンンツづくりを心がけていることがわかる。
Little Camper以外にも、車中泊動画にASMR要素を取り入れているチャンネルは存在しており、「Small base camp」(チャンネル登録者数 25.6万人)もそのひとつだ。今年1月31日に投稿された動画は、雪が舞うなか、雪の上を歩く音や薪を割る音、焚きストーブの音に多くの視聴者が魅了され、再生数は297万回を突破(数字はすべて4月18日時点)。視聴者からは「雪の中で燃えるストーブの音もほんとに落ち着きますね」「映像も音声も最高」といったコメントが書き込まれている。
YouTubeにおけるASMRコンテンツは、かつて咀嚼音を楽しむものとして一躍人気に。少しその状況が落ち着いたいまでも根強い人気を誇るジャンルのひとつだが、Little CamperやSmall base campチャンネルをみると、その流れが車中泊動画にも浸透しており、車中泊動画でも音を愉しみ、癒されている視聴者が多いことが読み取れる。
これまで旅の道中や観光スポット、車のDIYに注目が集まっていた車中泊動画は、ASMRを掛けあわせたコンテンツが増えてきたことで、新たな視聴者の取り込みに成功している可能性さえ感じられる。音によって臨場感や癒し度が増した車中泊コンテンツは今後、旅やASMRジャンルにも大きな影響を与えるかもしれない。
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